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20240223「圏域」

棒を持って
今日も歩く
いつもの風景が
今日は何だか
違うような気がして
止まって見る
閉じた目蓋のまま
聞き耳を澄ませ
エンジン音と
モーター音と
囀りの歌を
聞かせて数秒
目を開けて
また歩き出す
こつこつ叩いて
地面の硬さで
すり減らし
それでも
次の場所まで進む

なぎ倒してもいいなら
前進して
壊れてしまった崩れも
気にならない
かといってそんなこともできず
あるいは構わずそうすることも
他の誰かはやっているけれど
復興までの道のりは
まだまだだなと
口ごもる
なんだぼやきかって
そう言われてもいい
真っすぐずっと歩けることもない
よじ曲がった手足と道のりで
何かにぶつかり
わたしは何かを見つけるだろう
拾った瓦礫と石で
違う塔を建てよう
神経衰弱カードを一枚抜く

適当な所でベンチがあったら
そこで休もう
どれもが過ぎ去るが
わたしが見ているのは
はたして誰か
見知らぬ人ばかりで
もう誰が誰だか
挨拶もまままらないが
会釈を誰に対しても
何に対しても
そうしておこう
何かが憶えてくれるなら
わたしを預け
棒の先で指し示す
あれとこれ
それとどれ
身辺の空気を吸って
また吐いて
圏域を纏う

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