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20240719「どれもが零れるから」

百度の湯
百三十cc
三十五秒
夏のほうじ茶
ゆっくりしつつ
その時間で
現れる香りと
口に含まれる
早朝の出来事
まだ眠っている街で
誰かが働いている
掻い潜った罠を
それぞれに埋め
擦れる写字を
まどろみに移し
息をしている

九十度のお湯
百五十cc
四分
ハーブティー
疲れた身体を浸し
まだ暑い部屋の窓を開け
それでも寝苦しいのは
わたしの熱で
他の誰かに負荷を与えている
そんなことどうでもいいでしょ
そうあなたは言う
そうだねと答えて
眠りの準備を整えている
小さなランプで
夜を灯し
溶けて行く

どれもが零れるから
受け皿を与え
その一滴を飲み込む
体内を巡り
わたしの知らない内部で
何事かが行われているのに
のほほんとしているのは
きっと私たちのせい
夜な夜な泣いて
昼間は平気な顔
どちらもわたしなのに
そんなことも
もう慣れた
何かに成れるなら
その夢の中で
テーブルに着いて静かに待っている

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