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20240107「ひとひら」

誘惑の影から
輪郭を起こし
未だ見ぬ所まで
在所を探す
どこへ行ってもいい
それでいて
未だ此処にいるのは
どういう風の吹き回しなのか
堪えきれない痛みや
ただでさえもたない忸怩までも
言い表せても
その円縁の縁取りまでは
遠く近くの合間に
埋もれてしまう
それならと
声を使って届かせて
聞き耳を立てる
てんでばらばらで在っても
陰影を探る

いったん静かになり
しんとした転がりを
どこかで聞く
微かな脱臼で
継ぎ接ぎの練習
音階の段階を経て
水面の様子を間近に
わたしの中の水辺まで
ずっと届けていよう
雨のない雪道を通り過ぎ
南下するなら
季節を交換して
別の様相に着替えて
その姿形を転写しておこう
どれもが変化するのなら
それに合わせて動いてみよう
身動きできないとしても
その呼吸はあなたのもの

大きく深く
そして大胆に
気づかれないままに
花弁がぽとり
土に戻し
違う変容で分解されては
次の項目を偶然に任せ
在られもない棍棒で
打ちのめされ
また平然と鳥たちは飛んで行く
おおいと手を振って
横切って行く群衆
誰もが歌い
誰もが問う
答えられない晦の練習
詩花を跡にして
摘んだひとひらを手にのせて
水を湛え
ひとくちだけ飲むことにする

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