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20231216「土へ還るものたちへ」

わたしの持っているものを
抱えきれずに
零れたままで
失くしたはずの
それまでもどこかに在るのだと
そう思っている
それはわたし自身ではないが
身近にあったものだから
なければないで
少し寂しい
何れ気にならなくなり
忘れてしまうだろう
どれもを手放して
また新しいそれを手にして
わたしは違うわたしにもなれる
対象の枠組みを整理して
少しずつ離れ
また近づく
さよならの準備はとうに済ましている

些細なことだが
もう判別できなくなった
当たり前のような数をもって
どんどんと買ってまた捨てて
拾いきれない放散で
違うものが蓄積される
対象は全員
わたしたちの出来事
目に見えてこないから
気づくことが難しい
それでも与えつつ奪うとして
別の層に含まれる何ものか
罹患して施しを与え
横たわる何ものかを支え
隙間に落ちて馴染んでしまう
またしても物ものの欠片を拾う
そんなことがはたしてできるのだろうか
わたしの一投で落ちるそれを
誰かが拾うことになるかもしれない

手から手へ
そして忘れてしまう
それが一体何なのか
よくも知らない出来事だとしても
もう随分と続けているのなら
今のうちに物言いを土俵に乗せ
あれやこれやで資生を打っちゃる
また拾いに行くのなら
せめてもの償いとして
何度でも荒野を流離おう
砂粒として
砂金として
構成される地上の出来事
もしくは観念の何処か
ここ以外に離れることが困難なら
止めたらいいのに
せっせと今日も効率は短縮され
圧縮された力は痛手を抱えつつ
その力を湛えている

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