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20240308「春の小箱」

表から見て
裏から見て
どちらも同じもののように見え
それでいて違う表情を写すから
きっとそれは違いがあるのだろう
眼差して
眼差され
こっちがどぎまぎして
わたしの表面もまたざわつく
知らなかったからといって
もうしわけなくなって
それでいて
新しい表面を見られるのだから
それを発見としておこう
記録として撮っておいて
いつに見るのかわからないのに
増えていく情報
積み重なりつつ
積み減って行く

陽に照らされ
焼けた陰影を
ポッケに忍ばせ
寂しくなったら
それを見返す
全部は見えないから
透かせて逆像を得る
近づかせ遠退かせ
焦点を前後させ
その像を拝む
いつも出てくれるとは限らない
だからありがたいのか
そうでないのか
いつもそこに居て
いつでも現れることはない
行程を踏んで
粒子を見分ける
どれもが均等ではないから
ざらついた味覚で答える

更に憶えていないから
どうやって取り戻すのか
もう一度解体して組み立てる
合わさったものと
離れたものを
交互に寄せて
記憶を辿る
触れる振動と
小刻みの震え
どれもが予兆の切先で
その瞬間を待っている
芽吹きの一瞬を待って
ボタンを押す
しばらく見つめ
そそくさと退出
閉じ込めたひかりを
大事に持って帰り
新たな像を露わにする
小さい部屋で露光する

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