20240603「記憶の後先」

本を積み重ね
読まないけれど
ぱらぱら捲る
フレーズが気になったら
しばらく読んで
また閉じる
全部を読まなくてもいいし
そこにあることを
知っていて
そして忘れるのだろう
どれもが新しく
どれもが懐かしい
そんな記憶の後先で
暮らしているのは
誰もがそう
知らない何かを探している

いつもと同じような
いつもと違うそれぞれだから
新鮮さを
朝の空気に尋ねてみて
その返事を吸い込む
また吐き出しては
繰り返す
白湯を一口含んで
その間は何も喋らない
ただ朝が明るくなるだけで
夜のわたしを起こしてくれる
既に忘れた夢のどこかを
きっと身体が憶えてるのだろう
眠たげなそれらを抱え
今日を始めている
さよならは後の方に持って行く

昨日読んだそれらを紡ぎ
また再生しては反復を繋ぎ
慌てて転んで
世界が反転することもあるだろう
あべこべで
こことそこ
あれとどれ
そっちとどっち
選択肢を睨んでは
既に行動している
読み間違いのお零れを
掬い直しては
また溢れる
涙の受け皿を添え
新しい１日を迎えよう
F値の回しS値を合わせるように