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「夢が叶わなくても、生きている理由を探せ」

夢に見てた自分になれなかったから

グレーがかったフィルター越しに
世界を見ているような気がして
楽しかった日々はもう遠くて
思い出がいつまでも更新されないまま
「このまま死んでいくのかな」なんて
夜中になる度考えてしまう

何が悲しいのだろう
何がやるせないのだろう
何が許せないのだろう
私は一体誰なんだろう

どこまで時を戻したら…なんて
下らない話を考え続けている

なりたかったものには、なれなかった

それでも今、生きている。

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10年前、
「アイドルになりたい!」って思った。
大好きで憧れているあの子のように
歌って踊ってみたかった。

何度もサイリウムの海を想像した。
ときめくってこういうことかな。
なりたくって涙が出た。
アイドルになれたら、なれたなら、
わたしの人生が肯定される気がした。

24歳の今、その夢は叶わなかった。

両親からの猛反対を喰らったこと、
オーディションに落ちたこと、
受かった事務所の売り出し方に
納得できなかったことなど
様々理由はあるけれど、結果はひとつ。

わたしは、もうきっと、
なりたかったものにはなれない。

大きな夢があってもなくても、
「こんな筈じゃなかった」って
考えては悲しくなってしまうことって
あるんじゃないかしら、と思う。


どこかで掛け違えたボタンがないか。
それさえ直せば、
今みたいにぐちゃぐちゃなわたしには
ならなかったんじゃないのか。
それを探すことだけに必死で、
クローゼットには目もくれない。

本当は、今の服を脱ぐことさえ
できる筈なのに。
小さくなって窮屈になった服に、
必死で収まろうとしているだけだと
どこかで気付いてはいるのに。
あの時のお気に入りが
似合わなくなることが辛くて、
ずっと、ここまで来てしまったんだ。

今日もまた、
ぐちゃぐちゃに縒れた服を
脱げも着れもしないまま生きている。

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「夢が叶わなくても、
生きている理由を探せ」


生きる意味は、
本当は一つじゃなくていい。
死ねない理由なんか、
死ぬまで分からなくていい。

ただずっと、
成し遂げられなかったことだけを
見つめて生きることはつらいから
ボタンを探す手を止めて、
一度鏡の前に立ってみて。

窮屈になった服を脱いでも、
あなたはきっと大丈夫。

その服を着ていたあなたのことを
あなたは誇りに思える筈だよ。

泣きながらでいいよ。
新しい服に袖を通そう。

最初は似合わないと
思うかもしれない。
だけど、あなたは変わるよ。
髪だって、顔だって、
選ぶ服だって。
それは決して悪いことではないの。
あなたが生きているという、
それだけのことだから。

お気に入りの服が着れなくなっても
あの時の夢が叶わなくても
生きている意味を探せ。

思い描いていた自分とは程遠くても
思いがけない自分になれるかもしれないし

新しい服で、
もう少し世界を歩こう。

窮屈な服を着ていたわたしを連れて。

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【あとがき】

最近、生きている意味を
考えてはぐるぐるしてしまうので、
自分への励ましも兼ねて書きました。

時にわたしは、

「なれなかった自分」を
「何者にもなれない自分」と
置き換えて考えてしまいがちなのです。

だけど、なれなかった自分を
救えるのはきっと
なれなかったわたし自身だし、
もっとすごいところまで
連れていってあげられるのも
わたしなんだろうなって思います。
夢がないって、
何者にもなれないという
ことではないんだよね。

わたしの場合は、
こうして文章を書くことで
少しだけ救われるから、
今はそれだけでいいのかな、と
思っています。

これを読んでくれている人がいる。
それはきっと、
夢を叶えた自分では
得られなかった体験だし。

いつかきっと、
窮屈な服を着ていたわたしだから
似合うドレスが見つかりますように。

読んでくれたあなたにも、
素敵なことが起きますように。

おわり。

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