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#54【ネタバレなし】『体育館の殺人』(著:青崎有吾)を読んだ感想【読書日記】

青崎有吾さんの『体育館の殺人』
青崎さんのデビュー作で、裏染天馬シリーズの第一弾。第22回鮎川哲也賞受賞作です。

※鮎川哲也賞は、東京創元社が主催する公募の新人文学賞で、未発表の長編推理小説が対象となっている

『早朝始発の殺風景』が面白かったことで、青崎さんの他の作品も読みたいと思っていました。そして今回は、青崎さんの代表作である本作を読みました。

このような方にオススメの本です

  • 青春×ミステリーの組み合わせが気になる

  • 本格ミステリーを読みたい

  • 裏染天馬シリーズが気になる

  • アニメが好き

あらすじ

風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に―。“平成のエラリー・クイーン”が、大幅改稿で読者に贈る、第22回鮎川哲也賞受賞作。待望の文庫化。

「BOOK」データベースより

感想

  • 青春要素が強いのかなと思いきやガチガチの本格ミステリー

  • 論理的に次々と謎を解明していく裏染天馬に僕もお手上げ


風ヶ丘高校の旧体育館。「密室」状態の中で放送部の部長が殺された。その体育館にいた卓球部部長の佐川奈緒が犯人と警察は疑っていた。「部長がそんなことをするわけがない」。同じ卓球部の袴田柚乃は、学校に住んでいる?アニメオタクの裏染天馬(うらぞめ・てんま)に助けを求めた。


「体育館」という学校に通っていた人なら誰しもにとって馴染みがあり、青春が詰まっている場所。高校が舞台なのもあり青春要素が強いのかなと思っていたら、ガチガチの本格ミステリーでした。普段なら起こり得ない密室空間が生み出されるなど、犯人のトリックも大胆かつ緻密。そんな状況下で、論理的に次々と謎を解明していく主人公の裏染天馬。読んでいて爽快さを感じるほどで、僕も反論の余地がなくお手上げでした。


展開に飛躍した箇所がなく、手がかりは分かりやすく載っている。解決編の前に「読者への挑戦」がありますが、1つ1つの手がかりを精査すれば犯人を当てることは不可能ではない点も良いと思いました。僕はいつものように外れましたが(笑)
また、比較的ライトな文体で読みやすい印象でした。裏染が所々でアニメに関する話題を出すので、アニメ好きの方はテンションが上がることでしょう。

天才的な頭脳を持つが、それ以上のオタクぶりが目立つ裏染天馬。そのギャップや学校に住んでいる点など強烈なキャラクターは強く印象に残りました。謎めいた部分もあり、続編の『水族館の殺人』も気になります。また1つ、読みたいシリーズが増えました。

印象的なフレーズ

「これが事件と関係あるのかい?」
「関係は、ありません」
「じゃ、じゃあ何のためにこんなことを……」
「勘違いしないでください。まったく関係ないわけではなく"関係ない"という関係があるんです。これはすごい手がかりですよ」

『体育館の殺人』

神奈川県立風ヶ丘高校の旧体育館。殺人を彩るにふさわしい異様も、狂気も、怪奇も、猟奇も、ここには、この体育館という場所には何もない。間取りや装飾だって特殊性は皆無で、むしろ究極的なまでに単純だ。

『体育館の殺人』

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