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未来へつなぐ経験のバトン ~「誰もが使える」を目指すSmartHRのものづくり~

こんにちは、「働くの学び舎」プロジェクト担当の@akoです。

SmartHRでは誰もがその人らしく働ける社会の実現を目指して、「働くの学び舎」プロジェクトという若者へ給与明細の読み解き方やWeb開発の知識と経験を共有する活動を行なっています。

今回、プロジェクト内の取り組みの一つである「UXとウェブアクセシビリティの基礎講座」が、人間中心設計推進機構主催の「HCD-Net Award 2023」にて優秀賞を受賞しました。

そこで、この記事では受賞した「UXとウェブアクセシビリティの基礎講座」がどんなことを行なっているのか、直近に行なった神山まるごと高専の開催回をもとにご紹介していきます!


なぜUXとウェブアクセシビリティを題材にしたのか

わたしたちは「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」をコーポレートミッションに掲げ、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供しています。

さまざまな労務手続きや給与明細の配布・人事評価などの機能を持つ「SmartHR」は、人事・労務担当者や管理者だけではなくすべての従業員が利用するサービスです。

そのため、”誰もが使える・使いやすい”ことを大前提として日々開発を行っています。

この「誰もが使える」サービス開発で培ったUXやウェブアクセシビリティに関するノウハウは、さまざまな方にお役立ていただけるよう、社外に向けても共有しています。

上記の活動は既にものづくりをされている方に向けたノウハウですが、「働くの学び舎」プロジェクトでは視点を少し変えて、ものづくりを学ぶ学生を対象に基礎的な部分をお伝えしています。

背景にあるのは、SmartHRの持つ「誰もが使える」ものづくりの考え方を若者に共有することで、より良いサービスや製品の誕生につながっていくのではという想いです。

少し先の未来の話ではありますが、SmartHRの知識や経験のバトンを渡すことが、私たちの目指す誰もがその人らしく働ける社会の実現へ少しでもつながればと願っています。

ワークショップをベースにした体験型講義

神山まるごと高専の看板

今回講義を行なった神山まるごと高専は、2023年4月徳島県に開校し「テクノロジー × デザイン × 起業家精神」を教育の土台にしている5年制の私立高等専門学校です。

起業家精神の育成を取り入れた神山まるごと高専は、早くから深い専門性を学ぶ高専の中でも異色さを放っており、多様な角度からものづくりに向き合っています。

私たちが行う90分間の講義は、座学とワークショップを組み合わせた内容で構成しています。

講座概要

座学形式のパートに加え、ワークシートの活用やスクリーンリーダーを使用したウェブ操作体験を交えて講義を行います。

  • UXの基礎講座

    • UXの定義

    • UXの基本的な概念

    • サービス、ものづくりにおけるUXとは

      • 実践ワークショップ:隣の人の大切なものを紹介しよう

  • ウェブアクセシビリティの基礎講座

    • アクセシビリティの定義

    • アクセシビリティの基本的な概念

    • ウェブにおけるアクセシビリティとは

      • 実践ワークショップ:音声だけでウェブを使ってみよう(スクリーンリーダーを使用した音声読み上げによるウェブ操作を体験)

講義の最初では、働く環境のアクセシビリティをテーマにしたショートムービーを放映しています。

「仕組みで解決する」(誰もが使える)ことがどういうことなのかをストーリー仕立てでご覧いただいた後、いよいよ講義が始まります。

UXデザインは、開発者だけではなく “チーム” で携わること

様々なUIの例を上げている講義風景

前半はUXの講義から始まります。UXパートの講義はSmartHRのUXデザイナー @versionfive さんが担当します。

UIやユーザビリティといった用語と混同されがちなUXの言葉の定義から、UXとUXデザインの違いなどを身近な例を用いて解説していきます。

途中には、二人一組となって「ペアの人の大切なもの」を紹介するワークショップを行います。他者の製品に対する思い入れやこだわりを深堀りすることで

  • 高いユーザビリティとUXはイコールにならない

  • サービスを使う前、使った後、長く使う、などもUXの一部

  • UXはあくまでユーザーのそれぞれのもの

といったUXの特徴を認識していきます。

そして、UXを作っていくにはどうすればよいのか?UXデザインにおける大切なことに触れていきます。

ものづくりをしていると、ついつい「ユーザーにどう使ってもらうか」と提供者目線での思考に陥りがちです。

そうした思考の落とし穴に引っかからないよう、講義では「ユーザーどう使うか?」という  “ユーザー主語” の考え方をお伝えしています。

講義資料の1ページ。チームでUXをつくることの大切さについて解説している

また、UXデザインはエンジニアやデザイナーなどの開発者だけが意識して設計するものではありません。

サービスを使っていない時間もUXの一部として捉え、チームでものづくりに携わることがポイントと解説しています。

このように、UXの講義パートでは、お客様と向き合って得た手触り感のあるナレッジを共有しています。

疑似体験からウェブアクセシビリティの重要性に触れる

講義の後半ではウェブアクセシビリティについて学んでいきます。アクセシビリティパートはSmartHRのアクセシビリティスペシャリスト @maiha さんと @maverick さんが担当します。

アクセシビリティとは、サービスや情報を身体・精神の障害の有無や年齢、得意な言語など個人の特性によらず利用できるかどうか、また、怪我をしている、病気をしている、外出しているなどの状況によらず利用できるかどうかを指す言葉です。

普段の生活では何気なく利用しているサービスであっても、誰かにとっては使いづらい部分が潜んでいることもあります。

この講義パートは障害を持つ人がどのような使いにくさを感じているのかを疑似体験するところから始まります。

トレーシングペーパーで文字の見づらさを体験している様子

まずは、配布されたトレーシングペーパーをPCモニターにかぶせて、文字が見えづらい状態で日頃から利用しているサービスを操作します。

続いて、片腕だけでPC操作を行ない、一時的な怪我や病気で片手が使えない人の操作感を体験します。

見え方の困難さや四肢の不自由さは、病気や怪我・高齢化によって誰にでも起こり得ます。自分とは違う、でも身近にある使いづらさを疑似体験しながら、誰かにとっての使いにくさを深堀りしていきます。

その後は、もう一人の講師である全盲の視覚障害者 @maverick さんより、日常のPC操作のデモンストレーションをお見せしました。続いて学生の皆さんにもスクリーンリーダーの機能を使いながら、音声だけでウェブの操作をしていただきます。

点字ディスプレイを使用している様子

さらに、@maverick さんが普段から利用している点字ディスプレイにも触れてみます。なかなか触る機会のないデバイスに、学生の皆さんも興味津々で操作していました。

アクセシビリティの講義では、疑似体験や障害者当事者の講師による実演から、ユーザーの利用状況について解像度を高め、ウェブアクセシビリティが身近なものであることを共有しています。

講義を終えての声

講義終了後のアンケートでは、以下のようなお声をいただきました。

UXは製品利用前後もあること、エンジニア以外も関わっていることがおもしろかった。

自分とは違う視点を持った人と話しながらものづくりをして、より多くの人が使いやすいプロダクトを作ってみたいとおもった。

ユーザーが使ってくれるという想定ではなく、まずはどうやって使ってくれるところまで持っていくかを考慮できるようになったと思います。

これまで「提供者主語」だったサービスの開発が、「ユーザーはどう使うか」の目線で考えられるようになり、1つのアイデアから様々な構成が考えられるようになると思います。

「今後のものづくりにおいてUXとアクセシビリティの観点を持って開発したい」といった声が多く、講義をきっかけとした新しい観点の創出や意識変容に繋がっています。

講義は90分という短い時間ではありますが、多くのワークショップを設け「誰もが使える」ものづくりのノウハウを共有しています。

働くの学び舎では、開催校を募集しています!

働くの学び舎プロジェクトでは、学生さんに向けた「給与明細から考える働き方講座」とIT技術やものづくりを学ぶ高専生や専門学校生の方を対象にした「UXとウェブアクセシビリティの基礎講座」を無料開講しています。

ご興味のある教育機関関係者の皆様は、ぜひお気軽に以下のフォームよりお問い合わせください。

なお、本講座では採用活動等は一切行っておりませんので予めご了承ください。講義開催までの流れや詳細はウェブページをご覧ください。

最後に、SmartHRのアクセシビリティ向上の取り組みを紹介する音声コンテンツ「アクセシビリ・ティータイム」の第六回に @ako が出演させていただきましたので、ぜひこちらもご覧いただけると嬉しいです!

私たちの知識や経験が、これから働く学生の皆さんの糧になりますように。
SmartHRでは労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っています。

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