デザイン経営への地道な発信と地図づくり|In-house Designer's Lounge #1
スマートキャンプデザインブログ、モリシゲです。
2021年5月25日、株式会社grooves主催のデザイナー公開勉強会「In-house Designer’s Lounge #1」にコラボ出演させていただきました。
コンテンツとしては
1. スマートキャンプからgroovesさんに2つ質問
2. groovesさんからスマートキャンプに2つ質問
3. アフタートーク
という流れでした。
今回は1のスマートキャンプからの質問に対する「groovesさんの回答」をまとめたいと思います。
Q1. 非デザイナーへの「デザインへの理解」を促す取り組みはなにかされていますか?
この質問をした背景
デザイナーは「意匠をつくる」というイメージがどうしても先行してしまい、社内業務委託化しがちです。「設計」の意味でのデザインを組織に浸透させる必要があると考えており、「非デザイナーへの理解を促す取り組みはどういったものがあるのか」を知りたいと思い、質問しました。
この質問に対してgrooves増渕さんから回答をいただきました。
大きく3つ回答があり、この1、2、3のアクションをとる部隊として「経営企画部 デザイン戦略室」を誕生させたというお話でした。
私の質問の意図でもある「意匠以外のデザイン文脈」は伝わりにくいし、理解も得づらいものであることは、同様の悩みだったようでした。
「戦略的な相談の頼みにくさ」があり、結果的に「Howの依頼が多くなる」のはたしかに納得でした。
groovesさんの代表池見さんがデザインに積極的だったこともあり、「デザイン経営をしていこう」という流れもあって、まずは理想的な状態を可視化していったそうです。
さらに、チーム名やミッション・ビジョン・コアバリューなどを設定し、通常業務のかたわら、3~4ヶ月かけてチーム作りを行うという努力もされていました。
コアバリューについては視覚的に伝える工夫などをされていました。このロゴマークはアニメーションで動くのですが、デザイナーらしい伝え方でかっこいいと思いましたし、非デザイナーからも「おっ」と注目を浴びそうでよい取り組みだなと思いました。
このように可視化した情報を発信しつづけたり、社内に発表・宣言したりして「戦略的なデザイン依頼が増えた」とのことでした。
例えば、以前は「営業資料の見た目を整えるだけ」だったのが、「商談まで同行し、営業トークや流れも考えて、それを資料にまで落とし込める」ようになったそうです。
このような取り組みができると、営業の質も上がるし、これまでの営業体制もアップデートできるなどメリットは大きそうです。
さらにこういった良い体験が続いたことで、BXデザイナーが2名ジョインするなど、人材面でも強くなれる結果を出しているので、非常に素晴らしい事例だなと思いました。
Q2. 顧客にどう向き合っていますか?
この質問をした背景
顧客に向き合い、価値提供を第一と考えているなかで、他社の取り組みを参考にしたいため質問しました。
この質問に対してgrooves高橋さんから回答をいただきました。
groovesさんでは特定の部署や戦略メンバーが考えるのではなく、それぞれの専門家がバランスよく集まって施策を考えている体制をとっています。
各部署横断のため、さまざまな視点で顧客に向き合えるのでとてもよい体制だなと思います。
ただ、部署を横断するということは部署ごとの価値観もバラバラになるので、方向性が定まらないというデメリットもありますし、当社スマートキャンプでも同じことが起こっていると思います。
そのための解決策として「チームの考えを整理し、実現したい体験価値の地図作りを買って出る」というアプローチをしているそうです。
フローチャートのような図解を用いて、体験の流れを全員で認識合わせしています。
価値設計は戦略から関わる部分なので、Q1の回答にもあった「デザイン経営を推進する組織になってきている」からこそ、実現できているプロジェクト体制だとも思いました。
ただ、100%うまくいっているわけではないそうで、「こんな抽象的な話をする意味はあるのか」「価値定義したけどまた定義が崩れた」「表面的なことしかインタビューできてない」といった問題もあるようです。
とはいえ、全員の視点が「顧客に提供できる価値とは?」の視点で会話する機会が増えているとのことで、この地図づくりは手応えを感じているそうです。
サービスづくりの最も重要な考え方だと思うので、こちらの取り組みも非常に勉強になりました。
「顧客への提供価値」よりも「他社がこうやっているからウチも」「売上達成のためにはこうする必要がある」と顧客視点を置き去りにして話を進めてしまうケースはどこの会社でもあると思うので、とても素晴らしい組織だなとも思いました。
デザイン経営の宣言と、顧客体験の地図づくりが大事
groovesさんでは「デザイン経営の宣言」をすることで社内全体が「デザインは戦略からいれよう」という意識改革ができていました。
経営者のデザインに対する高い意識、増渕さんの情報発信や社内プレゼンの継続がうまく噛み合って、社内全体へのデザイン意識の高まりに結びついているように見えました。
それが土台となって高橋さんの顧客体験の設計につながっていて、「すべてのギアがつながっていて回っている会社」という印象を受けました。
そしてどの点にも共通するのは「可視化」「情報共有」でした。
デザイナーの得意分野である「図解」や「ビジュアル化」は、どんどん進めていくべきなのだ、という学びがありました。
今回の「In-house Designer’s Lounge #1」では、groovesさんからの質問にもスマートキャンプが回答をしていますが、groovesさんから発信があるかと思います。
案内については本記事か、私の個人Twitter等で案内をしたいと思います!
最後に、イベント運営に携わってくださった皆様、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
WRITER & EDITOR
SMARTCAMP Designer モリシゲ @MorishigeYuta
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