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合点承知之助

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お話を考え中です。アイデアスケッチ。メモ。memo。
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記事一覧

合点承知之助(memo)

第六話「驟雨」

愚者坊一服は托鉢の中にいた。

佐吉の家に着いたときのことだ。佐吉は愚者坊を見るとなると直ぐ息子の病気を診て下せえと言う。心ばかりの医療の心得があることを知っているのだ。なになに、咳が出て、頬はこけて痩せぎすになっている。

これは労咳じゃな。精のつくものを食べさせてやれい。そう言うと佐吉はそういたしますそういたします。又看てやって下せえと言う。これはお礼ですと十銭頂いた。愚者坊

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合点承知之助(memo)

[第五話 兄弟簪]

「これにて一件落着」

漢前之新はそう言うと、泣きじゃくっている女、多恵にこう付け加えた「多恵よ、幸せになるがよい」

店は目抜き通りにあった。女物の着物、櫛、簪などを扱う店である。そこは主人である太郎兵衛と長男で跡継ぎである朔太郎によって切り盛りされていた。

次男である惣一郎は根っからの遊び人として有名であったが、亡き母に似、顔立ちは整い、冷たいところのある兄と似ず、小さ

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