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「子供の学費を稼ぐために、子供との時間が減る」それって良い事なのか?

「今のうちにどんどん稼いでおかなきゃ!と思って」

3月も終わる頃。
1年半程育休を取っていた知人と立ち話をした。

その方はもうすぐ仕事復帰が迫っていた。

復帰したら帰宅は21時頃になる為、夫婦で朝と夜の担当を分担して生活を回すという話をしていた。

育休中はママが一日中家にいて、16時頃に保育園にお迎えに行っていた。
それに比べたら急にハードな生活である。

パパママがハードな事は勿論。
何よりも子供達も16時頃のお迎えから一気に2時間以上帰りが遅くなるので、体力的にも辛いのでは?と他人事ながら心配になった。


確かに、子供が10代後半になる頃に学費は一気にピークがやってくる。

だけど、将来の為に小さな子供を暗くなるまで保育園や学童に預ける生活は本当に良いのだろうか?

決してそのご家庭を責めたいわけじゃない。

これが社会的に受け入れられている事が疑問なのだ。


幸せが置き去りにされていませんか?


キャラメルさんからお薦め頂き、しんちゃんさんも記事を書かれていたこちらの本を読んだ。

この本はどちらかと言えば「人生後半」のお金を貯め込むのではなく、思い出作りにお金を使え!という本だ。

私は「人生後半」について書かれた章以上に、「子供には死ぬ前に与える」という章が一番心に響いた。

幼少期に子供が親と一緒に過ごす時間、経験がその後の人生に大きく影響するとまで書かれていた。

「いつか、子どもとスキー旅行に行きたい」という望みをいつまでも先送りすることはできない。高齢になると、体力的に厳しくなるからだ。
同じように、6歳の子どもと過ごす時間を先送りし続けることもできない。子どもはいつまでも6歳のままではない。
7歳のままでもないし、いつかは成人して子どもではなくなる。
かけがえのない機会が次第になくなっていく、という事実を意識しながら経験と金のトレードオフについて考える。すると、仕事をとるか、子どもとの時間をとるかの判断をより深く考えられるだろう。 また、子どもの視点で考えたとき、あなたが与えられる価値は何なのかも考えてほしい。

ビル・パーキンス. DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール (pp.123-124). ダイヤモンド社. Kindle 版.

まさにコレなのだ。

何度も書いているように、私は子供と一緒に過ごす時間が好きだ。

子供の睡眠時間を最優先にしたいし、「家で過ごす時間」が「やらなければいけない事をこなす時間」で埋め尽くされたくない。

食事、お風呂、睡眠、宿題、家事
こういう沢山の「しなければいけない」だけではなく、ゲームをしたり、本を読んだり、一緒に運動会のダンスを練習したり。

子供が将来振り返った時に「家で過ごす時間は楽しかった」と言ってもらえたら、東大へ進学するよりも嬉しい。


私自身は、何かと忙しい両親の元で育った。
特に父は土日が仕事だったので、数えるほどしか休日を一緒に過ごした事はなかった。

でも、不思議なもので未就学児の頃に父親と居間にあったテーブルの上に立って曲に合わせて踊る…というちょっとおバカな事をした事を凄く覚えている。

小学校6年間で行った遠足の場所はほぼ記憶がないのに、家で過ごした時間の事は今でも覚えている。
それを思うと、「親と一緒に過ごす時間」がいかに子供の記憶に残るのか?という事を改めて感じる。

ピントがズレていないか?

情報過多な時代になり、大学受験どころか、中学・小学校・幼稚園の受験まで一般的なトピックスとしてネットに流れてくるようになった。

街中では、自分が子供だった頃に比べたら塾が異常な位増えている。

小学校受験塾で出会ったママは、「私立小学校入学後の教育費よりも受験塾の月謝の方が高い」と苦笑いしていた。


塾に通わないと受験で合格できない。

そもそも、それが変じゃないだろうか?

塾に通う子が増えれば増える程、その塾の中で競争が起こる。
子供の塾代を稼ぐために親は忙しく働いている。
親が忙しくてプリント管理ができないので、家庭教師を依頼する。
塾代+家庭教師代で益々親は働かなければいけなくなる。

そんな現象すら起きている。


でも、ここに「子供の人権」がないような気がする。

もしも子供が学費の高い私立大学への進学を強く希望している…と言うのであれば、学費は用意してあげたい。

だけど、少なくとも未就学児が「将来必ず東大に入りたい」と強く願う事はないだろう。


もしどんな学校を選んだとしても、学校に関する費用は完全に無料で塾も存在しなければ?

そうしたら子を持つ親は、がむしゃらに働かなくても良いのではないだろうか?

もっと親子の時間を過ごせるのではないだろうか?


私立の学校も、塾も営利企業である。
営利企業という事は、生徒が沢山くれば経済が回る事になる。

だけど「経済を回す」事と、「子供の人権」はどちらが大事だろう?


ひと昔、サラリーマンの過労死が問題になり大企業がバッシングされた。

でも、子供が学校へ行った後に夜遅くまで塾で勉強している事は問題視されない。

これってシンプルに変じゃないだろうか?

子供の方がよっぽど成長期であり、休息・睡眠が必要なはず。
何故これが放置されているのか?

親も子も貴重な時間とお金を失っている。


そんな事を改めて感じた一冊だった。

<あとがき>
この本を読み終えたのは1週間前位ですが、どの時代に合わせて記事を書くのか結構悩みました。
老後バージョン?もいつか公開するかもしれません(笑)

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