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【自治体インタビュー】副業人材の力を借りて、地元の魅力あふれる特産品作りに挑戦

岐阜県の中南部に位置する富加町(とみかちょう)は、豊かな自然や町全体で取り組む子育て支援、名古屋圏へのアクセスの良さなど、暮らしやすさで注目を集めています。

この富加町で現在町役場が中心となって取り組んでいるのが、ふるさと納税の返礼品となる特産品の開発です。町民にとっては誇りと思えるもの、町外の方にとっては富加町の魅力を知るきっかけになるものを作りたい。そう考えたものの町役場にはノウハウがなく、進め方に悩んでいたそうです。

そこで富加町町役場では副業人材の活用を決断。今回は副業人材と共に特産品の開発に取り組む、富加町役場産業環境課の佐合星彦さんにお話を伺いました。


富加町役場産業環境課の佐合星彦さん

―副業人材を募集した背景について教えていただけますか?

富加町は岐阜県加茂郡にあり、関市と美濃加茂市の間に位置する町です。人口約5,800人という小さな町ではありますが、ここ数年はありがたいことに人口は微増し続けています。

富加町は黒米やいちごの生産が盛んですが、これまで町民が胸を張って言えるような特産品はありませんでした。そこで町役場として、ふるさと納税の返礼品となる特産品を作りたいと考えました。町民の方が自信を持って町の特産品と言えるもの、また町民以外の方に富加町の魅力が伝わるようものを目指しています。

とはいえ町役場に特産品を開発した経験のある人はいませんし、そもそもふるさと納税に関する知見も豊富ではなく、どうすればいいのかわからない状態でした。そんな時に地元の金融機関からSkill Shiftのお話を聞いて、トライしてみようと思ったわけです。Skill Shiftの説明を聞いて、副業人材の方なら通常の業務委託より費用が抑えられる点も魅力に感じましたね。

町役場がまず副業人材を活用することで、町内事業者にも副業人材の活用が広がって、町の活性化につなげられればという想いもありました。


―副業人材を活用するにあたって、どのような人材に来て欲しいと考えていましたか? 

特産品は食品を想定していましたので、おいしくて魅力ある、さらに写真映えもするようなものをイメージしていました。ですから副業人材の方には、食品の開発経験はもちろんですが、私たちでは思いつかないような斬新なアイデアを提供していただくことを期待しました。


―選考プロセスについて教えていただけますか?

Skill Shiftで募集をかけたところ、33名の方から応募いただきました。その中から書類選考させていただき、16名の方とオンライン面接を行いました。書類選考では資格や実績、応募動機なども重視したのですが、「富加町のことを調べてくださっているかどうか」という点も大事にしました。

16名の方と面接するのは大変ではありましたが、いろいろな方とお話することができて、学ぶことも多かったです。皆さん様々な分野の専門知識をお持ちで、中にはふるさと納税に関する知識や経験をお持ちの方もいらっしゃいました。

いただいたご意見も、学びになりました。私たちは特産品を食品で考えていたのですが、「体験型イベントをふるさと納税の返礼品にしてはどうですか?」と提案してくださった方もいました。例えば図書館や町長の家に泊まるとか、VR(仮想現実)を使って富加町に滞在する体験ができるとか。そういう発想は全くなかったので、驚きました。

16名の方と面接した結果、4名に絞り、2回目のオンライン面接を行いました。この4名の方は富加町と似たような規模の地域で副業経験がありましたので、どの方を選んでも、きっと間違いないだろうなと思っていましたが、その中で最終的に1名の方を採用させていただきました。

―採用の決め手となったポイントは何でしたか?

決め手は人柄と実績ですね。面接でもこちらから話しやすい雰囲気でしたし、その方も変に遠慮せず提案内容を明確に言っていただきました。この方なら一緒にうまく進めていけそうだなと感じました。

また採用した方は50代の方でこれまでの実績も多く、食のコンサルタントとして食品会社の商品開発に関わってきたそうです。その他にも、保育園で料理を作ったり子どものアレルギーに配慮した食品を作ったりした経験もあり、管理栄養士や調理師などの資格もお持ちでした。この方なら幅広い年齢層を対象にした特産品ができるのでは、と考えました。


―副業人材の方には、どのような業務を依頼していますか?またやり取りの方法や頻度についても教えてください。

昨年(2023年)9月からお願いしていますので、現在約半年経過したところですね。富加町役場と、副業人材の方、あとは製造する地元の企業、この3者で特産品の開発を進めています。副業人材の方には、レシピの提案をお願いしています。

副業人材の方にはまず1回現地にお越しいただき、関係者でミーティングを行いました。あと2024年1月に試食会を実施したのですが、その際にも来ていただいています。

それ以外のコミュニケーションは、現在町役場と副業人材の方と食品会社のグループLINEで、随時行っています。今後はオンラインでのミーティングも行っていく予定です。


―副業人材を活用した成果がすでに出ていれば、教えていただけますか?

特産品は開発中ですので成果としてはまだ出ていませんが、副業人材の方が考案した4品のレシピで試作品を作り、試食会を実施しました。これは地元メディアにも取り上げていただきました。

試食会でのフィードバックをもとに改良を図って、今後2回目の試食会を行う予定です。2回目はもう少し若い世代の方にも参加していただこうと考えています。その時点でパッケージもできればお披露目できればいいなと思っていて、制作を進めています。

あとこれは成果というわけではありませんが、実は特産品の開発以外に、役場としてもう1名副業人材の方と契約しました。実は1次面接した16名の方の中に、他の地域でふるさと納税の税収をアップさせた実績をお持ちの方がいたのです。別の部署に推薦したところ、契約に至りました。Skill Shiftのおかげで、一気に2人も優秀な人材を確保することができました。


―最後に、副業人材活用に取り組んでみたご感想と、今後の展望を教えていただけますか。


率直に言って、Skill Shiftを使って副業人材を活用して本当に良かったと感じています。私のような町役場の職員だけでは、どうしても思いつくアイデアには限界があります。さらにそのアイデアがターゲットに響くかどうかは、全くわかりません。そういったところを豊富な実績を持つ副業人材の方にお願いできたことは、すごく大きいですね。

また実績のある方でも、通常の業務委託としてお願いすると相当な費用がかかってしまいます。そういう意味では、費用面でも副業人材はすごくメリットがあると思います。

特産品の開発はまだ途中ですが、順調に進んでいます。ふるさと納税の駆け込み需要は12月ですので、2024年内には特産品を完成させて販売を開始したいですね。特産品はふるさと納税の返礼品としてだけではなく、地元の道の駅でも販売を予定しています。

なお試食会で用意した試作品は4品ですが、私個人としては7品あるといいなと思っています。神セブンとか、7っていい数字じゃないですか。今後関係者で協議していく必要はありますが、一気に商品化できなくてもいいので、チャレンジしていきたいですね。

今回の副業人材活用をきっかけに町内の事業者にも副業人材活用も広げて、富加町をもっと盛り上げていきたいと思っています。


岐阜県富加町
〒501-3305
 岐阜県岐阜県加茂郡富加町滝田1511

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