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キャラクターの描き方『荒木飛呂彦の漫画術』|脚本が書きたい!!~脚本の参考になる本を読んでみる!編|

※この企画について
脚本が書きたい!!~脚本の参考になる本を読んでみる!編と題し、脚本を書く上で参考になる本を読み、内容をnoteにまとめていく。
おおもとの企画【脚本が書きたい!!】
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今回は、漫画における「基本四大構造」で最も重要度が高いキャラクターの作り方についてまともていく。

基本四大構造の中で最も強力な要素

冒頭でも書いた通り、キャラクターというのは、物語を作るうえで最も大事にすべき要素だ。これさえしっかりしていれば物語を成り立たせることも可能だという。「キャラクターさえあれば漫画はできる」と言い切る人もいるそう。このことを以下のようにわかりやすく例を挙げている。

ここでクイズです。「まっすぐな心を持っていて、普通であればへこたれるような状況も明るく乗り越え、正義感があり、友達思いで、武道の達人。必殺技は“かめはめ波”」。これだけでもう『ドラゴンボール』の「孫悟空」だと誰でもわかります。このシンプルかつ少年漫画の黄金道を行く完璧なキャラクターと鳥山明先生の絵があれば、それだけで『ドラゴンボール』という漫画は完成してしまうでしょう。

このように、少しの説明で漫画の特定の人物までわかってしまうような、最強のキャラクターがあれば、大きな力となることがわかる。

しかし、このように完成しているキャラクターを真似してはいけない。なぜなら、既に存在するから。真似すれば、キャラクターの持つ魅力を自分のものにできるわけではないのだ。
では、どうやって魅了的なキャラクターを生み出すのだろうか。

キャラクターの作り方ー動機が何かー

何をしたい人なのか
 キャラクターを作るとき、何から考えるべきか。それは動機だ。そのキャラクターが物語の中で生きる動機。つまり、「なんのためにその物語に存在するのか」だ。
 これはキャラクター造形に最も重要なことで、読書を惹きつける大きな要素になる。例えば、『ワンピース』のルフィーは「海賊王になる」という動機が根底にある。王になるという動機は、わかりやすく男子に共鳴する部分があるのではないだろうか。その共感こそが読者を惹きつけるのだ。そして、その動機に「なぜ?海賊王になりたいか」といった問いを投げかけ、より深いものにしていく。

動機の考え方
 では、どうやって動機を見つければよいのだろう。ヒントとなるポイントは、読者が共感する動機かどうか、興味を持ってもらえるかどうかだ。
 例えば、少年誌の場合、動機は正義や友情といった「正しいこと」に基づいていることが好ましい。ただ、「正しいこと」だけをすキャラクターでは、偽善者のようになってしまうので、弱点や欠点、人間的な欲望も加味することも必要だ。しかし、読者のモラルに反するので卑怯になってはいけない。
 ちなみに、荒木氏はジョジョの例を挙げながら、

最も読者が共感するのは、何かに立ち向かっていく「勇気」だと思います。(63頁)

と語っている。

倫理的にどうか
 様々な動機を考えていくと、人間の基本的な欲望に関するものがほとんどだとわかる。ただし、倫理に則っている動機または、倫理的には良くないが読者が納得できる動機である必要がある。納得できるとは、どういうことか。例えば、主人公が「復讐」を動機とするとき、「主人公が復讐せざるを得ない理由や状況」を読者にしっかりと示すことではじめて、復讐という動機は読者に納得される。

『魔少年ビーティ―』から見えた動機
 荒木氏初の連載作品となった『魔少年ビーティ―』は、動機の重要なヒントを教えてくれる。この作品の主人公は、『少年ジャンプ』には珍しい魔少年であるということもあり、連載をするまで苦労したそうだ。また、連載を開始したもののあまり人気がなく、打ち切りになってしまう。しかし、最終話がとても高い評価を得たのだ。
 それはなぜなのか。動機という観点で見たとき、連載中のそれと最終話のでは大きく異なることがあった。魔少年は、最終話で初めて相方の公一という友達のために戦っているのだ。自分の欲望のためではなく、他の誰かのためということだ。

悪のキャラクターについて

悪の魅力
 一方で、悪のキャラクターは魅力的に描くことができる。悪は、人間の生々しい欲望を反映することができるので、読者は普段表に出すことのできない感情を出している悪キャラにカタルシスを得る。
 ただ、このようなキャラクターは読者から共感を得るのが難しい。しかし、そこをクリアすることができれば悪を主人公することも可能だろう。

主人公は孤独

 主人公はヒーローであると同時に、孤独な存在でもある。なぜなら主人公が物語を動かす存在だからだ。つまり、主人公だから「こそ」という独自性が必要になるのだ。その場合、孤独でなければならない。もちろん、主人公に仲間がいる場合もある。しかし、その仲間も同じ孤独の中にいるのだ。例えば、『ジョジョの奇妙な冒険 part5』では、主人公のジョルノ・ジョバーナは、ブローノ・ブチャラティ率いるチームと行動を共にする。しかし、このチームは孤独なのだ。本書の言葉を借りれば、はみ出し者同士の集まりだ(作品中に、それぞれのキャラクターが孤独である理由が示される)。また、彼らが戦うときはそれぞれが孤独である。

キャラを深める身上調査書

身上調査書とは?
荒木氏は、キャラクターを作る際、必ず身上調査書というものを作成するそうだ。これは、履歴書のようなもので、名前・年齢はもちろん生年月日や出身地といった細かいこと、さらには好き嫌いについてまで書かれている(項目は全部で60項目ほどあるそうだ)。これがあれば、キャラクターの特徴を可視化でき、さらに、ストーリーを考えることもできる。例えば、「怖いもの」という項目を埋めればホラーが書けるという具合だ。

身近な人で特訓
キャラクターの身上調査書を書く前に特訓として、自分や友人、家族、憧れのヒーローなどで書いてみると良い。この時、長所だけでなく短所も書くということを意識する。良い面だけでなく欠点を書きだすことでキャラクターの立体感が生まれる。また、短所を克服しようとする「努力」を描くことにもつながる。

脇役について

脇役は、主人公が固まって初めて作ることができるといっても過言ではない。なぜなら、脇役は主人公を基準に固めていくからだ。例えば、主人公とキャラクターがかぶってはいけないし、相性やなども大事だ。主人公と対照的な人物である必要もある。このように脇役がどのようなキャラクターは主人公によって左右されるのだが、脇役や主人公と違い、制約(ー動機が何かーの項目で書いたようなこと)がない。そして脇役は自身の欠点を克服するように動かせばよい。例えば、最初は主人公に敵対するが、次第に友達になるというパターンだ。

次回はストーリーについて書く。


最後まで読んでいただきたきありがとうございました❗❗

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