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ランダムネスに飛び込んでストレスを味わうことが運を良くする。【毎日マインドフルネスで「運が悪い」を変える生き方28】

いつもの「運が悪い」を、結果的に「運が良い」に変えてみませんか?

前回は「運がいい」とはどういうことかについて、たとえ困難な出来事が生じたとしても、途中でそのストレスにくじけることなく、自分のやりたいことをやり続けることで満たされること――そのことが、運が良くなる秘訣なのであると述べました。


ここでいう「運が良くなる」とは、不運を幸運に変えていくという意味で、「運力を鍛える」ということでもあります。

そして運力を鍛えるためには、日々の生活において、生活パターンをいつもと同じように繰り返すのではなく、あえてランダムネスのなかに飛び込み、予想外の不運な出来事に遭遇することも必要なのです。

「不運な出来事に遭遇する」とは、精神的なストレスを感じてイヤな気分になるということでもありますが、完全に打ちのめされることなく、予測や期待が外れることによって生じる「不運 ≒ 失敗」に柔軟に対応できるようになれば、日常生活のことであれビジネスであれ、やがて「幸運 ≒ 成功」がもたらされることが多くなるのです。


前述のバーバラ・ブラッチュリー教授は、『運を味方にする 「偶然」の科学』のなかで、

運がよくても悪くても、その物事が終わってからでないと、結果はわからない。幸運だったのか不運だったのかが決まるのは、あなたが行動を起こしたあとなのだ。

 経験は私たちの精神の機能(考え方)と神経の機能(脳が経験に反応する方法)の両方を変える。どちらかいっぽうだけを変えることはできない。世界でなんらかの出来事に遭遇するたびに、あなたは変化に対応しなければならない。

 私たちがなにをしたところで、ランダムネスは生じる――私たちの宇宙はカオス理論が支配しているのだから。どんな困難に直面しても、柔軟に対処するすべを身につけよう。そうすれば、運に恵まれるようになる。


と述べていますが(注1)、運に恵まれるためには、いつもの決まりきったパターンを抜け出し、あえて「ランダムネスを経験する」、すなわち「ストレスを味わう」ことも必要になってくるのです。


ちなみに運力を鍛える――「運が悪い」を変える――運が良くなるとは、前述したとおり、たまたまの「運」に頼るというよりも、楽器の演奏であれ瞑想であれ、スキルを磨くことでこれまで出来なかったことが出来るようになる、もしくはイレギュラーバウンドしたボールをキャッチできるようになる、すなわち「脳を鍛える」ことを意味するのですが、


このことに関して『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』(野中香方子 訳 NHK出版)という一冊のなかで、著者のジョンJ.レイティ、リチャード・マニング氏らは、

「筋肉が運動によって鍛えられるように、脳は瞑想によって鍛えられるのだ。それは、神経の可塑性とニューロン新生という神経科学の知見から十分、予想される」

というように、瞑想によって脳が鍛えられることについて言及しています。

そして、スタンフォード大学の神経学者ロバート・サポルスキーのストレスについての研究を取り上げ、「まったくストレスのない生活は、必ずしも理想的なものではない」としたうえで、

わたしたちの喜びの回路は気づきと予想外の報酬にチューニングを合わせており、ストレスはまさにその二つが混ざり合ったものだということだ。もっともそのストレスとは、多くの人が日々感じる慢性的な絶え間ないストレスのことではなく、日常的な害のない浮き沈みを指す。幸福な生活とはストレスのない生活ではない。

と述べています。さらに、

「いつでも反応できるよう注意し、警戒する」とはまさに狩猟採集民の精神状態だ。進化の導きにより、わたしたちは注意・警戒することで報酬が得られるようになっていることがわかってきた。それもそのはずだ。わたしたちにとって理想的な状態とは、騒音があふれる状態でも静まりかえった状態でもなく、ストレスがあることでもリラックスしていることでもなく、満腹でも飢餓でもなく、起きていることでも眠っていることでもない。両極の間で体がうまくバランスを保っている一点が、その人にとって理想的な状態なのだ。

とも述べています。


さらに、現代人にも見られる「瞑想」は、「野生の人々の暮らしに存在し、わたしたちには想像するしかない異次元性と精神の平穏さ」である狩猟採集民の思考とほぼ同じものであるとも指摘し、

「瞑想がもたらすのは、わたしたちの進化の歴史および種としての特性との、完全なる調和なのだ」

と述べていることは傾聴に値します。

そして、「マインドフルネス」を「狩猟採集民の精神状態を表す言葉」として使用し、「「新しい変化に着目する」方法を教えている」ハーバードの心理学教授であるエレン・ランガー氏の研究について触れたうえで、「進化が狩猟採集民に与えた生き残るための方策」であった「変化に着目すること」が肝心であるとしています。


日常生活の中の程よい緊迫感が運を良くする。

現代社会においては、朝起きてから行きたくないと思う職場や学校では緊張した時間を過ごし、そのことが精神的なストレスや慢性疲労になって、家では何となくダラダラと過ごしてしまうというのはよくあることです。

そして、ここで取り上げた「狩猟採集民」の話は、どこか遠いところにあるように感じられるかもしれませんが、いつもの不運を変えていくためには、ストレスを敵と見なして嫌がるのではなく、日常の基本的な心構えを、緊張しすぎているのでも緩みすぎているのでもない、バランスの取れた状態のほうへシフトしていくことが大切になってくるのです。

ちなみにこのことに関して「雀鬼」の桜井章一氏は前述の『運に選ばれる人選ばれない人』のなかで、

緊張だけで終わるとマイナスだが、それが緊迫感に変わるといいものを生み出す

と述べています。

またこのことについて、

日常における緊迫感は現場を大事にする感覚から生まれます。現場感覚とは、感覚を研ぎ澄まして瞬間、瞬間に変化し動く目の前の状況にあたっていく感覚です。

と説明しているように、「日常における緊迫感」は「瞬間、瞬間に変化し動く目の前の状況にあたっていく感覚」である現場を大事にする感覚から生まれるのです(注2)。


いきなり狩猟採集民の精神状態や完全なる調和を目指すのはハードルが高いかもしれませんが、「小さな習慣」として日々マインドフルネス瞑想を実践し、緊迫感をもってランダムネスな現実の瞬間瞬間に注意を払い、変化に着目するようにするだけで、いつもの「運が悪い」は変えられるのです。



注1

 幸運の女神の微笑みは、貴重で高価なものになりうる。だからこそ、ランダムネスを利用したければ、まずは外の世界にでていこう。そしてランダムな砲撃の真ん中に身を置こう。たしかに、リスクはある。とはいえ、運がよくても悪くても、その物事が終わってからでないと、結果はわからない。幸運だったのか不運だったのかが決まるのは、あなたが行動を起こしたあとなのだ。万時うまくいって、あなたが望みのものを手にいれたのであれば、万歳、幸運だった! でも、うまくいかなかったのであれば、ミスから学び、また挑戦すればいい。

バーバラ・ブラッチュリー『運を味方にする 「偶然」の科学』 栗木さつき 訳 248頁


 経験は私たちの精神の機能(考え方)と神経の機能(脳が経験に反応する方法)の両方を変える。どちらかいっぽうだけを変えることはできない。世界でなんらかの出来事に遭遇するたびに、あなたは変化に対応しなければならない。そして一時的にであろうと永遠にであろうと、あなたは考え方とニューロンのはたらき方の両方を変えていく。さまざまな経験を通じて、記憶は脳のなかで絶えず変化を遂げているのだ。

同 249頁

 

 運とは、世界に存在するランダムネスの見方のひとつだ。『オズの魔法使い』のドロシーのように、私たちには昔から運を味方にする力がそなわっている。ランダムネスに心をひらき、それを受けいれ、不安に思ったり怖れたりせず、ミスから学び、勝ち目のない試合運びを変えられるようになれば、私たちはランダムネスから利益を得られるようになる。たとえ大きなスケールで宇宙を支配することはできなくても、人生のささやかな一面をコントロールできるようになるのだ。

 私たちがなにをしたところで、ランダムネスは生じる――私たちの宇宙はカオス理論が支配しているのだから。どんな困難に直面しても、柔軟に対処するすべを身につけよう。そうすれば、運に恵まれるようになる。

同 252頁


注2

 緊迫感は、試合とか試験とか本番の時のみに出せばいいというものではありません。ふだんの生活を送っていく中にも、ある種の緊迫感は大事です。日常における緊迫感は現場を大事にする感覚から生まれます。現場感覚とは、感覚を研ぎ澄まして瞬間、瞬間に変化し動く目の前の状況にあたっていく感覚です。考えているだけでは現場感覚は生まれません。

桜井章一『運に選ばれる人選ばれない人』 103頁


次回へと続きます😊


お忙しい中最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪



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「運が悪い」を変えるためには、マインドフルネスの習慣化が大切です。



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