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evolution②〜エジプト初日の進化論〜

⬇︎前回お話はこちらから
evolution①〜エジプト初日の進化論〜

約2時間に及ぶ、私の荒ぶりをアラブ顔にぶつけるアラブの春は無念の敗北に終わったものの、どうにかSIMカードを無事ゲット。標準装備は整った。そうなってくるとお次は初めてのUberだ!とりあえずドライバーが私を見つけやすいように、アジア人顔全開の自分のプロフィール写真をアプリにセットした。今度こそ塩顔のお披露目どころだ!

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もちろん私もドライバー情報が事前に確認できるので、ドライバーの顔を写真で確認しつつ、私がいる場所にやって来る車をアプリでチェックしながら待っていた。よくよくドライバーの自己紹介欄を見てみると、名前がモハンマドだった。
お前がモハンマドか!!偶然か!などと、Uberのサプライズ(?)にツッコミを入れながら待っていると、アプリに“到着しました”の表示!

しかしこの辺りには車がいくつも停まっていて、モハンマドの顔、アプリの写真上では認識できてるのだけど、正直その辺にいるドライバーたち、みんな顔モハンマドじゃん。暗いしさ。
え?どれが本物?となる自分。もうこれは私の今の強み、アジア人全開の顔を晒すしかない。モハンマドが私を見つけるしかないのだ。
暗闇で幾人ものエジプト人がうろつく中「どれがモハンマドだ...?」を、どこかに殺し屋が潜んでないか...?と同じ具合の眼差しで見渡す私、、を見つけるモハンマドォ〜〜!!奇跡の再会!いや初見か!遭遇できたときの感動はひとしおであった。

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あんなに多くのモハンマド(的顔面)の中から本物に会えるなんて。それくらい高揚した気持ちになった。なぜならば、Uberは車のナンバーもアプリにちゃんと記載してくれていて、本来ならばそのナンバーからもドライバーを推測できるはずであった、が!ここエジプトでは違った。

当たり前のように1、2、3、4、、と習ってきた数字。子供から大人まで老若男女の誰しもが読み書きできることでワールドワイドに有名なあの数字!が!まさかのここアラブ諸国では、アラビア数字という素人には全く読むことも書くことも出来ない書体で書かれていたのです!全世界で有名な...全世界で唯一共通と思われていた数字が...!
カーナンバーも読めない、顔はモハンマドで溢れてる、という中での初めてのジャストミートだ。感動しないわけがなかった。

⬇︎アラビア数字

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初めての Uberの乗り心地は快適だった。言葉が通じないというのは、無駄にどうでもいい会話をしなくていいし、なんなら私の行き先だけは把握してくれていて、その場所までなにも言わずに運んでくれるのだから、最高じゃん Uber!手を出すのが遅すぎたよまったく!

夜も22時をまわり、車の中から見渡すカイロの街はもう真っ暗だ。だけど、初めて見る国がどんな姿をしているのか興味を抑えることが出来なかった。空港の何もないへんぴな場所から、少しづつ市街へと近づいていく道。本来の姿をじわじわと見せてきてくれるあの感じ。あの初対面の初々しさを感じる時間がとても好きだ。

今日の宿はどんなところにあるのかな、安宿だから何も期待はしてないけど、それでもどんな宿だろう?と、高揚感はさらに上昇。この国にたどり着いた日きっとなんだか嬉しくてきっとなんだか〜おーイェ〜♩と頭の中でayuが歌っている。左手は腰に、右手は人差し指をオーディエンスに向けてビーム!のあの姿が完全に整った。

様々な思いを馳せていると、体感ではあっという間、実時間としては40分ほどで到着した。
真っ暗な、、暗闇、、に。
、、はて。

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「...おいモハンマド。ここであってるのか?ここは本当に私の宿があるところなのか?」という疑いをかける私に、「そうだが????」と、有無を言わさぬモハンマド顔でアンサーしてくるドライバーモハンマド。
いい人だった。いい人だったんだ。 Uber料金も40分で約700円、予想以上に安くてとってもよかった。だけど、あまりにも暗闇すぎるんだこの場所が。

モハンマドにバイバイを伝え、宿、が入っているであろうボロボロの廃墟のような建物に入ってゆく。あまりにも鎮まり返っていて奇妙だ。エレベーターらしきものを見つけたけど、これは私たちが知っている、壁面にしれっと備わっているエレベーターではない。建物のど真ん中に、大きい熊が一匹入りそうなほどのボロボロに錆びた檻が剥き出しに吊るされていて、上から下に、下から上に、手動かよ!と言いたくなる不器用さでガコンガコンと激しい音を立てながら上下している。エレベーターのドアも手動の押し扉。作りが謎い、謎すぎる。モノは試しで乗ってみる。

宿がある予定のフロアに到着。エレベーターを下りると、目の前に横向きの通路があり、右か左か、宿はどっちなんだ。と、そんなことよりも、、これは、ここには、、絶対にいる、、!ヤツが、、殺し屋の、、殺し屋のレオンが、、!!

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私が空港に到着してから幾度となく押し通してきた眼差し、どこかに殺し屋が潜んでいるのではないかという疑いの眼差し。完全にここでその気持ちが爆発した。あまりにもこの建物のレオンモードがすごすぎる。このままではスタンも出てきそう。そうなってくると私は、、マ、マチルダ?右にギロリ、左にギロリ、慎重に目線を配る私。現実は裏切るもので判断さえ誤るけど、左だ、、宿は左。意思の強さと勘の働きはレオンに学んだ。

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”トントン・トン・トントン・・・”

2回、1回、2回。静かに宿の扉を叩く。書くことも読むこともできないアラビア数字も、音の回数で聞くぶんには世界共通なはずだ。よかった。と思うも、扉の中から一切の反応がない。こんなところで野宿なんて嫌だよ、、レオン、お願い、、出てきてーー・・・!泣
、、って、出てきた!出てきたけどさー!
モハンマドー!みたいなアラブ顔でもなく、モハンマ、モハ、、モハメドアリの方かよー!みたいな超絶でかい黒人さん出てきたー!すっごいでかい。しかも今まで絶対寝てたやろ!っていう若干不機嫌なのか寝起き悪いだけなのかよく分からんけど、とにかくなんか怖えぇ!まじかー!

この時間帯のこの様々な出来事、奇想天外が、今日も私を強くしてくれた。新しいものや知らないことを自分の中に取り入れ、進化していくことが大事だということにも気づいた。
ありがとう、シム&ウーバー。
今夜は疲れた身体をゆっくり休ませ、目覚めたら朝一番に牛乳を買いに行こう。エジプト滞在を乗り切るには、もっと体力づくりが必要だ。

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