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evolution①〜エジプト初日の進化論〜

なんとなく気持ち的にすごく遠いような気がしてなかなか行く機会のなかった国、エジプト。そろそろピラミッドくらい見とかねばね、と思い立ち、度重なる調査の結果、エジプト旅において最も重要な2大巨塔が判明した。それは「SIM(シム)カード」と「Uber(ウーバー)」だ。

海外によく行く人たちの間では、もうとっくの昔から使いこなされているSIMカードとUber。私は海外によく行くけれど、これまで一度も利用したことがなかった。理由は特になく、新しいものや知らないことに手を出すのが億劫なだけだった。しかし今回のエジプトだけは、渡航経験者である数々の先人たちが「SIMカードとUberさえあればエジプトは制覇したようなもんや!!」と皆がこぞってブログに書いていたので、ついに手を出すことにした。

なんでこういう国(なんとなく怪しい)に限って、飛行機の到着便は夜が多いのだろうか。インドでもそうだった。その当時の先人たちのブログに「インドに夜到着するのだけはやめておけ!でもほぼほぼ夜に到着する便しかないんだがな!」と、ためになるのかならないのか、葛藤だらけのアドバイスをもらったっけか。とにかく、こういう国に限って夜に到着する便が多いのだ。訪れたことのない怪しい国の夜ほど緊張を煽るものはない。そういうときはきまって「どこかに殺し屋が潜んでるのではなかろうか...」と疑うような目つきで、ギョロギョロ見渡しながら私は動く。

カイロ空港に到着し、一番最初にするべきはSIMカードの購入。夜でも空港には人が多く、SIMカードカウンターにはたくさんの客で溢れ返っていた。
もちろん皆さん、日本人みたいに並んだりはしない。ひとつの小さなカウンターに10人強の人がわんさか覆い囲んでいる状態。ドームの真ん中で全盛期のayuが「みんな〜!今日はありがとー!どんな曲が聴きたいかな!?5GBの曲?それとも10GBの曲かな!?この星に生まれついた日きっとなんだか嬉しくってきっとなんだか〜おーイエ〜♩」と歌っている最中、超マナーの悪い一部のファンたちが、アリーナ席を完全に無視してガッシガシに舞台最前列に詰め寄っている感じ(そんなファンはいないだろうが)。とにかく私はプラン内容が見たいので、アジア人的体型の小ささをうまく利用して、最前列に潜り抜けた。

なるほど!噂通りとっても安い!
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しかしまー、待てど暮らせど私の順番が回ってこないわけです。カウンター最前列にいるものの、日本人としての教養がしっかり刷り込まれている私としては、横入りなど決してせず、静かに順番を待っているわけです。しかしショップ店員の若いにーちゃん2人は仕事がすんごく遅くて、"the golden slowest of the year"受賞しちゃうんじゃないかってくらい遅くて、これだけ待ってるオーディエンスが目の前でアリーナ無視してグイグイ来てるというのに、対応中の客とたわいもない話とかしちゃってるわけ。ファン想いじゃない!おまえはayuにはなれない!なんかの賞も受賞出来ない!怒、などと憤慨しながらもかれこれ1時間くらい待った。

徐々に周りのお客さんたちの対応も終わり、ついに私の番がまわって来た!と思った瞬間、目に入ってきたのは、おそらく私と同じくらいのタイミングでやって来てずっと待っていたと思われる5人組のグループ。
たのむ!私に先に行かせてくれ!こっちは1人。そっちは5人!頼むから私を先に行かせてくれ!と心の中で強く願いつつ、最後の最後に日本人としての教養を思いきり捨て去っては、グイッとお店のにーちゃんに「このプランで!!」とお金を突き出し、荒ぶった。その瞬間、アラブ代表ー!みたいな、いかにもアラブー!感がすごい、絶対名前はモハンマドだろ!っていうカンドゥーラを着てクトゥラを被った出で立ちの30代後半くらいの男(+4人)が、すんごい冷たい形相でこちらを見ていた。そして間髪入れずに「我々が先に待っていた」と言い放ち、私の言い分も何も聞かずにお店のにーちゃんたちと話し始めてしまった。マザーランゲージ、アラブ語ですけど何か?って顔しながら話し始めた。くっ、、勝てねぇ、、アラブ語で楽しそうに会話している、、。ここは心穏やかに、日本人らしく、、場をわきまえて、この、、モハンマド、、おまえは、、「おまえはどこの国の人間だ?」と私の口が勝手に吐いて出た。ややガンつけ気味になっていたのは言うまでもない。アラブの春でも起こしたろうか、非暴力の民衆の強さを思い知れ!という気持ちで私は凄んだ。「お前はどこの中東野郎だ????」と、自分史上、最上級の凄みを放つ勢いで質疑したら、「サウジアラビアだが?」が、「我が出身国は偉大なるサウジアラビアだが何か????」と私には空耳アワーするくらいの凄みで応答してきた。

高飛車に整った濃っゆーいアラブ顔で、すごい眼力なのに冷え冷えとした眼差し&声で言われたので、完全にただの某アジア諸国の民衆である私は怯えあがり、私のアラブの春は即刻敗北宣言を掲げるという結果に終わってしまった。

そして何これ。いつの間にか私が一番最後の客になってしまっているんですけど。かれこれ2時間ほど経っているんですけど。
日本人の中では顔面強めの私も、ここ中東においては塩を撒かれるくらいの塩顔だった。人間、顔じゃないが、顔面の強さで負けた気がする。

〜evolution②へ続く〜


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