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「37.2℃の手紙」


好きなものって、じぶんが思ってるよりもずっと、好きなのかもしれない。

たとえばレストランに行って、何を食べようか迷ってるとつい、ネギトロ丼を頼んでしまって、(あ、またか)なんて思うんだけど、食べるとやっぱり
すごく落ち着いちゃうこととか。

夕飯を作るとき、なにか音楽がほしくて、(ちょっと気分じゃない気がするんだけどなあ…)なんて思いながらオザケンを流したら、いつの間にやらノリノリになっちゃって、歌ってるうちに「あ!ほかほかのご飯が出来てる!」とか。

うちにある本で、まだ読んでないのがたくさんあるから、何か読もうと本棚を見ていたら、もう何度も読んでるはずのダンス・ダンス・ダンスールをまた手に取って開いてしまって、泣いたり震えたり息を飲んだりしてるうちに、いつのまにか小一時間も経ってたりして。

あたらしいものをもっと知りたいし、好きなものは味方だと思うから、どんどん増やしたい。まだ知らないすごいものが、きっとたくさんあるはずだから。

そう思えば思うほど、空振りに似た気持ちが強くなっていく。もはや深夜の庭先での素振りみたいになっていく。

汗をふいたら、タオルから、昼間に干したんだろう、あかるい陽のにおいがしたりして。

冷蔵庫から麦茶を取り出して、コクコク飲むと、かどのとれた氷が、からんという音を立てたりする。

このタオルとか、麦茶のこと、かなり好きだ、すごく好きだ、って思うから。

じぶんにとってのタオルや麦茶みたいなものを、日々こさえてくれる人たちに。

それから、ほんとうにタオルと麦茶を作ってくれてる人に。

好きだって、ありがとうって、ちゃんと伝えていこうと思います。

余談ですが。

恋、だと瞬間的な響きで素敵なんですけど、好意、だと、アーチみたいな、架け橋みたいな感じがして、なんだかぐっときます。

読んでいただき、ありがとうございました。まだ暑さが続くかと思いますが、みなさまどうかそれぞれにご自愛ください。


しんきろう


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