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#模倣犯

『楽園』~悲しくて優しい物語~

2007年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるもので

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『楽園』4~悲しくて優しい物語~

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 ノアエディション(フリーペーパー社)に雇われている前畑滋子の元に、中年女性・敏子が訪ねてくる。敏子には夫はおらず、40歳を過ぎてから産んだ一人息子・等を事故で失ったばかりだった。敏子は等には超能力があったのではないかと思っており、滋子に捜査を依頼に来たのだ。
 等が生前に描き残した絵には不思議なものがあり、それがサイコメトラー能力のなせるものではないかというのだ。
 滋子はこれを

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『模倣犯』(映画)~芸術は爆発だ!~

2002年公開(日本)
原作、宮部みゆき 監督・脚本、森田芳光
 

※ネタバレあり

 小説版『模倣犯』の感想が終わったので、映画版についても。小説版のネタバレも多く含みますのでご注意ください。

 映画版模倣犯は、原作者が試写会を途中退席したという噂(実際は空調がきつくてトイレに立っただけという話も)もあって非常にほめにくい空気がありますが、自分的には嫌いじゃないです。
 映画版から入っていま

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『模倣犯』(映画)~芸術は爆発だ!~(2)

2002年公開(日本)
原作、宮部みゆき 監督・脚本、森田芳光
 

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件を追いかけるライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきたキイキイ声

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『模倣犯』宮部みゆき(1)

『模倣犯』宮部みゆき(1)

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバックの持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきた

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『模倣犯』宮部みゆき(9)~雑感・気になる点~

『模倣犯』宮部みゆき(9)~雑感・気になる点~

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかっ

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『模倣犯』宮部みゆき(8)~結末~

『模倣犯』宮部みゆき(8)~結末~

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

→前(由美子の運命)へ

※ネタバレあり

~結末~

 由美子の自殺を知り、滋子を始め、真一も義男も、相手を追いやってしまったという気持ちを持ちます。
 そして、ヒロミとカズを犯人と決めつけたルポを書いていた滋子は、最も深く心に傷を受け、自分を許せなくなります。その感情が、ピースを倒す力につながるのは、せめてもの救いかもしれませ

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『模倣犯』宮部みゆき(7)~由美子の運命~

『模倣犯』宮部みゆき(7)~由美子の運命~

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきたキイキイ声の電

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『模倣犯』宮部みゆき(6)~ヒロミの死後~

『模倣犯』宮部みゆき(6)~ヒロミの死後~

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 →前(ピースとヒロミについて)へ

※ネタバレあり

~ヒロミの死後~

 ピースはヒロミを殺すつもりでさしむけたのではなかったようですね。
 本当に、カズと、ヒロミくんと、世間を舐め切っていただけだったのか……。映画を先に観ているので、ピースはてっきりヒロミを死なすつもりで送り出したと思っていました。なのでちょっと拍子抜けしま

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『模倣犯』宮部みゆき(5)~ピースとヒロミについて~

『模倣犯』宮部みゆき(5)~ピースとヒロミについて~

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきたキイキイ声の電

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『模倣犯』宮部みゆき(4)~話は進み・カズについて~

『模倣犯』宮部みゆき(4)~話は進み・カズについて~

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバック の持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかかってきたキイキイ声

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『模倣犯』宮部みゆき(3)~物語の流れ・ピース・ヒロミについて~

『模倣犯』宮部みゆき(3)~物語の流れ・ピース・ヒロミについて~

小説の感想です。

2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバックの持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。
 マスコミにかか

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『模倣犯』(2)~よかった表現について~

『模倣犯』(2)~よかった表現について~

『模倣犯』~よかった表現について~
2001年出版(日本)
著作、宮部みゆき  

 高校生の塚田真一は、犬の散歩の途中、公園で人間の片腕を発見する。そこから明らかになる連続誘拐殺人事件。失踪したと思われていた女性たちは殺されていた――。片腕とは別に発見されたハンドバックの持ち主・鞠子の祖父、義男。事件のルポを書くライター、前畑滋子。犯人を追いかける警察、武上・秋津・篠崎……そして犯人たち。

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