スウェーデン長谷川佑子

スウェーデン在住、看護師。認知症、高齢者医療の専門。 医療、福祉、北欧の子育てについて…

スウェーデン長谷川佑子

スウェーデン在住、看護師。認知症、高齢者医療の専門。 医療、福祉、北欧の子育てについて発信しています。 HP はこちら https://crystal-onion-ccp34w.mystrikingly.com/

最近の記事

「介護離職」についての記事

この春から、とても素敵な宮本礼子医師との連載が、読売新聞のオンラインサイト「ヨミドクター」の中でスタートしました。 「介護離職」がないスウェーデン、年間10万人を超える日本 何が違う? | ヨミドクター(読売新聞) (yomiuri.co.jp) スウェーデンと日本では、価値観も文化も全く違うので、スウェーデンのシステムが日本に合うわけではないと思いますが、日本での「介護」という課題を考えるときに、一つの参考になったらいいな、と思います。 スウェーデンの医療や介護システ

    • ようやく見えてきたゴール

      今年1月から必死に書いてきた 大学院、高齢者看護(老年看護学)での修士論文がようやく形になってきました。 論文は 、在宅に住む 初期の認知症患者への検査や支援を行う、地域診療所で働く看護師がどのように他の医療職や地域の福祉職と連携をしているかについてのインタビューを分析したものです。 スウェーデンでは10年ほど前からベーシックな 認知症診断については 地域の家庭医が行うという方針になりました。 診断を していく中で とても大事なのが 認知症が疑われている方の生活の

      • 2023年 3つの成果:減薬、NO褥瘡、いい職場

        2022年9月から現在の職場に移りました。前職も同じような高齢者施設での勤務だったので、業務内容については基本的に同じです。 しかし、現場が変わりチームがかわるというのはとても大きな変化です。 私と一緒に高齢者のケアをしていくケアワーカー一人一人を知り、チーム作りをしていくことが何よりも大事ですが、とても時間のかかります。 私が働き始めた頃は、ケアワーカーのグループで喧嘩やいじめがあり、職場で泣いている人すらいました。また、私の担当する部署の責任看護師の入れ替えがここ数年

        • 北欧の暗くて寒い日々に、明るい気持ちになったこと

          先日に素敵な方との出会いがありました。 私の子育てに関するブログを読んで連絡をくれた日本の医学部5年生の方です。 この方は スウェーデンでの子どものカラダ、人間の生命や 性に対する教育や サポートがどのようにされているのか興味をもち、現地に調査に来ました。 1、2週間ほど スウェーデンに滞在し 保育園、小学校、 ユースクリニックを訪問し たそうです。 スウェーデンにあるユースクリニックというのは若者が気軽に、予約なしでも相談や検査ができるクリニックで、親や学校の保健室でも

        「介護離職」についての記事

          スウェーデンの高齢者施設ではどのように 終末期ケアへと移行するのか

          認知症を患った人の中には認知症の悪化、つまり脳の働きの低下により最期を迎える人もいます。 そのような人の多くは、自分自身で食べることが難しくなるという症状がみられます。食べるという動作自体が難しくなる人は、介助によって食事をするようになります。そして、徐々に飲み込みのプロセスが困難になってきます。 飲み込めない、もしくは飲み込んでも誤嚥してしまう状態になると、栄養と水分の摂取が難しくなり、摂取できるものを少しとりつつ、木や花が枯れていくように、終末期を経過し亡くなりま

          スウェーデンの高齢者施設ではどのように 終末期ケアへと移行するのか

          私の実習 高齢者精神疾患外来兼自宅訪問チーム

          ウプサラ大学病院は、最先端医療や急性期医療の場所でもありますが、高齢者への地域医療も担っています。 特に、高齢者医療については、日本では珍しい「高齢疾患内科急性期病棟」、大腿骨骨折後の「高齢者リハビリ病棟」、や認知症検査と在宅リハビリを専門とする「高齢疾患外来、医療と介護の間をつなぐ「身近ケア病棟」、「高齢者精神疾患外来兼訪問チーム」、また、病院内の患者さんだけでなく、施設、在宅の人の終末期ケアをサポートする「ターミナル期ケア専門外来、コンサルタントチーム」、「高齢者疾患対

          私の実習 高齢者精神疾患外来兼自宅訪問チーム

          スウェーデンでの生活と「音楽」

          とても読みやすく編集してもらった記事、ぜひ読んでみてください。 世界で活躍するミュージシャンがスウェーデンから輩出される理由とは?教育と公的支援のエコシステムがヒット曲量産の秘密!? (glolea.com)

          スウェーデンでの生活と「音楽」

          スウェーデンで看護学生の実習指導者

          10月は4週間にわたり地元の国立大学の看護師プログラム2年目の学生二人が、私の職場である「特別な住宅」とスウェーデンは呼ばれる高齢者向け入居施設へ、彼らにとっては初めての長期実習にきました。 私は、二人の実習の担当で、普段の業務と共に彼らの課題をクリアできるように、指導し、一緒に考えていきます。 二人の学生は男性で、一人は電気専門職のプログラムを終えた後に、もう一人は建築学科を卒業してから看護師プログラム入った人です。 二人ともモノ相手の領域を学んだ後、専門職としてのキャ

          スウェーデンで看護学生の実習指導者

          スウェーデンの「最期の時」についての考え方

          全ての人に訪れる「人生の最期の時」は、本人の希望、尊厳、自己決定を一番に優先するのが、スウェーデンでの価値観です。 認知症を患った方は施設に入った時から、スタッフは本人や家族と充分なコミュニケーションをとり、高齢者がどのような価値観をもっているのか、自分の人生の最期をどのように送ることを望んでいるのか聞きます。 家族には、認知症という病気についての理解を深めてもらい、将来、最期の時が近づいたときの予兆、例えば食べなくなる、傾眠の時間が長くなるといった知識を持ってもらいます

          スウェーデンの「最期の時」についての考え方

          「食べる」と「栄養」のスウェーデン流高齢者ケア

          「生きている」ということを感じる要素に「食べる」ことを上げる人は多いです。 スウェーデンでは、認知症の病気の進行によって食べられなくなっても、胃瘻はつくらないというのが、国のガイドラインです。 食べられるものを、食べられるだけ。最期は味わいたいものを口に入れて楽しむ、というのが人生の最期の食事のスタイルです。 もちろん、このことについては家族にはしっかりと話をしています。 認知症の人にとってどんなことが「質の高い生活となるのか」という価値観で医療者と丁寧な話し合いがあるとほ

          「食べる」と「栄養」のスウェーデン流高齢者ケア

          手から伝わる、ケアの気持ち

          朝、高齢者の部屋を訪れケアを始めるにあたり、 スタッフはどのようにしているでしょうか。 私がスウェーデンの施設で習ったものは次のようなやり方です。 まずノックをして部屋へ入り、高齢者から少し離れた小さな灯りを点け、 寝ている人の目線と近くなるように屈むか、いすに座り、手や肩をさすりながら、「カーリン、おはよう。」とゆっくりとやさしい声で話しかけるのです。 もちろん、触られることで不安になる人には、毎朝、了解を得てから触れます。 決して、大きな声で起こしたり、高齢者の顔を

          手から伝わる、ケアの気持ち

          私がスウェーデン看護師Sjuksköterskaになるまで。

          私が2008年にスウェーデンに移住した時「タック (ありがとう)」 「ヘイ (こんにちは)」くらいしか言えませんでした。 そんな私がどのように スウェーデンの 看護師になったのかを ご紹介します。 スウェーデンで看護師をしてみたいと思っている、看護師の方の参考になれば。 外国から スウェーデンへ移住した人はみんな SFI(移民のためのスウェーデン語学校)という 語学学校に無料で入れます。 もちろん、語学適性試験を受け、直接希望する進路にあった大学や、専門学校に行く

          私がスウェーデン看護師Sjuksköterskaになるまで。

          スウェーデンの森 vol. 2 森をつくる?育てる?!

          多くのスウェーデン人は、森が好きです。 実習先の病院ではお茶の時間にスタッフが、どこの森できのこを採ってきたという話しで盛り上がり、そこにいた医師に看護師みんなが、 「森がないと生きていけない」 とまで公言していました。 スウェーデン人は自然を楽しみながら生きるのが上手だなと時々思います。 (よろしければ、スウェーデンの自然の楽しみ方について書いた記事もお読みください。) 北欧「スウェーデン流」子育てスタイル★子どもと一緒に楽しむ自然とリラックス時間の楽しみ方 |

          スウェーデンの森 vol. 2 森をつくる?育てる?!

          スウェーデン人の考える高齢者の生活環境

          スウェーデンの冬は長く、暗い時間も長いので人々は屋内で過ごす時間がおおく、少しでも居心地のよい環境を大事にして、ある統計では自宅の環境を整えるための費用が収入の30%近くにおよび、食費よりも高い値になっています。 家の外にでることが簡単でない高齢者にとっては、室内の環境はより大切になってきます。 これまで家族や自分の大切にしたものが詰まった場所が家であり、スウェーデン人の友人は、どんな素敵なホテルよりも自宅がくつろぐ場所だといいます。 高齢者が認知症を患い自宅に住むこと

          スウェーデン人の考える高齢者の生活環境

          予防歯科先進国「スウェーデン」式の歯磨き&口腔ケアテクニックとは?

          今日も職場のケアホームには、歯と口腔の検査をしてくれる「歯科検査士」さんが回ってくれています。 認知症のある方は歯科に行くまでも大変なので、お部屋を回ってくれてとてもスムーズです。 入居者を診てから、我々看護師に、個々に合わせたケアの注意点を丁寧に伝えてくれます。そして、それを看護師がケアワーカーに指導し、日常のケアへとつなげて行きます。 子どもから高齢者まで、「健康な歯、清潔な口腔」こそ、幸せな毎日に繋がるので、いろいろな職種が協力して予防歯科を進めていきます。 皆さ

          予防歯科先進国「スウェーデン」式の歯磨き&口腔ケアテクニックとは?

          健康でいられるための、きっかけづくり 

          昨日は、6年ぶりにマラソン大会に参加してきました。 ストックホルムのユールゴーデンという島をぐるりと回る、ウーマン10キロマラソンです。 コースの横には、馬がいたり、船が通り過ぎたり、ストックホルムの街並みを眺めたりと、苦しいながらも景色を楽しめ、参加証のメダルともらって帰ってきました。 独身の頃は、よく仲間とトレーニングをしたり、走った後のビールを楽しみにマラソン大会に参加していました。 しかし、子どもが生まれる、勉強や仕事があるなど、日常のトレーニングの時間を

          健康でいられるための、きっかけづくり