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私がスウェーデン看護師Sjuksköterskaになるまで。

私が2008年にスウェーデンに移住した時「タック (ありがとう)」
「ヘイ (こんにちは)」くらいしか言えませんでした。
 
そんな私がどのように スウェーデンの 看護師になったのかを
ご紹介します。
スウェーデンで看護師をしてみたいと思っている、看護師の方の参考になれば。
 
 
外国から スウェーデンへ移住した人はみんな SFI(移民のためのスウェーデン語学校)という 語学学校に無料で入れます。
もちろん、語学適性試験を受け、直接希望する進路にあった大学や、専門学校に行く人もいますが、多くの外国人はこの語学学校からスウェーデン生活が始まります。
ただ、この学校にはスウェーデンは居ないので、毎日学校にいるとスウェーデンで暮らしている感じが全くしません。
 
 
このSFIの最後のコースでナショナルテストに合格すると終了となります。終了レベルは優しいスウェーデンで書かれた新聞記事が読めて、自分の意見が書けることや、天気予報を聞き取れるというくらいです。
試験はグループでのディスカッションもあったと思います。
 
 
私は、18世紀の恋愛小説で、三角関係の縺れから、夫を殺した妻の話をグループディスカッションする試験で、全く意見が思いつかずクラスメイトから「登場人物の3人のうち誰が悪いかはっきりしなさいよ。」と詰められた経験があります。

世界中から来た、若い子や高齢のクラスメイトのスウェーデン語レベルを似たようなものなのですが、みんな自分の意見をはっきり持って、主張することができ、日々驚いていました。
 
今、スウェーデン人と仕事をしていると、スウェーデン人もあまり強く自分の意見を言わない国民性なので、SFIの時の苦労はありません。
 
 
この学校に在籍している期間は人それぞれです。
ただ、この語学学校の運営資金は市の予算からでているので、多くの生徒が勉強せず長く在籍すると、先生の人件費もかさみ、予算が足りなくなるため一年で卒業できると10万円くらいのお小遣いがもらえるという実験的制度一時期がありました。
 
私の印象では 、このSFI は ヨーロッパや 英語圏 から来た人は 比較的 スムーズに終えるような気がします。きっと、同じ言語グループだとさほど難しくないのかもしれません。
日本人やアラビア語圏の人は比較的苦労しているようです。 

次に 社会人のための学習コース 、KOMVUXに行きます。
 
そこで 高校 レベルまでのスウェーデン語を学ぶのですが、
外国人の行くクラスは第2外国語としてのスウェーデン語 なので、
スウェーデン語が母国語の人のコースとは違います。
 
 
またこの KOMVUXは仕事をしながら勉強している人もいますし、スウェーデンの高校を卒業した人たちが、大学へ入るために足りない 科目を学ぶ場でもあります。
 
日本でも話題になっている「学び直し」 が1科目からでもできるわけです。
もちろんこのコースも税金で運営されており無料です。
 
高校レベルのスウェーデン語ができるという試験をパスすると、
いよいよ 看護師免許取得のための進路が選択できます。
 
外国で看護免許を取得している場合、こちらの3年間の看護師プログラムに行かずともスウェーデンでの看護師免許が取れます。
 
 
取得の方法は2通りあります。
 
1つは 外国人看護師のための看護師試験を受けて合格し、その後半年間で、病院や家庭医、 高齢者施設で実習を行い 、 実習先で臨床試験を合格するとスウェーデンの 看護師免許が取れます。
 
この試験を私も一度は受けたのですが 精神科、小児科の範囲が非常に難しく、各科 特有の看護ケアや薬の 副作用を知っており スウェーデン語で看護プランを立てないといけない内容で、成人の急性期病院での経験しかない私には難しかったです。
 
さらには テスト合格しても 実習先を自分で探すのがかなり難しいようです。
 
試験に合格できなかった私は もう一つの方法である、外国人看護師のための看護免許取得コースに1年間に通うことになりました。
 
しかしこのコースに申し込むタイミングが少し遅く 定員がいっぱいで、
1年待ってからのコースのスタートとなりました。
 
その待っている 1年間 、同じ街に住む日本人看護師の方が、大学病院でケアワーカーとして働くことを勧めてくれ、その方のボスに面接にいくと、日本人なら大丈夫ね、と採用してくれました。
 
この大学病院での仕事の前に、老人ホームでの仕事をしていたのですが、職場で学べることの量はとても違い、病院では看護師とチームで仕事するので、看護プランについてや、スウェーデンの医療システム、福祉との多職種連携などとても多くを学びました。
 
 
 
今考えると、病院で働いてから大学のコースに行ったので、スウェーデン医療についての知識もあり、看護師コースではほとんど苦労しませんでした。
 
この外国人看護師のためのコースはスウェーデン全体でも3つの大学にしかコースがありません。日本よりちょっと大きいくらいの面積の国に3つだけなので、住んでいる場所によっては、自宅から通うのも無理なこともあります。
 
私は幸いにもストックホルムにある、カロリンスか大学が通える範囲だったので、行くことにしました。
しかし、自宅からキャンパスまで1時間以上 かかり 実習 もストックホルム市内であったので、夫が出張に行ってしまうと、子どもの保育園への送り迎えができず、義父に協力してもらったり、日本から母に来てもらい、手伝ってもらった時期もあります。
 
 
外国人看護師のための看護師免許取得コースは非常に 面白い クラスでした。
 
世界中から来た看護師がクラスメイトなのですが、国の状況によって、やってきた看護が違い、アフガニスタンから来た看護師は戦争でケガをした兵隊の外科手術の補助をしていたと話し麻酔の足りない中での手術だっととか、ケニアから来た助産師は10人の出産を一人でとり上げていたとか多くの武勇伝を持っていました。

 
彼らの国には、CTなどの検査機器がないためそのような検査についての知識や、衛生管理の基準がスウェーデンとだいぶ違うため、そのようなことを学んでいましたが、現場での技術や能力が非常に高いことは、一緒に勉強しているとよくわかりました。
 
私は、このコースでの病院実習を、ケアワーカーとして働いていた大学病院でさせてもらうことができ、慣れた環境で臨床看護試験もできました。
 
クラスメイトの持参したお料理で、卒業パーティーをして、「これでスウェーデンでも看護師として仕事ができるね。」
とお互い大喜びしたことは今でも忘れません。
 
日本で看護師免許が取れた時よりも、この新しい場所で一人前になれる、と思えた気持ちは大きかったです。
 
スウェーデンに来た移民が常勤の職につけるのには、6年から8年かかるという統計があります。また、女性で出産や、育児で勉強をすることが困難な状況があれば、この社会で稼ぐようになれるにはもっと時間がかかります。

かかる時間は人それぞれですが、みんなそれぞれ学び、そしてスウェーデン社会の一員として生活できるように、社会制度もスウェーデン人も応援してくれているように思います。
 
特に、看護師は不足しているため、スウェーデンで働けるチャンスは大いにある職種です。
 
スウェーデン語は母音が9つもあり、発音が難しい言語と言われますが
スウェーデン語が下手な私でも、日々なんとかなるものです。

 
スウェーデンでの看護師、とてもやりがいがありますよ。
 
 
 

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