見出し画像

【蒸留日記vol.91】秋のスペアミントを蒸留してみる!

えーともども。
外の景色はすっかり薄茶のススキ紫花のユウゼンギクセイタカアワダチソウの黄色穂が目立つ時期になりましたね。

(ちょっと最近撮った自慢の写真みてってください笑)

めちゃめちゃアスターの1種に見えるけど、北米外来種で別属・Symphyotrichum属のユウゼンギク(のよう)
Symphyotrichum属(和名なし)ユウゼンギクは以前はAster属に含められていたみたいです。
こちらも北米外来種Symphyotrichum属(紫苑属)のネバリノギク。
ユウゼンギクに比べて数は少ない。

今年は特に友禅菊(?)が目立っているような気がしています。ラベンダーに勝る秋の紫花ですね。
この時期の涼風そよぐカラフルな野花の景色も嫌いじゃありません。

北海道ではこの時期の温室でしか見られない季節の花キンモクセイ。
凄まじく癒される香りがする。

さてさて前座にてこの時期の花紹介でしたが本題に入りましょうか〜

8月に入って遅い夏の暑さに辟易してたのと、都合よく放棄された畑跡地でミントが野生化し暴れまわっている現場を発見したのですよ。
当時は何品種のミントだかぜんぜんわからんかったのですが、香りといい見た目特徴といい他種ミントを差し置いて優勢している強健さといい、スペアミント(Mentha spicata L.)じゃねぇか?と見当つけたんですね。

以下が過去8月のミント蒸留回です。

例年とは異なってめっっっちゃ暑かった8月、ついに我慢しきれなくなり涼を求めてミント蒸留を決行したんですよ。
全国のボタニカル好きな方々も同じことを思っていたのか、初回記事がバズりました。ウワァオ。
ミントから生のオイルをとったことがそんなにパンチあったんかーとややビビりました。

■秋のミントの香り&小話など!

この時期にミントってイメージはないよね。。。

そもそもミント蒸留は夏後半のモッサモサに茂っている時期に一度蒸留を行なったのですが、相対してこの涼しくなった秋時期の香りや抽出率はどう変わってるんじゃろな〜?と気になり、同じところに行ってみたのですよ。

そうしたら夏のミントランドからは一変していて、夏時期のミントが一旦枯れて新たに新芽が立ち上がった状態に変化していたんですよ。

こんなおもしろい論文を見つけました〜

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010850672.pdf

「ミントの葉における発散香気成分の解析と分類」って日本語でわかりやすく書かれた論文なんですが、ようは日本の園芸市場で流通しているポピュラーなミント品種18種を集めて精油成分を一斉に出し全体比較してミントごとの香りタイプをグループ分けしたよ〜って論文ですね!

その論文を参照したところ、スペアミント(Mentha spicata L.)メントールおよびメントンが含まれておらず、カルボンゲルマクレンDという香気成分が香りの主体を占めているようなのです。

これは意外ですよね!
日本ハッカのようにミントはみんなスースーするかと思いきやメントールが含まれない品種もあり、ソレっぽいミント系統の香りを作っているらしいのです。
ハッカやペパーミント、クールミントのように冷涼感強く感じるのではなく、甘みや美味しさを感じるような香り味になっているのも納得ですよね。


今回の実験蒸留では、秋の涼しくなった時期にミントを蒸留すると精油の香りや抽出率に変化はあるのかな?などを調べてみたいと思っています。

■収穫&蒸留準備!

秋の涼しい中、朝採れのフレッシュミント。しっかり香っている。

前回8月のミントは開花直前の段階だったのか草丈が70cmほどにもなって大きく、素材量には困らないほどの大収穫だったのですが、、、

秋のこの時期ともなると8月の大きい彼らは枯れてしまい、その上に新たに生えたミントを摘むこととなりました。

全て手作業で刻み込みました。
実はこの刻み作業中にやや痛い事故をやってしまい、その後刻み方が荒くなってしまいました。いやー痛かったゼ…
(安全のために処理工程を機械式に置き換えるのをオススメしときます)

バケツ重量852gを引いた重量1275g

収穫と刻み処理で準備30分ほどだったでしょうか。
1キロ分のフレッシュミントを確保できました!ではいざ蒸留に回します!

25L蒸留釜は満杯のようす。

蒸留直前はこんな感じ。午前の日差しに照らされたミントが青々としていて美しいですね!
香りも見た目も美しくこういう蒸留はワクワクします!

■蒸留結果は…!?

抽出結果。意外と気持ち少なかった。

1mLピペットで大事にすくってやったのですが、ピペットメモリでの計測結果は1.3mLでした。
アレこんな少なかったっけ、、、といった感想。

1.収油率

ではシーズン的には時期外ですが、秋のミントの収油率みてみましょう。

抽出量[ 1.3mL ]÷ 素材重量[ 1275g ]x 100 = 0.101%

10/9 秋・朝のMentha spicata蒸留の収油率

なんということか!夏の時期に蒸留した過去1,2回目では収油率を出していませんでした!
なので今回が蒸留時間1時間半分でキッチリと収油率を出した回に…

ミントいえどやっぱ低いですね。。。
オイル採れるっちゃ採れるんですが、抽出率0.1%となると和ハーブのカキドオシと同等かノコギリソウより若干低いかというレベルなんですよ。
なのでそこまで多く採れる!というワケではない、強健種ミントことスペアミント
そうともなるとミント蒸留するよりアキレア蒸留してた方が儲かりモンですよね。。。

2.香りとか

蒸留準備の段階でミントを収穫&刻んでいる最中は涼しげな朝の秋風と相極まって美味しいくらいの清々しいミントアロマを感じていたのですが、やはり蒸留を経たあとのミント精油の香りは一味香りが違っていますね。

秋だから〜というよりか、香りがより濃厚になったような感触を得られました。


〜関連記事リンク〜


いいなと思ったら応援しよう!

エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。