スタジアムの中心で愛をさけぶ!現地サポーターが歌う応援歌「himno」を深掘り
こんにちは、しえです!いつも読んでくださりありがとうございます!
8月から続いた23-24シーズンもいよいよ終盤。残り試合で2位につけているチームとの勝ち点が開いているため、今季の優勝はレアル・マドリードと決定しましたが、リーガは終盤がおもしろい。
チームの将来を左右する降格圏争い、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグへの出場権を争う上位チーム、少しでも上に上がろうとする中位のチームなど見どころ満載。特に降格圏争いは1試合で運命が変わるため見逃せない!
この頃になると現地の盛り上がりは一層強くなり、スタジアムは平日であってもほぼ満員状態。そんなスタジアムでサポーターによって披露されるのがチームの応援歌「Himno(イムノ)」です。
今回はスペインサッカーをさらに楽しむためのチーム応援歌、イムノとその驚くべき効果についてシェア。ぜひ、最後まで!
現地観戦の醍醐味!イムノ大合唱の迫力がすごい
スペインサッカーを現地観戦するのなら、楽しむためにもぜひ押さえておきたいイムノ。通常は選手の入場時、ホームスタジアムのチームのイムノが合唱されます。
このイムノの大合唱はテレビで見ていても迫力がすごいのですが、現地に行くとあまりの大音量に驚きます。スタジアム全体が一体となり、地鳴りのように響くイムノ。足元から頭までが音で揺らされているような、そんな体験ができます。人の体って水だしね。
イムノの歌詞の内容とは?
どこか懐かしい歌謡曲風、壮大な節回しの曲、ポップな印象のものなど各チームそれぞれイムノがありますが短く歌いやすいものが多いので、言語が分からなくてもカタカナで覚えられます。しかし歌っている内容が分かれば一層気持ちがこもりますよね。
歌詞の内容はほぼ自分の愛するチームを讃え、誇り、称賛するもの。チーム愛を存分に叫び、勝利を呼び寄せるためにイムノは歌われます。
多くのイムノに登場するのが「チーム名」「地域の名前」「スタジアム名」などの固有名詞に加えて「チームを象徴するもの」「チームカラー」「チームの歴史」そして「勝利への望み」「選手への励まし」などです。
más que un club(チーム以上の存在)
例えばスペイン国内でも特別なスタジアムとされているベティスホーム、ベニート・ビジャマリン。毎試合壮大なイムノが披露され、雰囲気満点です。
「俺たちは君へこの歌を歌うためにスタジアムに来た」「攻撃を止めるな」「ゴールはすぐそこだ」と歌われるベティスのイムノ。アウェイ戦は地獄です。しかもこれを負けている状態でも歌うのですから、チーム愛が果てしない。
ベティスのイムノは他チームを応援している身からしてみれば、好きだけれど嫌いです。イムノだけで点取られそうなくらい、迫力がすごい。
Más que un club/Més que un club(チーム以上の存在)はバルセロナのスローガンですが、その他のクラブでも同じ。
チームを応援することに人生をかけ、チームの勝利を何よりも願う人たちがスタジアムに集まっています。ただのスポーツではない、現地に行ってみるとそのことをひしひしと感じます。
イムノはチームだけのものではない
チームの応援歌であるイムノを耳にするのはスタジアムに限ったことではありません。これがスペインと日本の大きな違い。
スペインの街では試合がない時でも、度々イムノを耳にします。バルとか、クラブとかね。しかもそれを、サッカーに興味がない層でも知っている。こちらの投稿をご覧ください。
こちら、サン・セバスチャンで毎年1月20日に行われる「Tamborrada(タンボラーダ)」と呼ばれるお祭りの一幕。演奏されているのはレアル・ソシエダのイムノです。
サン・セバスチャンでもっとも重要なお祭りタンボラーダ。そのクライマックスで演奏されるのがサッカーチームのイムノということに驚きませんか?
選手がいるわけでもなければ試合が行われる日でもない。サッカーが好きで集まっているスタジアムではなくとも、その場にいる人を巻き込むことができるほどイムノは親しまれているのです。
サポーターとチームは相思相愛
ラ・リーガのチームはサポーターの重要性を重々承知しています。完全に相思相愛状態。スペインのサポーターは勝利に貪欲な一方、チームには果てしない愛を注ぐ傾向にあります。
チーム側もサポーターがいなければ我々はいない、という意味のメッセージを定期的に発信しています。
コロナウイルスが猛威をふるい、スタジアムに観客が入れなかった時期は「さみしい」「会いたい」という趣旨のメッセージがチームからサポーターに向けて頻繁に届けられていました。そりゃもう恋人のように。いや、心の恋人なのかもしれんな。
ディスカウントしてでも来てほしい
特にシーズン終盤になるとスタジアムに足を運んでもらうためにチケットのディスカウントをするチームも!
昨シーズン、降格圏ギリギリで戦っていたセルタは最終節の試合を前に「お願いだからスタジアムに来て」キャンペーンを行い、チケットを大幅にディスカウント。半額以下の価格で販売し、スタジアムをセルタサポーターで満員にすることに成功しました。
その試合、セルタは満員のスタジアムでサポーターたちの後押しを受け2-1でバルセロナに勝利。一部残留を果たしたのです。記憶に残る熱い試合でした。
これ、仮にスタジアムが満員状態でなければセルタは勝てへんかったんじゃない?なんせ相手がバルセロナ。観客が作り出すホームの雰囲気は絶対に試合を左右すると思います。
12人目の選手といわれるサポーターたちが歌うイムノは、実ははっきりとした効果があるのだそうです。
証明されているイムノの効果
イムノには勝敗を左右するほどの力がある、とスポーツ科学を研究している施設European Journal of Sport Scienceが発表しています。疑いの余地はありません。ただスタジアムを盛り上げるための応援歌ではない、イムノの効果は以下の通り!
アドレナリンが出る
スポーツ界でよく耳にするアドレナリン。ホルモンの一種で、血流や心拍数などに影響を及ぼします。心拍数が上がり体中に多くの血液が巡ることで筋肉に酸素が供給され、エネルギーが増したり瞳孔が開いたりするのだとか。
このアドレナリンがイムノを聞くだけで多くなると言われています。今から試合をする選手たちにとってはとても重要なものですよね。
戦うメンタルを作る
イムノは選手たちのメンタルへも影響を及ぼします。イムノを聞くとチームへの誇りを強く感じ、戦うメンタリティになるのだとか。しかも、選手自身がイムノを歌うことで勝率まで上がる、と研究結果が出ています。
この研究は2014年のブラジルワールドカップで行われたもの。選手の表情や国歌を歌う強さ、ボディランゲージなどが研究対象となりました。様々なデータの中で、選手自身が懸命にイムノを歌うチームのほうが勝率が高かったそうです。
クリスティアーノ・ロナウドなんかめちゃくちゃ歌ってますよね、国歌。戦うメンタリティをあのイムノで作っているのかも。
受けるゴール数が少なくなる
これが一番驚きの研究結果です。イムノを歌われた方のチームはなんと受けるゴール数が少なくなる、イコール勝率が上がるのだとか。
受けるゴール数が少なくなるということは、相手チームにもイムノが影響を及ぼしているということも考えられます。
やっぱりアウェイの圧力の中で実力を発揮するのは、よほど強いメンタルを持っていないと難しいのかもしれません。
イムノはスペイン文化のひとつ
スペインサッカーに欠かせないイムノは、すでに文化のひとつと言っても過言ではありません。試合の前、試合が終わった後などバルで歌っている集団に出くわすことも。その時一緒に歌うことができれば、スペイン旅行をさらに楽しむことができます。
今週末、私の推しチームのラ・レアルはベティスとのアウェイ戦。ヨーロッパリーグ出場権争いの天王山なので、いつもより数倍迫力のあるベティスのイムノが聞けると思います。敵ながらちょっと期待してしまう。
でも試合はラ・レアル勝利でお願いしたい。どうかこの試合だけは、イムノの効果を発揮しないでほしい。偉い人達が研究した結果も、100%ではないよということをラ・レアルには見せてほしいものです。お願い。
私のnoteでは、スペインサッカーに関すること、スペイン旅行、スペインの文化、経験談などスペインに関することをテーマを問わず発信しています!
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