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野菜が好きになる話 1(夏野菜編)

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年間50品目の有機野菜を育てて野菜セットにして全国宅配しています。 野菜たちが教えてくれた物語、知ると野菜が好きになります。
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野菜の教え・・・まずは体を大きくしてね

 生物の成長には、体(栄養器官)をつくる栄養成長と、子孫を残す生殖成長があります。  ナスやピーマンは栄養成長と平行して、生殖成長が早くから始まり、写真のように、体が小さいうちから実をつけ始めます。  環境も良くて、体が丈夫なうちに子孫を残そうとするわけです。このままだと、自分の体を大きくすることより、子供に養分を与えるのを優先してしまうので、最初の実(一番果)はピンポン球くらいの大きさになったら取ってあげます。「まずは体を大きくして下さいね。子供を作るのはその後からです。」

野菜の教え・・自由放任はダメです 

 ナスやピーマンを植えたままにしておくと、わき芽が出てきてワサワサとしてきます。  そのままにしておくと、風通しが悪くて病気になったり、栄養が分散して実が小さくなったりしてしまうので、下のわき芽は、すべてかきとって整えてあげます。  この生育初期の手入れが重要で、最初に丁寧に 管理しておくと、後は放任気味でも大きく育ち、実をつけます。 「人も野菜も同じ。方向性を定めた後の自由放任は実を結ぶけど、最初から好き勝手に育つと商品にならないんだ」。 改めて書くと恥ずかしいのですが、

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たびたびPR! 自根(じこん)キュウリ

自根(じこん)キュウリとは「自分の根」で育っているキュウリのことです。 スーパーで売られているキュウリは、同じウリ科のカボチャを台木にした接ぎ木キュウリです。 自根キュウリには写真のような白い粉(ブルーム)が発生します。 キュウリの表面に出てきた汗が結晶化したもので、糖分を含んでいるために白くなります。ブドウの皮についている白い粉もブルームです。 ブドウの場合は新鮮な証拠になるのですが、キュウリはブルームがついていると、古く見えたり農薬だと勘違いされたりしてしまいます。この

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キュウリの巻きヒゲは右巻き?左巻き?

朝顔やヘチマは自分で支柱に絡みながら勝手に伸びてくれますが、キュウリは人の手によって支柱とツルを定期的に縛ってあげないと、支柱からズルッと下がってしまうことがあります。 キュウリの本来の姿は「地ばい」です。 ところが原産地の気候に比べて日本は蒸し暑く、地面に這わせて育てると、うどんこ病、すす病というカビの病気にかかりやすくなってしまいます。そこで支柱に縛りながら空中に伸ばし、風通しを良くすることでカビの病気を防ぐ方法を生み出しました。 ですから、キュウリの巻きヒゲには地面

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空心菜の”芯が空(から)”に理由あり

4月にプラグトレー(小さなポット)に種をまき5月に定植しました。 東南アジアが原産の空心菜は蒸し暑いのが大好きで、最初は成長がゆっくりなのですが、7月になると、どんどん大きくなります。 夏に無農薬で葉物野菜を育てるのは、とても難しいのですが、空心菜は少しくらい虫に食べられても、それを上回るパワーで成長していきます。  空心菜の名前の由来は、写真のように茎が中空(空洞)だからです。 原産地では、川や池などの湿地帯で茎を浮き輪にして増えて行きます。 空芯菜って元々はホテイアオ

ピーマンのコツ・・小さく生んで大きく育てる

ピーマンは3月下旬にポットに種をまきました。 5月に畑に植える時には、まだ小さく一株ずつ風よけシートをかけ、シートをとったら丁寧に支柱に誘引してあげます。 このようにピーマンは育苗に手間がかかるのですが、子育てと同じで「小さく生んで大きく育てる」と、ある程度大きくなるとあまり手間がかからず、10月位に最盛期で「ピーマン祭り」の毎日が続き、 夏野菜の中では一番長く、霜が降りる12月まで収穫できます。 品種はタキイ種苗の京みどりと言います。 タキイ種苗のピーマンは京まつり、京

ぜひ食べてください! その名は「ヘビナス」

この薄紫色の長いナスは「ヒモナス」、別名を「ヘビナス」といいます。デリケートな性格で、風が強かったり、葉が虫にかじられたりすると、びっくりして本当のヘビのように曲がってしまいます。 とても美味しくて、一度食していただくと普通のナスより気に入ってくれるお客様が多いのですが、スーパーで見かけることはありません。 大きさがそろった規格品でないと市場流通ができないからです。 「おいしいけれど、スーパーでは見かけない野菜」というのは、見栄えが悪いとか、大きさが不ぞろいで売りにくいとい

茄子は「ナス」ですか?「ナスビ」ですか?

ナスの故郷はインドで暑いのが大好きです。そこで、最初は温室の中でポットで育て、暖かくなった5月上旬に畑に植えました。実は6月下旬から付き始めました。 ナスの語源は「夏の実」で、漢字では茄子と書き、 愛知より東では「ナス」、三重より西では「ナスビ」と読みます。静岡では「ナス」ですが、植物全体がナスで食する部分は子供だから「ナスビ」の方が適切かもしれませんね。 品種はタキイ種苗の「筑陽」です。近年猛暑の夏が多く、夏が好きなナスでも元気をなくすことが多く、その中では筑陽は夏に強い品

キュウリとトマトとナスばかりの毎日

 夏野菜が採れ始めました。我が家ではスーパーで野菜を買うことがないので、夏はキュウリとトマトとナスばかりの食卓となります。   最初に採れるのはキュウリです。8ヶ月ぶりくらいにキュウリを食べると「夏がいよいよやってくるんだなぁ。」と思います。 露地栽培のトマトの収穫期間は短く、トマトが終わると夏もあと少しだと思います。  ナスは暑さで一度収穫量が減ってから秋に復活し、10月頃に「これが今年最後のナスなんだなあ。」としみじみしながら食べます。 夏野菜は体を冷やしてくれます

胡瓜と書いて「キュウリ」と読む。なぜだろう?

中国の歴史に「五胡十六国」という時代があります。 「胡」というのは中国の西域、シルクロード周辺に住んでいた人たちのことです。 名前に「湖」という漢字がついているのはシルクロードを通って中国に伝わったもので、胡桃(くるみ)、胡麻(ごま)、胡蝶蘭、胡弓(こきゅう)などがそうです。 胡瓜(キュウリ)の原産地はヒマラヤ山脈の南麓、ネパールとブータンに挟まれているインド・シッキム地方です。キュウリは、ヒマラヤ山脈を中心にして時計回りにインドからペルシャへ西進し、そこからシルクロードを通

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ズッキーニとドードー鳥

キュウリ、ナス、トマトなどの夏野菜の中で最初に採れ始めるのがズッキーニです。 冬野菜が終わって夏野菜が採れ始めるまでの期間を端境期(はざかいき)と言い、この期間に採れる野菜の種類はとても少ないのですが、ズッキーニが採れ始めると、その後はいろいろな夏野菜が育ってくるのでホッとします。 南北に長い日本列島をリレー栽培しているので、スーパーには常に野菜があふれていますが、ひとつの地域における野菜の旬はとても短かいのです。 静岡では4月から7月がズッキーニの栽培期間です。しかし、こ

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最期の力を振り絞れ!尻太りキュウリ

6月中旬からキュウリをお届けします。 ハウス栽培と違って、露地栽培の場合、キュウリの旬は意外と短くて、6月中旬から9月中旬くらいの約3ヶ月間です。 ひとつの株から収穫できる期間はさらに短く2ヶ月間位ですので、播種に時期を4回くらいずらして栽培しています。 キュウリは1年中出回っている感じがしますが、実は一株ごとの、発芽してから開花して実ができて枯れていく過程は、短期集中型です。 これから暑くなるのにあわせて、キュウリの株はどんどん大きく育ち、短期間にたくさんの花を咲かせて、

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キュウリの赤ちゃん、どこにいる?

農場に来られたお客様が不思議そうな顔で「キュウリって花の下に実がなるのですか?」と話しかけてきました。皆さんは不思議ですか? 上のイラストで、ガクの上にあるふくらみ何と言ったか覚えていますか? 「子房」ですね。(脂肪ではありませんよ。) この子房が大きくなって「果実」になります。 ガクは大きくなると、「ヘタ」と呼ばれます。 トマトやナスやエンドウやインゲン、それからミカンやカキは実がヘタの上にあります。 このような構造を「子房上位」と言います。 理科の授業では、もっぱら

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「新ジャガ」の季節って、いつだろう?

スーパーで「新ジャガが入荷しました」という表示を見ることがあります。ところで、新ジャガの季節っていつなのでしょうか。 ジャガイモの生育適温は15度から30度で、寒いのも暑いのも苦手です。 「ジャガイモのようにたくましく」などと言われますが、意外とデリケートなんですね。 そこで、静岡では寒い冬と暑い夏を避けて栽培します。 結果的に栽培期間が二つあり、3月に植え付けをして6月に収穫するものを「春ジャガ」、9月に植え付けをして11月に収穫するものを「秋ジャガ」といいます。 北

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