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りんごのかじりかた

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りんごは齧り方によっては芯も種も丸々そのまま食べれます。 りんごを齧るとは、実はりんごを齧る以上の行為なのです。 そしてそれは私たちの自尊心すら回復させます。 落ち込んだとき、う…
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2020年11月の記事一覧

りんごのかじりかた④〜りんごは己の歯の鋳型〜

りんごのかじりかた④〜りんごは己の歯の鋳型〜

結論からいえば、ケツから齧る。言い方が汚いので、お尻の方から齧る。すると意外とすんなりと芯も含めて食べていける。りんごを丸ごといただくには、下から食べるのだ。ほら、なんだか随分、自分に野性味を感じないだろうか?いままさに生命をひとのみにせんとする、生き物としての己の内なる凶暴性や背徳感が、なんとなく湧き上がらないだろうか。それで正解だ。

この時に大事なのは、齧った痕、すなわち自分の歯型がみえる、

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りんごのかじりかた⑤〜下から齧れば人生がみえる〜

りんごのかじりかた⑤〜下から齧れば人生がみえる〜

りんごを尻から、下から齧ったろうか。甘かったと思う。

りんごを下から齧るのは、言い換えれば、重力を食べるということだ。比重の高い、糖度の強い果汁が時間をかけて下へと溜まってくる。つまり、一番甘い部分からりんごを齧ることになる。

本来であれば、甘みの浅い部分から食べていけば、常に舌は次の一口を甘く感じ、食べ終わるまで口の中の満足度は右肩上がりのグラフを描くことになる。(りんごを食べる目的が、甘い

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りんごのかじりかた⑥〜からっぽのりんご〜

りんごのかじりかた⑥〜からっぽのりんご〜

りんごをお尻から齧ったあなたは、芯も種も思ったよりも簡単に食べれたことに驚いていると思う。手にはヘタだけが残っているはずだ。それを飲み込むかどうかは自由だ。いずれにしろ、きっと今あなたはいままで味わったことのない不思議な満足感を得ているだろう。もう一度、りんごを下から齧り丸々と食べることの意義を思い出しておこう。

・りんごは人類のDNAレベルに刻まれた普遍的、シンボリックな果実である。
・手や袖

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