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アカデミー国際長編映画賞 個人的ランキング【67位~76位】

みなさんこんばんは。今回はアカデミー外国語映画賞受賞作を全部みたということで個人的ランキングをつけていきたいと思います。
まずはワースト10からいきます。

76位 『地獄門』(第27回/日本)

一時間半かけてやる話じゃない。誰にも共感できないし。ストーリーが雑すぎる。
ただやっぱり京マチ子の存在感と妖しさは素晴らしいし色や画がきれい。
まあおすすめはしない。

75位 『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』(第49回/コートジボワール)

??なぜこんなものがアカデミー賞獲ってしまったのか謎すぎる。アノー作品はこれが初めてだが、作風は分かった。だがあまりにも物語がなさすぎる。
第一次大戦のフランス入植者たちを描いた戦争コメディだが、しっかり観たはずなのに内容をほぼ覚えていない。全編「なにこれ…これから何か起こるの…?」と困惑していたらいつの間にか終わっていた。
入植者たち視点の楽観的な愛国心、英雄主義を茶化した作品ということだが、とにかく中身がないのでそのメッセージも全く伝わってこない。
他のレビュアーの方もどこかに書いていたが、この時期のアカデミー外国語映画賞はかなり迷走しているイメージ。これフランス資本入っているから獲れただけでは?これまでみたアカデミー外国語映画賞の作品の中でも圧倒的なつまらなさ。

74位 『おくりびと』(第81回/日本)

うーん、たぶん納棺師という職業が珍しかっただけじゃないかなぁ。
唯一久石譲が手がけた音楽は素晴らしいけど、間延びした冗長な演出、軽い演技、ご都合主義の展開と何一つ面白いと思えなかった。
妻に出ていかれても平然としているようにしか見えない主人公は共感できないし、ラストの石のくだりに至ってはご都合主義の極みでしょ。なんで突然死んだのに石握ってんのさ?おかしいでしょ。
キネ旬でも日本映画1位をとってるけど、これに『ぐるりのこと。』が負けたというのは納得できない。

73位 『海を飛ぶ夢』(第77回/スペイン)

実在の尊厳死活動家ラモン・サンペドロの手記『地獄からの手紙』をもとにし、この映画の影響で議論が活発化、2021年には安楽死の合法化がなされた。
『アザーズ』で有名なアレハンドロ・アメナーバル監督であるが、本作が初見。特徴的なのは音楽も自分でやっているということか。音楽はとてもよかった。また現実と夢が曖昧になる描写のスマートさや撮影の美しさも特筆すべきだろう。
群像劇的な描き方もそれぞれのキャラクターが魅力的に思えとてもよかった。
安楽死、尊厳死を理想化しない描き方もいいと思う。全体的に静かでよかった。
生きる権利があるなら死ぬ権利もあるべきだと思うし、もし自分がこういう立場だったらどうするかを考えさせられた。

72位 『ベルエポック』(第66回/スペイン)

四姉妹の末娘のペネロペ・クルスがかわいい!というだけ。
一応本作もベルリン映画祭のコンペ作品ではあるのだが、中身は陳腐な恋愛ドタバタコメディ。ある屋敷に転がり込んだイケメン脱走兵が四姉妹をそれぞれ引っ掛けて末娘とくっつくというどうしようもない話。
まあスペインらしい野放図な恋愛観というかセックス観は面白いと言えば面白い。またレズビアン的指向のビオレタのくだりはなかなか面白い。
面白いところがないとは言わないが、今なら国際問題にもなりかねない仮装パーティーでの黒塗りや、前述したような陳腐なストーリーは如何ともし難い。

71位 『悲しみの青春』(第44回/イタリア)

ファシズムが台頭するイタリアを舞台に二人のユダヤ人男女の悲恋を描く。
のだが、デ・シーカ作品とは思えないくらい話がつまらないし演出も凡庸。
視点がイマイチ定まらないし感情表現が乏しく誰にも感情移入できない。脚本段階でトラブルが色々あったみたいなのでその影響なのかな。
何の感慨もわかなければ新鮮味のある演出もないのでなんでこれが金熊賞とったのか理解不能。

70位 『アントニアの食卓』(第68回/オランダ)

なんとなくタイトルからして『バベットの晩餐会』みたいな料理系の話かと思ったら全然違った。5世代の女たちを主軸にしたブラック・コメディ。
うーん、好きじゃない。キリスト像が動いたり、「ヴィーナスの誕生」が可視化するようなユニークな演出はあってそこは面白い。それぞれの要素は面白いんだけど、それが全体の面白さに繋がっていない。
端的に言って悪趣味だと思う。良く言えば自由奔放、悪く言えばふしだらな描写が延々続く展開に辟易。
アントニアの結婚はしないけどセックスはする、ダニエルの子どもは欲しいけど夫はいらない、テレーズの天才すぎるが故に男を必要としない、というような多様な女性の在り方はいいと思う。
ただそれを駆け足で、突飛なだけで悪趣味な描写で点々と描くのでどれも中途半端。それにレイプを軽く扱っているように思えて気分悪い。
テレーズは数学と音楽の天才なんだよね、なのに娘を生んでからはそれを生かそうとせずに飼い殺しなのはどうなの?
ダニエルと先生の同性愛描写は唯一評価できる点かもしれない。「ヴィーナスの誕生」という突飛な演出はそこでは生きていたように思うし、視線のやりとりでみせてくれるのでよかったかな。

69位 『シベールの日曜日』(第35回/フランス)

唐突な結末にびっくり。独特な撮影が美しいが、話としてはどうなんだろう…僕は受け付けなかった。
記憶喪失の男と父に捨てられた少女が年の差恋愛っぽいことをする映画なのだが、その設定自体なんだかな。
この前みた『エル・ニド』と同じような話で、やはり少女の想いは本当に恋愛感情なのかというのが引っかかる。
ただ、100%恋愛感情として描いた『エル・ニド』とは違って、本作は「ピエールはパパより優しい」など父と重ねているような様子も少しあるのがミソか。
グラスのゆがみを利用した撮影、水の波紋を象徴的に使った詩的な語り口はフランス映画らしくてよかった。概ねいい映画だとは思うが、僕にはあまり刺さらなかった。

68位 『みなさん、さようなら』(第76回/カナダ)

『アメリカ帝国の滅亡』の続編的な位置づけらしいが観ていないのでなんとも言えない。
『海を飛ぶ夢』と同じく尊厳死、安楽死を扱った作品ではあるが、こちらはかなりブラックコメディ色が強い。
まあクセの強い人物しか出てこなくて退屈しないし、演出もまたクセが強くていい意味で思ってたのとかなり違った。
大好きというわけではないが、なかなか面白く観ることができた。

67位 『名もなきアフリカの地で』(第75回/ドイツ)

いいところとしては、とにかく撮影が美しい。輝くような質感で捉えられたアフリカの大地と人々、自然は観ているだけで豊かな気分になる。
また少女と現地人の男の子の淡い恋心も爽やかで良かった。
ただ、やはりまたナチスかよ…というのはあるし、原住民を美化しすぎているというのは感じる。原住民、賃金を払ってるとはいえやってることは南部の綿花農場で黒人奴隷をこき使うようなものでしょ。あんなに簡単に受け入れられるとは到底思えない。
あと妻の行動原理がよく分からない。これは単に説明不足なんだと思う。セリフでじゃなくても演出で説明は必須だったと思う。
あと急なズームの多用も気になった。効果的なシーンはあるんだけど、それがあまりに多用されるので鬱陶しくなってくる。
こんなに長い尺は絶対にいらない。長い割に説明不足な点が目立つ。

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