【決算解説】ビジョナリーHD(メガネスーパー)の業績が急回復?
メガネスーパーを運営するビジョナリーホールディングスの2021年4月期2Q決算を解説します。同社はかつて価格競争に敗れ業績不振に陥り、債務超過になった過去を持ちます。その後シニア層向けの高価格帯メガネに狙いを絞ることで業績を回復していきました。
ビジョナリーHDが発表した決算は、ヒトコトで言うと「不採算店舗の閉店と経費削減に努め減収増益」という結果でした。売上高は前年から▲8.8%の131億円、営業利益は288.8%増の4.7億円です。
営業利益ベースでは増益
ビジョナリーHDの2021年4月期2Q終了時点の営業利益は、前年同期から3.8倍の4.7億円となっています。同社は営業増益の主な要因として、粗利率の改善と人件費等のコスト削減の2つを挙げています。
当初の半期業績予想は▲3.1億円の営業赤字だったことを考えると、コロナ禍でも業績は好調に推移しています。コスト削減努力が成果を結ぶ一方で、売上高は予想を▲3.3%下回りました。これは不採算店舗の閉店加速によるものと考えられます。
全体の1割超の店舗を閉店&移動型店舗に投資
ビジョナリーHDは、コロナ禍で不採算店舗の閉店を加速させています。2021年4月期は、2Q終了時点でメガネスーパー53店舗を閉鎖しました。期首の店舗数は369店舗でしたから、実に全体の15%近くの店舗を閉店したことになります。2020年11月末時点の店舗数は324店舗になっています。
最近では、移動店舗への投資に舵を切っています。これは、トラックを改造した移動式店舗が老人ホーム等を訪れメガネを販売するモデルです。もともとシニア層にターゲットを絞っている同社の戦略と合致しています。
「メガネスーパー」を運営するビジョナリーホールディングスは新規出店を移動店舗中心に切り替える。検眼機や加工機を積み込んだ大型車両を、2023年末までに110台導入する。コロナ禍で通常店舗の集客力は低下した。高齢化も進むなか、客を待つより店の方から出向くビジネスモデルに転換する。
既存店売上高は最悪期を脱却
ビジョナリーHDの既存店売上高は、最悪期を脱しつつあります。
外出自粛要請のあった2020年3月~5月は、既存店売上高が2割近く落ち込むなど大きな影響を受けました。ただ、その後の既存店売上は回復傾向にあります。前年に増税前駆け込み需要が発生した9月を除くと、概ね前年並みかそれ以上をキープしています。
下記のnoteに記載の通り、かつて債務超過に陥ったビジョナリーHDは財務基盤に弱みを持ち、業績悪化時の財務リスクは大きいと言えます。ですから、既存店売上高が想定より早く戻ってきていることは非常にポジティブです。
今回は以上です。
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