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コロナ禍で絶好調のスーパーマーケットを経済産業省のデータから読み解く

コロナ禍で人々のライフスタイルが大きく変化するなかで、スーパーマーケット業界が活気づいています。最近では、イオン系スーパーのユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)の純利益が前年から6倍になったというニュースがありました。

今回は、経産省の統計データからスーパーマーケット業界全体のトレンドを整理します。コンビニ業界やドラッグストア業界については以前にまとめています。ページ下部にリンクを掲載しています。

コロナ禍の勝ち組はスーパーマーケット

2020年小売業の売上高(前年比)

経済産業省の商業動態統計速報によれば、2020年にスーパーマーケットの市場規模は大きく拡大しました。前年から12%以上の伸び率で、小売業では断トツの数値となっています。

背景にあるのは、コロナ禍での人々のライフスタイルの変化です。感染対策としてすっかり定着した感のある3密対策は、人々の食品の消費支出に大きく影響しました。家計調査を見ると、外食から内食へのシフトが進んでいます。これがスーパーマーケットには追い風になりました。

外食支出は年間を通じて前年からマイナスになっています。品目別に見ると、内食との相関の高い生鮮食品(野菜、肉、魚)や、調味料、酒類・飲料への支出が高まっています。

個別企業としては、もともとテイクアウト比率の高かったケンタッキー(KFC)など業績好調の企業はあるものの、外食産業全体としては極めて厳しい状態にあります。

次にスーパーの販売額を週次データでチェックしてみます。

緊急事態宣言により販売額が10%近く増加

スーパーマーケットの販売額(前年比)

外食から内食へのシフト、いわゆる「巣ごもり需要」の拡大はスーパーにとっては好材料でした。緊急事態宣言下の2020年4月~5月の間で、スーパーマーケットの販売額は前年から1割近く増加しています。

各社の個別の既存店売上数値を見ると、客数減&客単価増が大きなトレンドです。やはり感染防止の観点から、消費者は買い物の回数を減らし、その分一度に多くのものを購入する傾向があるからです。

最後に、スーパーマーケットの商品別の週次売上高をチェックしてみます。

食品はほぼ全ての期間でプラス成長

スーパーマーケットの商品別売上(前年比)

商品別では、やはり食品の指数が大きく上昇しています。4週の移動平均線をプロットすると、1年を通じて前年比100%を上回りました。週次でも前年を下回ったのは3回だけですから、いかに伸長したかがよく分かります。

一方で、化粧品は常にマイナストレンドです。このあたりは、ドラッグストア業界やコンビニ業界も同様の傾向を示しています。ただスーパーは、総売上に占める化粧品の比率がもともと低いですから、影響は限定的でした。

その他の業界トレンドは下記noteにまとめてあります。

その他の業界分析


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