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【書評】「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

売上が上がっているのに利益が出ないのはなぜだろうか?

そんな疑問に答えるのが、古屋悟司氏の「数字が読めると本当に儲かるんですか?」です。著者は脱サラして花屋をオープンさせたという異色の経歴です。本書はストーリー仕立てで「儲かる会計」について学べる内容になっています。

儲かる会計とは?

本書で紹介されている「儲かる会計」とは、管理会計のことです。

そもそも会計には「税務会計(財務会計)」と「管理会計」の2種類が存在します。前者は、納税額の計算をはじめ、企業の経営成績等を外部の利害関係者に説明することを目的としています。ですから、「儲かったかどうか」はわかるけれど、「儲かるかどうか」は分からないわけです。

対して、管理会計とは「儲かるかどうか?」に答えるものです。

そして、管理会計の本質は利益シミュレーションです。シミュレーションをする為に、限界利益率という指標を活用していきます。本書ではこれを「魔法のメガネ」とキャッチーに紹介しています。

限界利益率の出し方は?

限界利益率の出し方はいたってシンプルです。まず、費用を変動費と固定費に分解します。変動費というのは、売上の増減で変動する費用です。代表的なのは原価ですね。花屋さんでいえば、花の仕入れ代は変動費ですし、また梱包材もそうです。

一方の固定費は、売上の増減に関わらず固定的に発生する費用です。例えば家賃や人件費は、仮に売上がゼロになっても発生しますよね。ですから、そういった費用は固定費に分類されるわけです。

費用を変動費/固定費に分解したら、限界利益が計算できます。計算式は、「売上高ー変動費=限界利益」です。これを比率で表したものが限界利益率です。本書ではこれを「儲けパワー」と呼んでいます。

限界利益率で何ができるのか?

限界利益率を使うことで、利益のシミュレーションができるようになります。限界利益率を使うことによって、たとえば

・ 値上げをしたら利益はどうなるのか?
・ 人を雇ったら利益にどう影響するのか?
・ 黒字化するにはどのくらいの売上が必要か?

といったことを具体的にシミュレーションすることができます。

限界利益率を知る前の著者は、どんぶり勘定の経営をしていました。仕事が忙しいから人を雇おう、売上を上げるために値下げセールをしよう、広告宣伝費をバンバン使おうなどなど。

そこに、その意思決定の結果利益はどうなるのか?という視点は全く欠けていたのです。ですから、売上が上がっているのに儲からないのはなぜだろう・・・」という状態に陥ってしまいます。

限界利益率をはじめとする管理会計の考え方を学ぶことにより、著者は経営上の意思決定を行う前に、「これで儲かるようになるのか?」という利益のシミュレーションができるようになったのです。

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