【決算解説】しまむらの業績が急回復した理由は郊外シフトにあり?
しまむらが好調です。同社の2020年9〜11月期の連結業績は、純利益が前年同期比3.6倍の110億円となり、同期間の過去最高益を更新しました。
郊外型店舗を主軸に低価格帯で勝負する同社は、コロナ禍でもその強さを発揮しています。今回はしまむらの決算を端的に解説します。
業績急回復の背景に郊外シフト
上記のグラフはしまむらの四半期別の営業利益を示したものです。
しまむらは、1Qに営業赤字を計上しました。これは、新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出自粛要請が大きく影響しています。各店舗は時短営業や臨時休業を余儀なくされ、客数が前年同期比で2割超も減少しました。
しかし、2Q以降しまむらの業績は急回復しています。背景には、「消費の郊外シフト」と呼ばれる現象が影響していると考えられます。新型コロナウイルス感染対策が進む中で、消費の中心地が郊外に移りつつあります。
ファーストリテイリングの柳井会長も消費の郊外シフトに言及しています。これまで郊外集中出店戦略を採ってきたしまむらにとって、強力な追い風が吹いていると言えます。
柳井正会長「国内も感染第3波が売上高に大きなマイナスインパクトになっている。特に土日の販売減が大きい。休日に消費者が出歩かなくなったためだ。ただ、自宅の近所では買い物をしている。『ユニクロ』は都心の店舗はみな厳しいが、郊外の店は好調だ」(日経新聞より)
既存店売上高は二ケタ成長をキープ
上記は、しまむらの既存店売上高(前年比)の推移を示したグラフです。
これを見ると、最大80店舗を臨時休業せざるを得なかった1Qは、前年同期から3割近く売上が落ち込み、業績に大きな打撃を受けたことが分かります。しかし、通常営業に戻った2Q以降は安定的に業績を伸ばしています。
特に3Qの数値では、既存店客数が前年比108.6%、客単価が同105.5%と絶好調です。とくに既存店客数が大幅に伸びていることは非常にポジティブな印象です。
広告宣伝費を大幅に削減
上記は、しまむらの主要な販管費の前年同期比を示したグラフです。
特に目を引くのは、広告宣伝費です。1Q~3Qの累計値を比較すると、前年の同時期から▲35.4%と大幅に削減しています。(※3Q単体では前年比▲6.7%)また、金額ベースでは前年から約43億円もの減少となっています。
しまむらはSNSを使ったデジタル広告を強化する一方で、新聞の折り込みチラシを押さえ、テレビCMをゼロにするなどメリハリの利いた広告戦略にシフトしつつあります。
まとめ
コロナ禍で消費の郊外シフトが鮮明になる中で、郊外店舗を主体にビジネスを展開してきたしまむらは業績を伸ばしています。直近では、ECへの本格的な進出もスタートさせるなど、今後の同社の動向に注目です。
今回は以上です。
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