フィレンツェ①〜ピサの斜塔へ〜
食あたりに見舞われ、幸先が悪いスタートを切ったイタリア旅。
少し落ちこんだ気分を変えてくれたのは、小粋なイタリアーノだった。
ミラノからフィレンツェへ
食あたり明けで身体が重く感じるが、バックパックを背負い、ミラノ駅に向かう。
ミラノでは、体調不良のせいであまりいい思い出が作れなかった。
次の目的地「フィレンツェ」は、気分を変えて行きたい。
駅に到着後、ミラノ駅発〜フィレンツェS.M.N駅行きの電車に乗車。
出発間際にイタリア人のおじいさんが、足早に斜め向かいの席へ乗り込んできた。
僕の方をチラッと見ると「チャオ」とウインクしながら挨拶してくれた。
食あたりにより体力的にも気持ち的にも沈んでいたので、なんだかとても嬉しい。
勇気を出して「この電車はフィレンツェ行きですよね」とたずねてみる。
おじいさんは、英語を全く話さなかったが、頑張って携帯で調べてくれた。
このおじいさんのおかげで、なんとなくイタリア人の小粋さと温かさを感じた。
気持ちが落ち込んでいる時は、消極的になり、人と関わることを避けがちになる。
でも、勇気を出して関わっていかないとわからないことは多い。
ルネサンスの香り
ルネサンス文化が色濃く残り、街全体が世界遺産に登録されているフィレンツェ。
聞くところによると「屋根のない美術館」と言われているらしい。
世界史には詳しくないが、実際に来てみるとその美しさに魅了される。
フィレンツェの街は、それほど大きくない。
駅から宿泊先のホステルに行く時も歩いて簡単に行くことができた。
今回のホステルでも受付の人が、とても優しくてありがたい。
ホステルは、隣接する教会と繋がっているような構造だった。受付から宿泊棟に行くまでの道中でシスターさんを見かけ、他の宿泊客と顔を見合わせて驚いた。建物の中央にある美しい中庭も心地がいい。
機能的には、普通のホステルと変わりなく過ごせるが、クラブが近いので耳栓など各自で解決策を用意したほうが良さそうだ。ベッドに仕切りのカーテンなどプライバシーを保護するものはないので、毛布やタオルで目隠しにするのも良いかと。
ピサの斜塔
フィレンツェ観光の一発目は、街を離れて「ピサの斜塔」へ。
フィレンツェS.M.N駅からピサ中央駅へ向かう電車に乗り、順調に進む。
と思いきや、どうやら鈍行列車に乗ったらしく、到着までえらい時間がかかった。
ここまで少し神経を張り詰めて旅をしてきたような気がする。
ミラノで食あたりになったのも身体に疲労が溜まっていたせいもあるだろう。
ちょうど良い機会だと考え、外の景色を見ながらゆっくり目的地を目指した。
ピサ中央駅に到着後、駅の売店でバスチケットを購入し、現地へ向かう。
たくさんの観光客に混じってバスに乗り、目的のバス停で降りる。
お土産屋さんが集まる場所を抜けると白い塔が見えてくる。
「本当に傾いている」と心の中で思う。
しかも、思ったより傾いている。
ちょっとした感動が胸に湧いてくる。
ピサの斜塔、そんな心地いい響きだけを知っていた。
本物は、不安になるほど、斜めだ。
名前の心地よさと実物の不安定さ。
アンバランスな白い塔。
あとがき
なんとかフィレンツェにたどり着いたが、お腹の調子は本調子には程遠かった。
何かお腹に優しいものを食べようとしても現地の食事は、よくわからない。
そんな時に見つけたのが、日本食レストラン(中国人経営)だった。
フィレンツェに滞在中、ほとんどと言っていいほどお世話になった。
日本食だかどうかはさておき、体調を整えるのにちょうど良かったし、何回か行くうちにオーナーのおばさんや厨房のお兄さんが、愛想よく挨拶してくれるようになった。
オーナーのおばさんとは、旅の話をしたり、お腹を壊した話をしているうちにより打ち解けていった。人種どうこうではないけど、同じアジア出身の仲間というか、異国で出会った近しい友人ような感覚で、お互いに親身になれた気がする。
もちろん、他の国の人たちもとても優しかったけど、特にアジアの人、アジアにルーツを持つ人とは、より深く繋がれた感覚がある。言語は違っても同じエリアに住み、文化に共通点もあることで、ある種の近さを感じているのかなと勝手に想像している。
さて、ここから本格的にフィレンツェの街を歩くことになる。
美しい街並みを徒歩で回れるのは、とても楽しかった。
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