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【AIによる予測】予測マシンの世紀#19 AIと人間の分業② 人間の弱点


こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
 第3章 魔法の予測マシン
 第4章 「知能」と呼ばれるわけ
 第5章 データは新しい石油
 第6章 分業の新たな形
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか)
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)

我々は如何に予測マシンと共同できるのか?前回は記事はこちら。

それでは続きを見ていきます。

■分業の新たな形
昨日は、AIと人間が得意分野を活かしあって共同することの大切さを見ていきました。詳細に見ていきましょう。
まず、人間が予測において苦手な部分は何でしょうか?まずは心理学的な実験の話が展開されています。

被験者にランダムなXとOを与えて、次に出るのがXかどうかを予測させる心理学の実験がある。例えば以下の〇とXの配列を考える。
OXXOXOXOXOXOXXOOXXOXOXOXXOOXXOXOXOXXXXXOXX
この配列の場合、Xの数がOの数よりわずかに多い(Xが60%、Oが40%)。そのため、多くの人はこの配列では、次にXがくると推測するが、バランスを考えてOも入れる。しかし、予想が当たる確率を最大限に高めたい場合は、常にXを選択する。そうすれば、60%の確率で予想が当たる。60/40をランダム化すると、予測は52%の確率(※)で正しくなり、これは、XとOの相対的な頻度をわざわざ評価せず、どちらか一方を推測した場合よりもわずかに優れている。
※60%の確率でXを選択して60%の確率で正解し、40%の確率でOを選択して40%の確率でしか正解しない。平均すると、0.6^2 + 0.4^2 = 0.52

このような実験が教えてくれるのは、確率の評価がそれほど悪くない状況であっても、人間は統計学者としては上手くない、ということです。
予測マシンはこのようなエラーを犯しません。さらに人間が間違う例が紹介されます。

心理学者のダニエル・カーネマンエイモス・トヴェルスキーが多くの実験でこのことを実証した。
例えば、被験者に、「1日に45人の出産がある病院」と「1日に15人の出産がある病院」の2つの病院を考えさせた。そこで、
「どちらの病院の方が、生まれた赤ちゃんの60%以上が男の子の日が多いか」
を尋ねたところ、小さい方の病院という正解を出した人はほとんどいなかった
小さい方の病院が正しいのは、事象(この場合は出産)の数が多いほど、日々の結果が平均(この場合は50%)に近づく可能性が高いからだ。コインをめくることを想像すると、50枚のコインをめくるよりも、5枚のコインをめくった方が、表が出てくる可能性が高くなる。したがって、小さな病院は、出生数が少ないため、平均値から離れた極端な結果になる可能性が高いのだ。

大数の法則です。

このようなヒューリスティックやバイアスについては、いくつかの本が書かれています。

多くの人は、健全な統計的原則に基づいて予測を行うことが難しいと感じているので、専門家が存在します。しかし、そのような専門家も、意思決定を行う際に、同じようにバイアスを持ってます。このようなバイアスは、医学、法律、スポーツ、ビジネスなどの多様な分野で起こっています。

この本では、例が様々示されています。

トヴェルスキー氏は、ハーバード大学医学部の研究者と共に、肺がんの治療法として「放射線治療」と「手術」の2つの治療法を医師に提示した。5年生存率は手術を推奨している。2つのグループの参加者があった。
1つ目のグループに「1ヶ月の生存率は90%」と伝えると、84%の医師が手術を選択した
2つ目のグループに「1ヶ月目の死亡率は10%」と伝えると50%の医師が手術を選択した。
これらのフレーズはどちらも同じことを表現しているが、研究者が情報をどのようにフレーム化したかによって、決定に大きな変化が生じた。マシンがこのような結果になることはない。

専門家でも間違うと。フレーム化は以下に詳しいです。

カーネマンは、複雑な情報に直面したときに専門家がうまく予測できなかった状況を他にも多く挙げている。経験豊富な放射線技師は、X線を評価する際に5回に1回は矛盾していた。監査人、病理学者、心理学者および管理者は同様の矛盾を展示した。カーネマンは、人間の代わりに数式を使って予測する方法があるならば、その数式を真剣に検討すべきであると結論づけている。

人間が感情・バイアス抜きに判断するのは難しいです。

本日はここまで。明日は有名なマネーボールについてです。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/

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