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【AIによる予測】予測マシンの世紀#12 予測マシンはなぜ「知能」か?④

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
 第3章 魔法の予測マシン
 第4章 「知能」と呼ばれるわけ
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか)
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)

予測マシンが「知能」と呼ばれるわけについての続編です。

■1部4章 知能と呼ばれる理由
昨日は、解約率以外の分野で機械学習がどのように力を発揮しているかを見てきました。

ここから、4章のテーマ、なぜ「知能」と呼ばれるか?です。

今まで書いてきた通り、機械学習の進歩は、予測のために統計を使う方法を変えました。AIの開発により、予測の最終的な目標である「欠落している情報を埋める」ことが正確にできるようになりました。

では、機械学習を「人工知能」と呼ぶに値する変革的なコンピューティング技術にしているのは何なのか?ルールに基づいた論理の代わりに予測を使うことができるほど予測が優れているのだ。

このルールに基づかない方法により、以前では難しかった複雑な環境での予測が可能になります。

例えば、写真のグループの中の猫を識別したいとする。猫には多くの色や質感がある。猫は立っていたり、座っていたり、横になっていたり、ジャンプしていたり、不機嫌そうな顔をしていたりする。家の中にいたり、外にいたりすることもある。猫を認識するという簡単なことでも、通常の統計的手法にとっては複雑すぎる。

そこで、何度も登場させていますが、ディープラーニングの登場です。

ディープラーニングは、「バックプロパゲーション」と呼ばれる技術を使っている。この技術は、例を用いて学習する。子供に「猫」という言葉を覚えさせたいのであれば、猫を見るたびにその言葉を言えばよい。ディープラーニングも基本的には同じで、"猫 "というラベルのついた猫の写真と、"猫 "というラベルのついていない猫の写真を何枚も与えると、機械は "猫 "というラベルに関連付けられたピクセルのパターンを認識することを学習する。

バックプロパゲーションは以下をご参考に。

このように、様々な問題が、「予測問題」に置き換えられました。

多くの問題は、アルゴリズムの問題(「猫の特徴は何か」)から予測の問題(「ラベルのないこの画像は、以前見たことのある猫と同じ特徴を持っているか」)へと変化した。

さて、再度、なぜ多くの技術者が機械学習を「知能」と呼ぶのでしょうか?

それは、機械学習の出力である予測が知性の重要な要素でだからだ。予測精度は学習することで向上し、予測精度が高いことで、物体の識別など、これまでは人間の知性に関連していたタスクを機械が実行できるようになった。

ここから、ジェフ・ホーキンスさんの考えが述べられています。これに関しては様々議論があるようです。

ジェフ・ホーキンスは、予測が人間の知能の基礎であることを主張した。彼の理論の本質は、創造性や生産性向上の核となる人間の知性は、脳が記憶を使って予測を行う方法に起因しているということです。

人間の知性が予測に起因している、と。

ホーキンスは、私たちの脳は、私たちがこれから経験しようとしていること、つまり何を見て、何を感じて、何を聞くかについて、常に予測を立てていると主張している。私たちが成長し、成熟するにつれ、脳の予測はますます正確になり、予測はしばしば現実のものとなる。
予測が正確に未来を予測していない場合、私たちはその異常に気づき、その情報が脳にフィードバックされ、脳はアルゴリズムを更新し、その結果、学習し、モデルをさらに強化する。

何が起こるか予測を立てて、現実と比較する学習ループを続けていると。先ほど書いたように、この理屈は議論が続いているそうです。

基礎となるモデルが適切であるかどうかは別にしても、知性の基礎としての予測を強調している彼の姿勢は、近年のAIの変化の影響を理解する上で有用である。

予測をもとに言語翻訳ができたり、自動運転が可能になっているため、予測が知性の基礎、という理屈はある程度は理解できます。そのため、予測マシンが知性のように見えます。しかし、著者は予測マシンが知能かどうかは問題視していません。あくまでも「予測」に焦点を当てています。

このように予測に焦点を絞ることで、今後数年の間にとんでもない変化が起こることを示唆しているのである。コンピュータによって可能になった安価な算術が、ビジネスや個人の生活に劇的な変化をもたらす強力なものであることを証明したように、安価な予測によっても同様の変化が起こるだろう

もう一点、アルゴリズムを使った決定論的プログラミングから、機械学習による確率論的プログラミングへの移行という観点が大事です。

20世紀には、物理世界の理解が根本的に再編成され、ニュートンの決定論的な視点から量子力学の不確実性へと移行した。それは、アルゴリズムがデータに基づいて確率論的に構造化されているときに最もよく機能するという認識だ。

最後のは本を読む中で、明確化します。

今日はここまで。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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