逆噴射小説大賞 「これ好きだな」と思ったやつまとめ
もう完全に旬が過ぎた感もありますが。
1. 自分で書いた作品の中で気に入っているやつを自薦
2. 自分で書いた中で「これはあかん」というやつの反省会
3. 他の人が書いた作品で「これ好きだな」と思ったやつのまとめ
4. 逆噴射小説大賞に参加したことでの気づき
逆噴射小説大賞の振り返り、今回は第三回目の「これ好きだな」と思ったやつのまとめになります。自分で言うのもなんだけど、最後発ピックアップ記事なのでは…!
なお順番に特に意味はありません。
1. ブレイブ・ニューワールド・オーダー
これ、世界観の奥行きを感じさせて、それだけでワクワクします。「続きを読みてーなー」って思っていたんですが、「アセンション:ブレイブ・ニューワールド・オーダー」の冒頭で壮絶なネタバレをくらって「なんとー!?」って叫びましたね。でもやっぱり続きが読みたい。
2. 胡漢英雄記
三宅つのさんはいろいろと振り幅の広い作品を書いていて凄いなぁと思っているんですが、その中でも僕はこれが好きです。三宅つのさんの作品としては静かな立ち上がりですが、物凄く丁寧に書かれている気がします。何よりも「八王の乱」とか渋すぎ…。
3. Melancolico
深瀬ねむみさんの作品はすでにいろいろな人にピックアップされていると思いますが、僕はこれが一番好きですね。深瀬ねむみさんはまず状況を詳述するパターンが多い気がしていますが、そんな中でこの作品は身体感覚のようなものを感じさせていいなと思いました。特に「ごつんごつん」という表現と、最後の
「人生はそんなもんだよ」
これが好きですね。気に入っています。
ちなみにこんなハンドルネーム(修験者)にしているので、熊野を舞台にした「太陽神になった和尚」も気になるところですが、残念ながら僕は胎蔵界たる熊野ではなく、金剛界たる吉野の修験者なのでした(さて、本当でしょうか)。
4. Gleams of humanity
文目さんの作品も凄く好きなんですが、その中でもこの「Gleams of humanity」は作者の中にあるプリミティブな熱量のようなものを感じさせて、特に好きです。個人的に「抑圧状況に屈しない人々」というシチュエーションが好きということもあって、特に記憶に残りましたね。好きです。
5. ブレイブラッパー 光と闇のリリック
なんなんでしょうね、これ。何を摂取しているとこんな発想が出てくるんですかね…。
「ビッチ魔王! ビッチ!」
いやいや、天才かよ…。
6. 王、一頭・一機
逆噴射小説大賞はけっこう一発芸というか、奇をてらっている作品も多かった気がします。そんな中でこの作品も一見そのように見えるんですが、その実、凄く奥行きのある世界観というか、世界の拡がりを感じさせます。一頭と一機が出会った人間が何者なのか、もしくは何者になるのか。それをタイトルで示唆しているのもワザマエですね。
7. ダイブ・イントゥ・ザ・ダークネス 第一話 Dr. ヘーゲルと闇の世界精神
これ、僕は凄く好きです。神話や英雄譚などを背景にした物語は数多く産み出されていますが、哲学的テーゼがさながら宝具のごとき力と世界観、奥行きを持つ、これは独創的で凄いと思います。が、たぶん一般には伝わんないんだろうなぁ…。
8. 水没世界の蒼い鯨
逆噴射小説大賞は400字という制限の中で表現を競うわけですが、この「水没世界の蒼い鯨」は世界観の奥行きと叙述の美しさ、そのバランスが素晴らしいと感じました。こういう文章を書けるようになりたいものです。
9. バーチャル・ヴィクティム・アンド・バーチャル・クリミナル
逆噴射小説大賞、VRネタがけっこう多かったですよね。その中でも僕はこの作品が一番印象に残っています。VR世界で傲岸に振舞う悪魔的な男。続きが読みたいですね。
10. 絶罪殺機アンタゴニアス
これは素直に格好良いです。僕はこんなアイコンしているだけあって、やっぱり中華フレーバーが好きなんでしょうね。
男が重く踏み込んだのだ。大地より返ってくる反動が脚、股関節、胴、肩を伝わる過程で捻りを加えられ、纏絲勁へと変換されてゆく。肩から腕へと力が伝達されると同時に男は右腕を突き出した
だからこんなこと書かれたら、ゾクゾクします。いやぁ続きが読みたいです。
11. 僕の街のトイレダンジョン
こういうジュブナイルっぽい冒険物語、好きです。って、冒険物語と書きましたが、実際にはホラーかもしれない。この後どうなってしまうのか、すっごく気になります。
12. ライディング・ホッパー
逆噴射小説大賞に参加して気づいたこととして、小説はテンポやリズム感、何よりも「物語が流れていること」が大事なんだな…ということがありました。この「ライディング・ホッパー」は文字通り物語が流れていて、読んでいて「いや、凄いな」と溜息が出てしまいました。素晴らしい。
13. 語り尽くせぬ物語
これも凄いですよね。全部婆さんのセリフ。でもしっかりと世界観と主人公が何者であるのかが伝わってくる。そして何よりもこの後の展開を期待させるだけの面白さも伝わってきますね。上手いなぁ…。
14. お札は眠る
この作品に限らないんですが、森匹みかささんの文章は独特の緩さというか柔らかさのようなものを感じさせて、僕、好きです。
15. 【総天然色】川の大怪獣イクラドン
大怪獣もの。特にこの作品は表現が凄く刺さりました。
それは溯上する殺戮。裂けた腹から死を産卵する大怪獣。
イクラドンという冗談のようなネーミングから、ここまで禍々しい表現が産まれてくるって、本当に文章って凄い。
16. 花の婚礼
ウナーゴンさんの作品はまるで映像が浮かんでくるような感覚があるんですが、特にこれは色彩まで浮かんでくる感じがして好きです。読んでいて「なんだか夢日記の感覚に似ている」とも感じましたが、実際に見た夢を元にされているということで、なるほどね!と思いました。
17. 相撲マン
いやー、僕これ、本当に好き過ぎるんですよね。逆噴射小説大賞の期間中、いいなと思った作品は何度か読み返したりもしたんですが、これは本当に何度も読み返しましたね。
「何故新弟子を殺した。」
「ア?アー、難しいな。そう、彩り?」
俺の張り手を受け、鬼札の顔が歪み、血と歯がコンクリートに落ちる。
この「そう、彩り?」というセリフ回しのセンス。最高ですね。普通考えつかないよ! そしてそのセリフがその後の主人公の行動に必然性を持たせて、最後の疾走感へとつながっている。グレートです。
…ということで、以上で「これ好きだな」と思ったやつまとめは終了です。ちなみに応募作に全然目を通せていないことには自信があるので、相当偏っていると思います! たぶん半分も読めてないはず。。
次回で振り返りは最後。
「逆噴射小説大賞に参加したことでの気づき」をまとめて締めにしたいと思います。
【「逆噴射小説大賞に参加したことでの気づき」に続く】
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