集英社文庫

集英社文庫の公式アカウントです。 書籍紹介やコラム、裏話、連載小説などを発信していきま…

集英社文庫

集英社文庫の公式アカウントです。 書籍紹介やコラム、裏話、連載小説などを発信していきます。 読書の秋!新連載ぞくぞくスタート! 集英社文庫公式サイト:https://bunko.shueisha.co.jp/

ウィジェット

マガジン

  • 雌鶏/楡 周平

    昭和29年、ナイトクラブ「ニュー・サボイ」で働く貴美子は、上客の鬼頭から京都で占い師として生計を立てないかとスカウトを受ける。服役の過去を持つ貴美子は、そこを足掛かりに次々と成り上がり……。昭和の政治と金を描く大長編。

  • 下町やぶさか診療所5

    看護師知子の義母が癌のため死去。故郷島根の海へ散骨してほしいとの遺言を残した。大先生こと麟太郎が知子夫妻に同行すると知った居候の高校生麻世は……。ユーモア&人情小説。

  • 営業担当のオススメ!

    集英社文庫の販売&宣伝担当者が、オススメの1冊をご紹介します! 人形作成&写真撮影/金沢和寛 バックナンバーはこちら→https://bunko.shueisha.co.jp/recommend/index.html

  • 十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」/田中啓文

    父の跡を継いで目明しとなったみくは、15歳の元気な女の子。 十手笛を手に、表稼業の飴売りに精を出していると、 弟子になりたいという子どもたちが現れ――!?  さらに、大坂の町でばけもの騒動が。痛快伝記時代小説、第3弾!

  • メソポタミアのボート三人男/高野秀行

    新たな脱力系本格派の冒険が始まる!! コンゴで怪獣を探し、ミャンマーでアヘン栽培に潜入し、ソマリアで独立国家を取材した著者が、メソポタミアの河下りを敢行する! 世界中の河を旅した山田隊長と共に、文明発祥の地を巡る一大冒険記。

  • REISAI×捜し物屋まやま「Anemone」
  • 畠中恵『猫君』(集英社文庫)PV

最近の記事

  • 固定された記事

読書の秋。新連載ぞくぞくスタート!

まだまだ残暑が厳しい……というより猛暑まっただなかですが、暦の上ではもう秋。 そう、読書の秋です! というわけで、集英社文庫noteでは小説・エッセイの新連載をぞくぞくスタート! 先行して連載を開始したのは、骨太なサスペンスを数多く生み出してきた福田和代さんのサイエンス×忍者小説『梟の胎動』。令和の忍者のスリリングな活躍をご覧ください! そして、血液のがんと闘いながら、長年あたためてきた構想をついに小説化した花村萬月さんの『海路歴程』。読み手をとらえて離さない中毒性の高い

    • 雌鶏 終章/楡 周平

      【前回】    1  繁雄(しげお)は始業時刻よりも一時間早い、午前八時前後に出社するのを常としている。  日中は会議や来客への対応、書類の決済に追われるし、夕刻からは会食の席が設けられることが多く、雑務をこなす時間がなかなか取れない。そこで、出社後の一時間で報告書や売上日報などに目を通し、余った時間を新聞や経済雑誌を読む時間に当てていた。  ただ、会社宛に送られてくる郵便物には、ほとんど目を通すことはない。  日頃付き合いのある人間ならば、私信は自宅宛に送ってくるはずだ

      • 下町やぶさか診療所 5 第四章 火傷の子供・前/池永陽

        【前回】  午後の診察も終り、麟太郎がイスの上で大きく伸びをしたとき、 「じいさん、入るぞ」  麻世の声がして、いきなりドアが開いた。 「おう、どうした、麻世。何かあったのか」  声を出す麟太郎の目に、麻世の隣に立っている男の子の姿が入った。体を竦めるようにして視線を床に落している。 「じいさん、火傷だ。ちょっと診てやってくれないか」  麻世は男の子の左腕をそっと取って麟太郎に見せた。手首の内側の上に丸い形の爛れた部分があった。直径は一センチほどで、まだ新しい。 「何でこん

        • 『トラッシュ』(増島拓哉/著)をオススメ!

           ピカレスクロマンという小説のジャンルがあります。悪漢小説とも呼ばれ、つまりは悪者が主人公の小説で、『アルセーヌ・ルパン』シリーズや『水滸伝』等がこのジャンルの筆頭です。今回の『トラッシュ』もそうしたピカレスクロマンに属する作品……かと思いきや、とてもその枠には収まりきらない、悪者を超えたまさにトラッシュ=クズたちの物語なのです。  いじめや性的差別、ぼんやりとした虚無感。様々な理由から集団自殺を図った6人の若者たち。しかし、入手した薬が偽物だったことで、全員生き延びてしま

        • 固定された記事

        読書の秋。新連載ぞくぞくスタート!

        マガジン

        • 雌鶏/楡 周平
          10本
        • 下町やぶさか診療所5
          7本
        • 営業担当のオススメ!
          12本
        • 十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」/田中啓文
          5本
        • メソポタミアのボート三人男/高野秀行
          5本
        • 海路歴程/花村萬月
          25本

        記事

          新刊のご案内【集英社文庫8月刊】

          みなさんこんにちは。 集英社文庫noteです。 まだまだ暑い日が続く8月。この暑さは10月まで続くとか……。 皆様ご自愛くださいね。 台風などにも気を付けて、穏やかな日々を過ごしたいものです。 さて、8月21日に集英社文庫の8月刊が刊行されました。 今月は12作品。 こちらの記事では、それぞれの魅力をご紹介していきます。 みなさんのお気に入りの一冊が見つかったら幸いです。 大注目の話題作!まずはこちらの2作品をご紹介! 『フェイクフィクション』 誉田哲也 警察組織

          新刊のご案内【集英社文庫8月刊】

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」5/田中啓文

          【前回】    五 「親方ーっ!」  みくが家で十手笛を磨いていると、どたばたと足音を立てて清八がやってきた。血相が変わっている。 「なにかわかったんか?」 「へえ。今日は、清八ようやった、とほめとくなはれ」 「清八ようやった! これでええか」 「あ、そや! 聞きましたで、親方、喜六に小遣い渡しなはったやろ。わしにもおくなはれ。喜六にだけ、いうのはズルいわ」 「あとでやる。――なにがわかったか、早う言わんかい!」 「そやったそやった。忘れてました」  清八は水を一杯飲んで

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」5/田中啓文

          メソポタミアのボート三人男 第五回/高野秀行

          【第四回】 2-3橋の下をたくさんの水が流れた・前篇  旅をしていると、日本人の自分が知らない地元の複雑な歴史に出会うことがままある。そんなとき、「橋の下をたくさんの水が流れたんだよ」というのが隊長の口癖である。なんでも開高健が著作の中でそう書いているとか。  おそらく、もともとはフランスの詩人ギヨーム・アポリネールの詩から来ているのだろう。「ミラボー橋の下をセーヌが流れ、われらの恋が流れる」という有名な一節だ。  どんなときに使うのかというと、古都ムシュのこんな一日に使

          メソポタミアのボート三人男 第五回/高野秀行

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」4/田中啓文

          【前回】    四 「というわけで、うちらは宝岩堂に探りを入れることになった。あんたらもそのつもりでな」  翌朝、家に来た喜六と清八をまえに、みくはそう言った。清八は手を打って喜んだ。 「はははは……これでしょうもない化けもの探しから離れられるわ。よかったよかった」 みくは一応、 「お上の御用にええも悪いもない。くだらんように思える事件に、案外、ひょんな悪事が隠れてるかもしれんのやで」  親方の威厳を示そうとして江面の言葉をそのまま口にした。 「せやかて地面に足がついてる

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」4/田中啓文

          雌鶏 第七章 2/楡 周平

          【前回】     3  二度目の公聴会の中継画像に見入りながら、アメリカは面白い国だと貴美子(きみこ)は思った。  アメリカには、CIA(中央情報局)やNSA(アメリカ国家安全保障局)、DIA(アメリカ国防情報局)等々、国家が運営する諜報機関がいくつもある。いずれも情報収集に励む一方で、中でもCIAは合法、非合法の如何に拘(かかわ)らず、隠密裏に工作活動を行っているとされている。  時には敵対国の体制転覆を図ったり、暗殺も厭(いと)わないと聞くから、ある意味犯罪国家とも言

          雌鶏 第七章 2/楡 周平

          下町やぶさか診療所 5 第三章 運命の人・後/池永陽

          【前回】   念のために腕時計を見ると、ちょうど一時三十分。  まだまだ大丈夫だ。『田園』のランチは二時までで、それを過ぎるとママの夏希は決していい顔をしない。  ただし、イケメンの潤一なら、たとえ三時を回っていても上機嫌で迎え入れてくれるというから、けっこう癪にさわるが仕方がない。とにかく素早く昼を終えて、さっさと帰らなくては。午後の診療は二時からだった。  扉を開けると昼時を過ぎているせいか、客はまばらだったが、奥の席に気になる顔が見えた。静一だ。  奥の席でコーヒーカ

          下町やぶさか診療所 5 第三章 運命の人・後/池永陽

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」3/田中啓文

          【前回】    三  みくたち三人は、化けものについてたずねて回ったが、なかなかこれぞといった情報は集まらなかった。「傘屋の店先でからかさ小僧を見た」とか「天狗が松の木の枝に腰を掛けて煙管を吸っていた」とか「新地で遊んで帰ったら嫁はんの顔が鬼になっていた」とか、明らかに嘘だとわかるものがほとんどだった。 「もう知らん!」  みくはぶち切れた。 「化けものとか物の怪とかいうたかて、人間になんにも悪さしてへんのやから、ほっといたらええねん。木の葉を小判に見せかけた、とか、風呂

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」3/田中啓文

          海路歴程 第十二回<下>/花村萬月

          .    *  伴助を詮議し、尾類の許に送りこんだ侍が見送りにきた。伴助のまわりでだらけていた士分たちがいっせいに平伏した。侍は伴助のごく間近に顔を寄せ、笑った。 「籠絡しおって」 「はて」 「胸を焦がしておるぞ」 「なんのことやら」 「まあ、よい。渡したくはないが送りこまねばならぬ。薩摩はともかく、大坂奉行所の詮議は、このようにはいかぬぞ」  しばし見合って、伴助は雑に頭をさげた。 「達者でな」  伴助はもう一度、頭をさげて船上の人となった。  在番所の横目付に付き添われ

          海路歴程 第十二回<下>/花村萬月

          【夏の特別企画・同世代作家対談】黒木あるじ×天野純希 “プロレス脳”な私たち

          実話怪談小説の旗手・黒木あるじが挑んだプロレス三部作の完結編『破壊屋(デストロイヤー) プロレス仕舞伝』。歴史時代小説の新時代を駆ける天野純希が、名もなき人々の物語を紡いだ『もろびとの空 三木城合戦記』。集英社文庫のレーベルメイトであり、共に1970年代後半生まれの作家による、異種格闘技対談……と思いきや、プロレスの話題から小説の視座まで、初対面にもかかわらず驚くほどに意気投合。スウィングするトークに華が咲く時間無制限一本勝負。いま、開始のゴングが鳴り響く! 〈対談進行・記

          【夏の特別企画・同世代作家対談】黒木あるじ×天野純希 “プロレス脳”な私たち

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」2/田中啓文

          【前回】   二 「さあーっ、美味しい美味しい笛吹き飴やで! お子たちがなめたらほっぺが落ちるし、おとなが噛んだら勝負事の運がつくでえ!」  篠笛を手にしたみくは満面の笑みで甲高い声を張り上げると、背筋を伸ばし、歌口を口に当てた。  ぴーーーーーっ  ぴーひゃららら  ぴっ、ぴきぴきぴきぴき、ひゃらるりら  ららら……ららら……ららら……  涼しそうな笛の音が境内に鳴り響いた。ここは、みくの住む月面町からもほど近い今宮村の「今宮戎神社」である。通称は「えべっさん」。み

          十手笛おみく捕物帳 三 「篠笛五人娘」2/田中啓文

          海路歴程 第十二回<上>/花村萬月

          .    * 09〈承前〉  なんだ、こりゃあ。話が違うぜ──と声をあげそうになった。抑えこんだ。  米ではなく、粟飯だった。  宮古島では粟のことを米というのかもしれないと思いなおし、もそもそ咀嚼した。惣菜は鰯が二疋、酢であえた蛸、得体の知れぬ青菜と鶏の肉らしい欠片が浮かんだ清まし汁だった。  裏切られたとまではいわないが、白米を思い描いていたこともあって興醒めした気分だった。けれど御数はなかなかのもので、精一杯もてなしてくれているのが伝わった。  それよりも給仕が枯れ木

          海路歴程 第十二回<上>/花村萬月

          新 戦国太平記 信玄 第八章 上洛無常(じょうらくむじょう) 1/海道龍一朗

           九十二   永禄十二年(一五六九)十月、三増峠の戦いで武田勢が北条家に勝利する間、別働隊として駿河で動いていた秋山信友が北条方の蒲原城を囲んだ。  その一報を、信玄は帰還した甲斐の府中で受け取る。  ──われらが小田原にまで出張った理由は、単なる威嚇ではない。蒲原城を制し、相模と駿河を分断するための大掛かりな陽動だ。戦続きとはいえ、ここで手をこまぬいてはおられぬ。  そして、間髪を容れずに、再び駿河への出陣を決意する。  ──こたびこそ、北条が西へ出てこられぬよう拠点を潰

          新 戦国太平記 信玄 第八章 上洛無常(じょうらくむじょう) 1/海道龍一朗