Shoso Shimbo

オーストラリア、メルボルン在住の華道家、庭園デザイナー。和メルボルン生け花フェスティバ…

Shoso Shimbo

オーストラリア、メルボルン在住の華道家、庭園デザイナー。和メルボルン生け花フェスティバルCEO。オンライン講座生け花道場主宰。国際いけ花学会副会長。新潟県五泉市出身。モナシュ大学日本学修士、美術修士、RMIT大学博士号(教育)。https://www.shoso.com.au

マガジン

  • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談

    海外で日本文化を紹介する楽しさや大変さを紹介。資金も実績もない状態からチームワークと工夫でメルボルン生け花フェスティバルを国際イベントにしていく過程をお伝えできればと思います。

  • 自己紹介:新保逍滄

    新保逍滄の自己紹介です。メルボルン生け花フェスティバルCEOとして活動しています。

  • 外国人に生け花を

    オーストラリアで生け花を教える難しさについて。試行錯誤を繰り返し、文化受容と文化変容の問題まで考えることに。

最近の記事

メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(14):2024年度プレスリリース(下)

2024年9月5日から始まるプログラムが公開されました。国際的なゲストをお招きする4つのメイン·イベントと工夫を凝らした各種イベントを予定しています。各イベントの概要は以下の通りです。 日本からの出展者募集中です。 1、「生け花パフォーマンス:はなだよりナイト」 メルボルン生け花フェスティバルから生まれた香水シリーズ、はなだよりコレクションの発表会を兼ねた新保逍滄による生け花パフォーマンス。クラシックギターの巨匠スラバ·グレゴリャンを招いて。なお、はなだよりコレクション

    • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(13):2024年度プレスリリース(上)

      生け花の新しい可能性をメルボルンから提案! メルボルン生け花フェスティバル・2024 2024年9月5日より開催 国際的な音楽家、陶芸家に加え、日本、ベトナム他諸外国から華道家がメルボルンに集結。多彩な生け花関連イベントを開催。日本からの華展出展者募集中。 概要 2024年9月5日(木)から8日(日)まで和·メルボルン生け花フェスティバル(CEO:新保逍滄)がメルボルン·リサイタル·センター他、メルボルン各地で開催されます。 日本では1996年には450万人だった

      • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(12):花器賞の発想(下)

        賞金額が少なくても 賞金額の少ない分、これを意義のある賞にする工夫を考え、あれこれ手を回します。オーストラリアの陶芸では最高峰のヒロエ・スウェンさんに協力を求めますと、快く審査委員長を引き受けてくださいました。これでなんとかなりそうです!オーストラリア史上初(おそらく)の花器賞の発進です。 困難打開策、一言で言えば ここで私が見つけた教訓はこうです。ある予算内で二進も三進もいかない場合、ひとつの試みとして、あえて予算を拡大してみること。資金不足の問題は、より多く遣って

        • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(11):花器賞の発想(上)

          「メルボルン花器賞」はメルボルン生け花フェスティバルの新しいプログラムとして2022年から始めたものです。まだ、うまくいくのかどうかは不明の段階で書いたブログ記事を以下に紹介します。 実は、この企画、資金不足という私たちにとっては現実的な難題を一気に解決してくれただけでなく、来場者倍増、陶芸露店市開催、さらに2024年度にはオーストラリアで最も著名な陶芸家、ヒロエ・スウェンさん(オーストラリア勲章、旭日双光章受賞)から「メルボルン生け花フェスティバル内で個展を開きたい」とお

        メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(14):2024年度プレスリリース(下)

        • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(13):2024年度プレスリリース(上)

        • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(12):花器賞の発想(下)

        • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(11):花器賞の発想(上)

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        • メルボルン生け花フェスティバルCEO放談
          14本
        • 自己紹介:新保逍滄
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        • 外国人に生け花を
          10本

        記事

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(10):オンライン花展・花信の発想

          オンライン花展、花信(Hanadayori)について、その発想の原点をお話しします。やがてこのHanadayori はフェスティバル開催時以外の時の私たちの重要な活動となります。 さらに、この企画にちなんだ香水が発売され、その売り上げがフェスティバル運営を資金面で援助し、さらに香水のローンチのためにベトナムで生け花パフォーマンスを行うというところまで発展します。 さらに、そのパフォーマンスがベトナムの有力紙の文化欄やベトナム航空の機内誌にまで紹介されるという成果を生みます

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(10):オンライン花展・花信の発想

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(9):成功の秘訣(下)

          州外、国外からの出展者をお呼びするには? このフェスティバルの大きな特徴のひとつは、生け花展に外部からの出展者を募集したということ。 現状:メルボルンには生け花をやっている方が少ない。 理想:多くの出展者を迎え、この花展をフェスティバルと名のつくものにしたい。 現状と理想の間に大きなギャップがあります。 解決策は、メルボルンの他から出展者を迎えればいい! しかし、どうしたら州外、さらに海外、日本から出展者をお呼び出来るのか?これは難問です。 出展者にとっては旅費やら

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(9):成功の秘訣(下)

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(8):成功の秘訣(中)

          「成功の秘訣」として、総括的な話をしてみたいと思います。先に公開した2019年度の開会の挨拶をもう少し掘り下げた内容になります。 メルボルン生け花フェスティバルの目標 メルボルン生け花フェスティバルの目標は、一言で言って「生け花人口の拡大」。もっと多くの人に生け花の魅力を伝えたい、ということ。 もちろんメルボルンでも従来からそのような努力は続けられてきました。しかし、生け花展を開催しても、見に来てくれる方は限られているようです。日本に興味のある方々、つまりすでに生け花に

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(8):成功の秘訣(中)

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(7):成功の秘訣(上)

          2019年度メルボルン生け花フェスティバルについての雑感です。終わってみると、その特徴がはっきりしてきます。 2種類の日本文化紹介イベント 海外での日本文化紹介イベントには、ターゲットとする来訪者によって2種類あるように思います。 ひとつは、メルボルンの場合、従来から行われている「ジャパン・フェスティバル」「各種生け花展」など。主催者、紹介者は主に地元の方々で、地元の方々に向けて文化紹介をなさる。基本的にローカルなイベントです。 もうひとつは、例えば、国際レベルの日本

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(7):成功の秘訣(上)

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(6):最大の成功要因

          海外で日本文化を紹介する「大変さ」と「楽しさ」を、アレコレ語っていこうと思います。前回に引き続き、2019年初回開催のメルボルン生け花フェスティバルについての分析です。 当地の生け花イベントとしては、前代未聞と言えるほどの観客動員数。企画したイベントの全チケット完売。とりあえずの成功を収めたこのイベントについて、過去のブログ記事を要約して紹介します。 最大の成功要因 私見では、今回の最大の成功要因は運営委員チームの機動力。これに尽きます。彼女たちへの感謝は私のスピーチで

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(6):最大の成功要因

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(5):成功の要因は?

          海外で日本文化を紹介する「大変さ」と「楽しさ」を、アレコレ語っていこうと思います。まずは、2019年初回開催のメルボルン生け花フェスティバルについて、数回にわたって分析しつつ、報告していきましょう。 続いて、ウェブサイトに書ききれない、その後の変革、そして、今後の予定まで紹介できればと思います。 来訪者からのコメント まずは、初回開催後いただいたメッセージをいくつか紹介します。積極的にコメントを依頼したわけではないのですが(実は、そこまで配慮が回らないほどスタッフ全員働き

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(5):成功の要因は?

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(4):開会の挨拶

          第1回メルボルン生け花フェスティバルの開会式(2019年9月)での私のスピーチを紹介しましょう。オリジナルは英語でしたの、AIに和訳してもらい、加筆修正しています。 ごあいさつ 皆様、おはようございます。Wa: Melbourne Ikebana Festivalへようこそ。特に、私たちの特別ゲスト、ビクトリア州文化教育相ティエン・キュー博士代理、ヤラ市議のダニエル・ングエンさん、和太鼓竜胆、いけばなインターナショナル代表のトリッシュ・ニコルズさん、ようこそいらしゃいまし

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(4):開会の挨拶

          自己紹介(3):学術論文の書き方(下)

          自己紹介(3):学術論文の書き方(上)の続きです。拙論が成立した過程を説明していきます。 トピックは自由花運動 戦前、生け花の世界では、西洋藝術の影響で自由花運動が起こります。生け花の歴史上、とても大きな変革です。これをテーマに論文を書こうという場合、自由花運動をいくら詳しく調べ、記録していってもそれはただのデータの集積でしかありません。 そんなものはいくら内容が詳細であっても、中学校の自由研究レベルであって、大学レベルの論文ではありません。もちろんそれも無意味ではあり

          自己紹介(3):学術論文の書き方(下)

          自己紹介(3):学術論文の書き方(上)

          自己紹介(2)を書いた後、もう少し付け加えたいことが出てきました。 管見ですが 諸事情あって学術論文を読む機会がよくあります。国際いけ花学会の副会長ですし、ある国際学会の査読委員もしばらく担当したことがあります。 学問の世界は広大ですが、私の専門とする領域は非常に狭いものです。教育心理学(博士号)、日本学(修士)、美術(修士)といった文系の中の小さな分野です。その狭い分野の経験しかない者の管見に過ぎないのですが、日本語の文系の論文はもっと面白く、ワクワクするようなもので

          自己紹介(3):学術論文の書き方(上)

          自己紹介(2)

          日本語ブログに自己紹介的な記事をいくつか書いています。その中から私の留学体験に関する記事を紹介しましょう。 思い出すこと:留学生として 出版予定の作品集のために自分の略歴を用意していて、学歴は少し普通じゃなかったかな、と思いました。自分で選んだ歩みなので私には不思議でも何でもないのです。自分の中では一つに繋がっています。 しかし、日本学修士、教育学博士、美術修士と進みましたから多くの方からすると、何だこいつ?と思われても仕方ないでしょう。本物の学者は普通、一処で頑張るも

          自己紹介(2)

          自己紹介(1)

          略歴 新潟県五泉市出身。早稲田大学第一文学部哲学科東洋哲学専修卒、Monash大学日本研究科修士、 Monash大学美術修士(彫刻)、RMIT大学教育学部博士号取得。華道師範、庭園デザイナー、神職資格取得(京都國學院)。 オーストラリア、メルボルンにて華道家、華道研究家、彫刻家、日本庭園デザイナーとして活動。RMIT大学公開講座「日本の美学:生花から現代芸術へ」担当。アレキサンドル・ヨアン・クザ大学(ルーマニア)、京都芸術大学で特別講師。 国際いけ花学会副会長。メルボ

          自己紹介(1)

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(3):まずは挫折でスタート

          2019年、8月31日、9月1日に初回のメルボルン生け花フェスティバルが開催されました。 今回は、初回開催の数ヶ月前、参加者募集に取り組んでいた頃にたくさん書いたブログ記事から主なものを拾ってみます。このフェスティバルの方向がだんだんはっきりしていった様子をお伝えできればと思います。一部加筆しています。 生け花振興のために メルボルン生け花フェスティバルとか、メルボルン生け花月間、というような企画は必要かなと、長い間、思っていました。 メルボルンでは、生け花はまだマイ

          メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(3):まずは挫折でスタート