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メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(11):花器賞の発想(上)

メルボルン花器賞」はメルボルン生け花フェスティバルの新しいプログラムとして2022年から始めたものです。まだ、うまくいくのかどうかは不明の段階で書いたブログ記事を以下に紹介します。

実は、この企画、資金不足という私たちにとっては現実的な難題を一気に解決してくれただけでなく、来場者倍増、陶芸露店市開催、さらに2024年度にはオーストラリアで最も著名な陶芸家、ヒロエ・スウェンさん(オーストラリア勲章、旭日双光章受賞)から「メルボルン生け花フェスティバル内で個展を開きたい」とおっしゃっていただける幸運まで引き寄せてくれた画期的な企画となりました。


この企画、本当は、うまくいくことがはっきりしてから、「成功への着想」などとして自信たっぷりにお話しできれば、もっと面白いのでしょうが。

今回もまた参考にしていただけるのかどうか分かりませんが、問題打開の方法として、もしかすると一般化できる点があるかもしれません。それほど独特の発想方法ではなく、広く行われていることでしょうが、私にとっては面白い経験でした。

出発点は資金不足

まずは背景です。コロナのせいで海外、州外からの出展者があまり見込めないだろうという非常事態です。すると、会場費用の捻出が難しくなります。どうするか?

もちろん対策は色々あります。

最も簡単なのはキャンセルすること。

あるいは、より小さな安い会場を借りること。しかし、メルボルンの文化芸術の発信地として知られ、市の中心部にも近く、数年来使っているアボッツフォード・コンベント、これに代わる場所はなかなかありません。

会場費用が仮に10万円だとします。出展者からの費用では5万円しか調達できない。不足の5万円をどうするか?ここが出発点だったのです。おそらく似たような状況を経験したことがあるという方もおありでしょう。

対策のあれこれ

まず考えたのは、会場を半分、陶芸教室に貸して、彼らと合同の展覧会にしようという案。

陶芸教室を調べてみると、その数の多さに驚きました。メルボルン近辺で軽く20ほど見つかります。それに比べ、メルボルンで常時営業している生け花教室など一つもないはずです。

陶芸はかなり大きなマーケットなのだと気づきました。さて、こちらの条件に合わせて展覧会をやってくれるところがあるだろうか?

しかし、飛び込みでいきなりこんな話をもっていっても、私たち自体あまり実績がないため、なかなかうまく話が進みません。私の営業力は不十分です。

どうしたらいいのか?

発想の転換:必要予算を2倍にしたら?

問題の根本は、予算です。その枠です。10万という枠組みで考えていると、どうしてもやれることが限られてくるのです。

では、この枠組みを二倍にしたらどうか?

つまり、20万の予算で発想してみてはどうか?20万遣って、20万入ってくる仕組みができないか?と考えると、途端にオプションが増えます!

会場費の10万に加え、10万の賞金を予算に追加して花器賞を創設しては!?

コンクール出品者から出品費用を集め、さらに、出展作品を販売。その手数料を得て、合計 15万円くらいの収入を得る。それで不足分はカバー。それはさほど難しくはないだろう、と。なんと言っても陶芸人口の多さは心強い。不確実な要素はありますが、これは行けそうだ!と思い出すと、もう、いてもたってもいられません。

メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(12):花器賞の発想(下)に続きます。

2024年度広報

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