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家事について考える

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阿古真理『料理は女の義務ですか』抜き書き

 日本では現在、世界各国の食材が手に入り、料理法が伝えられるがゆえの選択肢の多さが、人を悩ませてもいる。何をつくったらいいのか選べないのだ。料理技術の低下も著しい。レパートリーも少ない、基本技術も怪しいまま、台所に立つ人は珍しくない。さらに忙しさが料理を困難にする。食材を調達したり、つくる時間もままならない。食べ損なった食材やつくった常備菜が冷蔵庫の中で腐り、つくる気が萎える。子育てと家事の両立に

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基本パターンを掴むためのレシピ本

基本パターンを掴むためのレシピ本

前回は、料理が上達するためのレシピ本の選び方について、大まかな考え方を書きました。料理の基本パターン(公式)を掴めるような内容のものがいいですよ、とお伝えしましたが、では、具体的にはどんなものがあるでしょうか。

私自身が料理を始めた時、役に立ったのは、有元葉子さんの「有元葉子の料理の基本」という本でした。2000年の出版です。素材の扱い方、茹で方、煮方、揚げ方…といった項目で、それぞれのパターン

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休校中に大発明しました!名づけて「かじとりゲーム」

休校中に大発明しました!名づけて「かじとりゲーム」

「休校期間中は、できるだけ家庭学習の継続に努めてください」

2週間前、突如、言い渡されたお達しには参りました。

なぜかというと、わが息子(小2・8歳)におきましては、現時点で「家庭学習の習慣」というものがほとんど備わっていないからです。
彼の脳の8割は野球とドッチボールで占領されていて、毎日の家庭学習といえば、学童でやり残してきた宿題を完了させるくらいのこと。

その宿題も、今回の緊急休校パタ

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家事と家庭のことを考えるにあたって、最近読んだ本たち

家事と家庭のことを考えるにあたって、最近読んだ本たち

家事についての本格的な専門書や研究書は実用書にくらべて少ない。それは家事が言葉でうまく説明しにくいからでもある。
「名前のない家事」という言葉が流行っている。でも、名もなきものだから家事であるともいえる。「名のある家事」はすでに仕事であって家事ではない。

……というようなことを考えるために、家の外からさまざまな概念をひっぱってくる必要がある。最近いくつか、家事や家庭の考察に役立った何冊かの本を読

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あなたは料理派?掃除派?・その1

あなたは料理派?掃除派?・その1

 家事の得意不得意や好き嫌いについて話していると、気がつくのは料理が得意な人と、掃除が得意な人は別だと言うことです。「新しいカテイカ研究会」を始めたメンバー3人も、料理が得意ですが、掃除は苦手だと分かりました。家事全般について考えると言いつつ、掃除は苦手ってどういうことでしょう(笑)。

 なぜ、料理が得意な人は掃除が苦手で、掃除が得意な人は料理が苦手なのでしょうか? もちろん、「家事全般全部好き

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料理はできたほうがいい

料理はできたほうがいい

 先週の記事は、なんと私史上初めて、noteで一番読まれた記事になりました。たくさんの「スキ」をいただいて、フォロワーの方も増えました。皆さん、ご支持ありがとうございます。とにかくスピード感が大事、とばかり十分な推敲もしないで、勢いだけでこの連載を書いている私には、思いもかけないことでした。

 うつのおかげで、私は料理がいかにクリエイティブかを知り、そして自分なりの時短術を生み出しました。そうし

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『居るのはつらいよ』抜き書き①

東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』より。

 どんなにヘタクソでも、そこにいる誰かがやりつづけないと回らなくなる仕事というものがあるのだ。
 専門家の仕事は一定水準以上のことができないならば、しないほうがいい。外科手術もセラピーも、未熟な者がやっていいことはない。うまくできなければ、相手に致命的な損害を与えてしまうからだ。そこにはリスクが存在している。だから、専門家にはトレ

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