阿古真理

コロナ禍と外食|阿古真理

コロナ禍と外食|阿古真理

文・阿古真理(作家・生活史研究家) コロナ禍で生活に制約が課されて残念なのは、ご飯仲間と会えなくなったことである。フリーランスで働く私に、同僚は夫しかいない。誰かと会うのは常に「わざわざ」。情報交換やおしゃべりを楽しむ会食仲間には、食事以外に会う理由が見つけられない相手がいる。大人の社交は、ほぼ会食だったと痛感している。 私は3月に『日本外食全史』(亜紀書房)を上梓したが、調べる中で、会食という目的が外食店の歴史に大きな役割を果たしていることを知った。 日本初の料亭は、

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阿古真理 著「日本外食全史」(亜紀書房)装画

阿古真理 著「日本外食全史」(亜紀書房)装画

本日発売の、阿古 真理さん著「日本外食全史」(亜紀書房)の装丁で、オムライスの絵描いてます。 「日本外食全史」 食欲と人物ドラマが織りなす、おいしい歴史。 江戸の昔から、日本人の胃袋と心を満たし、人と人のつながりを生み出してきた外食。 高級フレンチから寿司、天ぷらからファミレス、カレー、中華、ラーメン、B級グルメにアジア飯……。 高級から庶民派まで、より良いものを提供しようと切磋琢磨した料理人たちのドラマがあった。 温かさと幸福を求めて美味しいものに並ぶ人も、

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阿古真理『料理は女の義務ですか』抜き書き

阿古真理『料理は女の義務ですか』抜き書き

 日本では現在、世界各国の食材が手に入り、料理法が伝えられるがゆえの選択肢の多さが、人を悩ませてもいる。何をつくったらいいのか選べないのだ。料理技術の低下も著しい。レパートリーも少ない、基本技術も怪しいまま、台所に立つ人は珍しくない。さらに忙しさが料理を困難にする。食材を調達したり、つくる時間もままならない。食べ損なった食材やつくった常備菜が冷蔵庫の中で腐り、つくる気が萎える。子育てと家事の両立に苦しんでいるときに、レトルトの離乳食と出合う。自分でつくったものより、おいしいと

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『パクチーとアジア飯 (阿古真理)』【読書ログ#20】

『パクチーとアジア飯 (阿古真理)』【読書ログ#20】

以前読んだ「小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代」の著者の新作だ。スパイスとアジア飯を愛する人に読んでもらいたい力作。立花隆がアジア飯研究をするとこうなるのかもしれないと思わせるほどの力作。いいすぎた。でも、力作。いい本だ。 パクチーを起点に、HanakoとDancyuの全バックナンバーを調べ、日本の老舗アジア飯レストランや、農家、関係者を取材し、日本にパクチーやアジア飯が、カレーが、スパイスが、中国料理が、如何に日本人の生活に浸透していったか。これを丁寧に紐解いた

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『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (阿古真理)』【読書ログ#18】

『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (阿古真理)』【読書ログ#18】

この本を読んでいたら、私の母の料理を思い出した。凄まじかった。女手一つで子供三人を育てるなかで、料理の優先度は相当に低かったのだろう。おそらく、玄関に入ってきたワラジムシを外に追い出すタスクよりも低かった。 毎度の食卓には、独自に時短を追求した謎料理がならび、幼い三人は恐る恐るそれらを口にした。思い出のごちそうは、スーパーで売っているイカの塩辛、それにサッポロ一番みそラーメン。今でも兄弟が揃うと母の料理の話で小一時間は盛り上がる。 特に、私が中学生だったころの弁当が思い出

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料理家と料理研究家の間

料理家と料理研究家の間

料理家たちのプロフィールを調べると うちの本屋にはたくさんのレシピ本があります(食の本屋だから当たり前ですね)。レシピ本の著者の肩書きはいろいろです。料理家、料理研究家からフードコーディネーター、フードスタイリスト、インスタグラマーまで様々。 前からわからないことがありました。 「料理家」と「料理研究家」は同じなのか。それとも別なのか? という疑問です。 そこで、レシピ本の著者プロフィールを少し調べてみました。料理家さん、料理研究家さんは大勢いらっしゃいますが、以下の15人の

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料理へのネガティブ意識を変える方法/有賀薫さん×阿古真理さんのトークイベントへ

料理へのネガティブ意識を変える方法/有賀薫さん×阿古真理さんのトークイベントへ

4/22(日)に下北沢の本屋さんB&Bで行われた、有賀薫さん×阿古真理さんのトークライブに参加してきました。 こちらは2月に発売された有賀さんの料理本「帰り遅いけどこんなスープなら作れそう」(以下、帰遅スープ)刊行記念イベントの一環です。 プライベートでも親交が深いという生活史研究家・阿古真理さんと、本書の編集を手掛けた野本有莉さんのお三方から次々に飛び出す刊行秘話。そして、スープのレシピから昭和~平成料理本の変遷、これからの料理との向き合い方などなど、深い話に至るまで盛り

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