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【読書記録】2024年6月9日〜6月15日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 6月13日、角川書店の夏の文庫フェア「カドイカさんとひらけば夏休みフェア2024」の小冊子の電子版が公開されました(もちろん無料)。

 …で、改めてラインナップを眺めていて気づいたことがありました。
 それは!?
 今年のラインナップには細田守監督作品、新海誠監督作品の原作小説が一冊も入ってない!!
 これはなんとも珍しいと思って調べてみたら、実は去年のフェアでは細田作品は0冊、新海作品は〝すずめの戸締り〟1冊だったという。ちなみに一昨年は細田作品1冊、新海作品5冊。まぁ秋に「すずめの戸締り」の劇場公開が控えていたからなぁ。
 どうも自分の中では、「夏休み」=「角川アニメ・映画」という印象が強かったので、こんなイメージになったのかと。
 さぁ、夏の文庫フェア開幕間近、うーん、何を読もうかと察しを見ながらニヤニヤしているこの瞬間がたまらない。

 って、毎回同じようなこと書いてる気もするけど、事実だからまぁいいか。
 さーて、今週出会った本たちをご紹介。

【2024年6月9日〜6月15日に出会った本たちを】

⚪️雨夜の星たち

著者 寺地はるな

【内容紹介】
 できないことは、できません。やりたくないことも、やりません。他人に感情移入できない26歳の三葉雨音は、それを長所と見込まれ、お年寄りの病院送迎や
お見舞い代行の「しごと」をはじめる。聞き上手な80代セツ子、手術の付き添いを希望する40代の好美など
依頼人は様々。空気を読まない三葉だが、行動に変化がみられていく――。めんどうだけど気になる三葉から目が離せない。

出版書誌データベースより

【画像】
 まずは物語の中に「ほたるいしマジカルランド」という言葉が出てきて、それだけで嬉しくなりました。
 空気を読み、人の気持ちを察することが世の中を上手く渡っていくための必須のスキルと言えなくもないこの世の中は、なんだかちょっと息苦しい。
 主人公の雨音は他人に感情移入できず「できないことは、できません」「やりたくないことも、やりません」という女性。
 彼女はそんなクールでドライな性格を見込まれ、高齢者の病院への送迎や、お見舞い代行の仕事をすることになります。
 一見冷たい性格に思える雨音ですが、彼女の性格をある人はこんなふうに分析します。

他人に関心がないのは、相手のことをわかった気になりたくないからじゃない?

本文より

 そういえば私、他人のことをわかった気になって、偉そうに説教なんてしてないか??

⚪️憧れの女の子

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 「次は女の子を産むわ」そう宣言して産み分けに躍起になる妻。そんな妻の決断に淡い違和感を抱く夫。互いに心揺れる日々を経て、夫婦がたどり着いた先はー。思いがけないラストが深い感動を呼び起こす表題作「憧れの女の子」。男女の心の行き違いから浮かびあがる人間の本質を鮮やかに掬いとった物語、全5編収録。

裏表紙より

【収録作品】
憧れの女の子
ある男女をとりまく風景
弟の婚約者
リボン
わたくしたちの境目は

【画像】
 最近流行りのジェンダー問題を取り上げた短編集。
 世代的に「男性には男性の、女性には女性の役割が…」なんて刷り込まれてきた世代なので、色々考えさせられました。
 ネタバレになるので詳しくは書けませんが、〝ある男女をとりまく風景〟は読了後に思わず「なるほど」と唸ってしまいました。
 視点を変えて考えるというのはとても大切だけれど、実際にはなかなか難しいと思い知らされました。
 年齢的に妻を病気で亡くした初老の男性が、これまでの人生を振り返る〝わたくしたちの境目は〟がなんだか心に沁みます。
 表題作は「もしかしたらサスペンス?」と途中ドキドキしましたが、なんだかんだ言ってハッピーエンドでよかった。

⚪️自画像

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 男子が作った女子ランキング。あの子よりも、私は上だった――。美醜のジャッジに心を弄られ、自意識が衝突しあう教室。そこではある少女に対し、卑劣な方法で「魂の殺人」がなされていた。のちに運命を束ねたかつての少女たちは、ひそかに自分たちの「裁き」を実行してゆく。その先に、果たして出口はあるのか。静かな祈りのような希望が滲むラストに、胸がうち震える。

出版書誌データベースより

【感想】
 なかなか辛い読書時間でした。何が辛いって抜身の刀を突きつけ合うような心無いやり取りを繰り返す中学生たちの描写。
 前半の舞台(中学生パート)は多分1980年代後半から90年代前半といったところか。今でこそ「スクールカースト」や「ヒエラルキー」なんて言葉が当たり前のように使われているけど、あの頃もこんな感じだったかなぁ。自分はあの頃何を考えていたんだろうか。
 とにかく自意識過剰な中学生たちのやりとりが辛くて酷くて痛い。
 後半はなんだか突然路線変更したような感じで、性犯罪者を陰で捌く秘密結社的な話に。これはこれでドキドキの展開ですが、この後、主人公を含めた女性3人の関係はどうなるのかが知りたい。

⚪️1日10分のときめき NHK国際放送が選んだ日本の名作

アンソロジー

【内容紹介】
 慌ただしい日常に一日一編、極上の物語を――。稀代のダンサーが見せる舞踏の無上の美しさと、孤独な魂。一人の青年に瞬時に恋した胸の高鳴り、そして儚さ。定年退職し、故郷の町に戻ってきた男が迎える新たな人生。深夜のタクシー乗り場で居合わせた老人が繰り出す奇妙な話……。NHK WORLD-JAPANのラジオ番組で、世界各国の言語に翻訳して朗読された日本の小説から、色とりどりの8作を収録。名だたる作家の短編を堪能できる、シリーズ第四弾!

出版書誌データベースより

【収録作品】
出発  石田衣良
私と踊って 恩田陸
アイスクリーム熱 川上未映子
給水塔と亀 津村記久子
愛してた 松田青子
決して見えない 宮部みゆき
太陽 森絵都
父の背中で見た花火 森浩美

【感想】
 NHK•WORLD_JAPANのラジオ番組で、17言語に翻訳して朗読された作品を集めたアンソロジーの第4弾。
 それぞれ色合いの異なる作家さんによる8篇の物語はどれも味わい深く、これを外国語にどう訳しているのか興味があります。
 たとえばこの本がそれぞれの言語で刊行されたなら、ちょっと手に取ってみたいかも。
 石田衣良さんの〝出発〟は著者の短編集で読んでいたけれど、自分が主人公と同じような年代だからなのか、やっぱり一番心に沁みました。
 それ以外では恩田陸さん、宮部みゆきさん、そして森浩美さんの作品に心惹かれました。

⚪️リンダリンダラバーソール

著者 大槻ケンヂ

【内容紹介】
 僕らのバンドが、メジャーデビューすることになった!その頃、日本はバンドブームに沸いていた。無名だった若者が、次々とスターになった。ライブ会場は熱狂に満ちた。でも、ブームはいつか終わるものだ。大人たちは、潮が引くように去ってゆく。誰もが時の流れと無縁ではいられないんだ。僕と愛すべきロック野郎たちの、熱くて馬鹿馬鹿しくて切なかった青春を、いま再生する。

裏表紙より

【感想】
 まさに私の青春がぎゅっと詰まった一冊。
 当時学生だった私は、偶然ザ・ブルーハーツの♬リンダリンダ♬を聴いて雷に打たれたような衝撃を受け、そこからはもうバンドブームにどっぷり。
 これについて語り始めたらもう、朝まで語っちゃうかも。ただ著者の大槻ケンヂ氏率いる筋少は苦手だったけれど。
 もうほんと懐かしいの一言。地元が大都市ではないので情報は主に雑誌の「宝島」と「バンドやろうぜ!」から仕入れ、「イカ天」は毎週必ずチェックしてました。
 とにかく勢いは凄かったけれど、このブームに翻弄されたミュージシャンたちは本当に大変だったと思います。まぁ学生だった私の財布も大変だったけれども。
 話の中に度々登場するコマコという女性がとても素敵。でもこういう人の存在の大きさって、失ってから気づく、そして後悔するんですよね。

⚪️職業は武装解除

著者 瀬谷ルミ子

【内容紹介】
 「世界が尊敬する日本人25人」(2011年・Newsweek日本版)、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」(2011年・日経WOMAN)、「InternationalLeadersProgramme」(2015年・イギリス政府)に選出。2015年、「戦後70年談話」の有識者懇談会メンバーに最年少で抜擢された注目の著者による自伝的エッセー。「壊れた社会」を立て直す、それが私の仕事――。17歳のときに見た写真が、平凡な少女の運命を変えた。「武装解除」のプロとして、24歳で国連ボランティアに抜擢、30代で各界の注目を集めるに至るまで、いくつもの組織を渡り歩いてきた著者が、その半生をつづる。

出版書誌データベースより

【感想】
 この本は三宅香帆さんのnoteの記事で知りました。
 まずはタイトルのインパクトが強烈。もっと凄いのは著者の行動力。なんと高校生の時に偶然目にした新聞記事の写真に心を動かされ、世界各地の紛争地域に出向き、その問題を解決する手助けをする仕事に就いてしまったとのこと。
 ただお金だけ払っておしまいとか、その場にそぐわないハコモノを建てて悦に入っている人たちとは格の違いを感じました。
 大切なのは紛争を解決し武装解除させるだけではなくて、その後の社会システム作り。

「代替案のない批判はただの愚痴だ」

本文より

という著者の言葉に、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました。

⚪️おいしい食の流行史

著者 阿古真理

【内容紹介】
 幕末の開国期から20世紀末にかけた、激動の明治〜昭和の3大洋食や外国からの新たな食文化や家庭料理の変化を描き、さらには平成以降のティラミスやナタデココといった懐かしいスイーツブームも。最近は、『孤独のグルメ』『きのう何食べた?』などの食にまつわるドラマや漫画も増えています。そうした食のトレンドを、時代の変化や社会状況を踏まえながらわかりやすく解説。これまで、外食やパン、家庭料理、家庭における家事シェアと女性の問題を、研究、執筆してきた著者ならではの、これまでにない食文化を横断した一冊になっています。

出版書誌データベースより

【感想】
 幕末から令和までの日本の食文化についてまとめた本。以前読んだ同じ著者さんの〝「和食」って何?〟(ちくまプリマー新書)を更に深掘りした内容。
 あんパンやトンカツ、カレーなどの誕生秘話をはじめ、日本人のライフスタイルの変化に伴う食の好みや調理法、そして調理家電やテレビ、雑誌などの取り上げ方など、流行の変化は読んでいて為になるし、最近のスウィーツや、韓国料理、パクチーブームの話はもはや懐かしくもある。
 それにしても、日本人ってとても贅沢だなぁとつくづく感じました。
 参考資料の数がとても多くて、これまた興味深いものばかり。
 「孤独のグルメ」は、料理で闘わないし、無駄な蘊蓄も述べないし、なんというか「Simple is Best」って感じですね。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 今週一番心に残ったのは、やはり大槻ケンヂさんの〝リンダリンダラバーソール〟。もうホント、私の青春そのものです。本文中に出てくるバンドはほとんど知っていて、名前が出るたびに代表曲が浮かぶんです。残念なのはブルーハーツをはじめ、この本の中に出てくるバンドのほとんどの曲が、今の音楽サブスクでは聴けないといいうこと。なんとかならないかなぁ。「The BELL’S」とか「THE JETZT」とか。
 そういえば、あの頃買い集めた本やCDはあらかた処分してしまったのですが、一冊だけ押入れの奥にこんな本が残ってました!

宝島編集部 編
1991年4月20日 発行

めちゃくちゃ懐かしいぞ!!
今夜のアテはコレで決まりだな!!

 それ以外では、瀬谷ルミ子さんの「職業は武装解除」!これ以上インパクトのあるタイトルはなかなかないかなぁ。もしかしたらタイトルでは今年上半期一番かも。
 もちろんタイトルだけではなくて、内容も素晴らしい本です。とにかく進路や就活に悩んでいる人、迷っている人の背中を押してくれる素敵な本です。興味のある人は、ぜひ手に取ってみてください。

最後に
 読書っていいよね。


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