基本パターンを掴むためのレシピ本
前回は、料理が上達するためのレシピ本の選び方について、大まかな考え方を書きました。料理の基本パターン(公式)を掴めるような内容のものがいいですよ、とお伝えしましたが、では、具体的にはどんなものがあるでしょうか。
私自身が料理を始めた時、役に立ったのは、有元葉子さんの「有元葉子の料理の基本」という本でした。2000年の出版です。素材の扱い方、茹で方、煮方、揚げ方…といった項目で、それぞれのパターンと、代表的な料理の作り方が紹介されており、これを見れば、一通り代表的な料理を完成させられると、当時の私は安心したものです。(実は母の持ち物なのですが、すごく気に入ったので、返さずにそのまま今に至っています。)
有元さんのこの本自体は、残念ながら既に絶版のようですが、「料理は、細かい分量よりも、基本的なポイントを把握することが大切」という有元さんの考え方は、その後出版された本でも貫かれていますから、興味のある方はいくつか手にとってみてください。最近のものだと、「レシピを見ないで作れるようになりましょう」という本が、テーマが近いように思います。こちらは文章が多めなので、レシピ本というよりは、読み物に近いところがありますが、「料理をする」という一連の動作(考え方、下ごしらえ、調理中に目を配るポイント…)が、ストーリーとして頭に入るので、人によっては、分量や手順のみが淡々と示されるものよりも、却ってわかりやすいと感じるかもしれません。
もう少しカジュアルなものだと、たべようびMOOKシリーズもよくできているなと感じました。
こちらは、写真も多くカラフルで、一見「バラエティ型」のような印象を受けるのですが、実際には「基本のレシピとその応用」という構成が貫かれています。示されるポイントも細かすぎず、他の料理をつくるときにも共通するところに絞られていて、最終的にレシピを離れて自分でアレンジできるようになるところまでが想定されているようです。
「基本の成り立ちを把握した上で、バラエティの増やし方を身につける」というステップを一冊で踏むことができるので、とりあえず日々の料理も作らなければ、という初心者の人も役立てやすいと思います。難しい食材がなく、ワンルームの小さなキッチンでも作れるよう考えられているところもいいですね。家事周りのちょっとした基本の解説ページもあるので、初めての一人暮らしという人にもぴったりです。
どういったレシピ本が自分に合うのかは、千差万別なので、私のおすすめがすべてではもちろんありませんが、自分にとって今必要なことを把握して、それに合ったものを選ぶというプロセスを経験することも、料理上手への一歩。参考にしていただければと思います。
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