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寝かしつけ読書灯+たそがれの仏暦

子どもの寝かしつけのあとに暗い部屋で本を読むべく、読書用のクリップライトを買った。サイズも価格も明るさもいい感じだ。

いまはウィーラポーン・ニティプラパー(วีรพร นิติประภา)の『たそがれの仏暦、黒バラ猫の記憶の記憶 พุทธศักราชอัสดงกับทรงจำของทรงจำของแมวกุหลาบดำ』を、必要があって再読している。2018年の東南アジア文学賞受賞作。

20世紀初頭にタイに渡った中華系移民の男性にはじまる一族の物語を、タイ社会の変遷とともに描く。記憶を持たない国で「家」を求めるひとたちの話。

こんな時期に読んでいるせいかもしれないが、太平洋戦争期の日本軍に対する地域コミュニティの視線みたいなのが、前より生々しく感じられる。

ウィーラポーンもまた、タイでの人気とは全く別に、日本語ではほとんど紹介されていない作家なのだよな。長篇ばかり書いていて短篇がほとんどない、というのもあるが。

同書の英語版は出ている。ウィーラポーンの美文調の文体を訳したコン・リッディーはすごいなあ。

ウィーラポーンはこんな雰囲気のひと。このインタビューのメガネがかわいい。1962年生まれで、作家デビューは50歳を過ぎてからだ。

『たそがれの仏暦』初版は装丁が暗い


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