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2023/7/10週|『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』を読んだ

企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』を読みました。

◎Amazon、Netflix、Airbnb、サイバーエージェント、メルカリ……
 最も投資し続ける対象こそ「カルチャー」だった
 企業にとって経営戦略と並ぶ最重要要素の1つ「企業文化(風土)」の作り方と、組織内で浸透させる方法を教えます。
 企業文化は財務諸表の数字のようにわかりやすいものではありませんが、経営者のみならず社員のモラル、モチベーション、社内の雰囲気などに直結するため、企業の成長、事業の発展には欠かせない要素です。
 この本では、スマートニュースをはじめ、数々のITベンチャーのグロースにHR面で貢献してきた著者が、自らの体験や、国内外企業の事例を通して、企業文化と経営戦略との相互作用が企業の(長期的な)成長・発展・継続に大きな影響を与えることを解説。
 そして、以下のような内容を中心に、具体的にどのようにして強力な企業文化を醸成・浸透したらよいのかというノウハウをお伝えします。
・可視化された企業文化に踊らされるな、浸透よりも大切な○○
・組織を"デモチ"させる上司、"心理的安全性"をつくる上司
・プロスポーツチームに学べ、“ロッカールームの清掃"が大切な理由
・宗教に学べ、企業文化の中心人物は"濃い信者"
・企業文化は経営陣や上司の日々の振る舞いで決まる
競争戦略上、いちばん大切にすべきものは、財務諸表には表れない“見えざる資産”

Amazon上の商品説明より

Culture eats strategy for breakfast. (企業カルチャーは戦略を凌駕する)

これはピーター・ドラッカーの言葉ですが、様々な企業の例だったり歴史上の偉人の言葉、必ずしも組織論に限定されない文献からの参照などで、非常に腹落ちしやすい本でした。以下にいくつか印象的だった箇所を引用させていただきます。

まずはAirbnbのブライアン・チェスキーから学ぶカルチャーデザインの考え方と重要性です。

・カルチャーにフォーカスを当てることの難しさは、そもそも語られることが少ないし、定量的に効果を測れないからだ。ただ、最も問題なのは、良いカルチャーを作ることに力を注いでも、短期的に効果が現れないことだ。
・成功する会社から学んだことは「カルチャーはデザインされるべき」ということ。ザッポスのCEOトニーに話を聞きに行ったとき、驚くべきは数百名を超える社員全員が 10 個のコアバリューすべてを書き出すことができた。
組織作りにおいてダイバーシティは大事、それはバックグラウンドや年齢に関して。ただし、コアバリューに関してダイバーシティは必要ない。
・ミッションにおいて大切なのは「What」はなく「Why」。われわれのミッションは部屋のブッキングや旅をサポートすることではない。われわれのミッションは「 help creating a world where you can belong anywhere(人々がどこでも居場所がある世界を作ること)」

企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』 より

また上記から、ブライアン・チェスキーはCEOの仕事を下記と定義しています。

1.   ミッションを明確にすること
2.  戦略を描くこと
3.  優秀な人を採用する

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』 より

続いてザッポスの元COOのアルフレッド・リンが語る、優れた企業カルチャーがもたらす恩恵を6つにまとめた下記。

1. First Principles:組織の第一原理となり
2. Alignment:皆の足並みを揃え
3. Stability:安定性を生み出し
4. Trust:信頼を育み
5. Exclusion:フィットしない人を排除し
6. Retention:必要な人を留める

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』 より

最後に、西郷隆盛の言葉を含む以下です。

特にミドルマネジメント層の登用/育成においては、カルチャーフィットを重視しなければなりません。単に「優秀だから」という理由で出世させてはいけないのです。これについては、明治維新の立役者である西郷隆盛も次の言葉を残しています。

「功ある者には禄を、徳ある者には官職を」

実績をあげた人にはそれ相応の報酬を与えることで報いる。それに対して、企業カルチャーに貢献/フィットする人材(徳ある者) は、より高い地位に据えるということです。

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』 より

感じたこと

企業カルチャーをデザインする部分への余白
人間は論理ではなく感情で動くことを前提とした時に、行動レベルにまで落とし込まれた企業カルチャーこそが競争力になりうるのだろうと思いますし、マネジメント層の一員として自分の仕事はカルチャーデザインの一部を担っているとも解釈できると感じました。
表面的に行動規範を定めるだけでは不十分で、行動のデザインまで含めて設計できることにはまだまだ余地がありそう、とハッとしました。

勝ち方までこだわるから、勝てる
上記の引用では触れませんでしたが、サッカーチームのレアル・マドリードは「ミッション&バリュー」を組織のプレーブックと表し、「ただ勝てばいいわけではない。自分たちの価値観に沿ってレアル・マドリードは勝ち方を選ぶ」という一節が出てきます。ここまで共有できているからこそ、こだわりや情熱が生まれ、それが勝利という結果につながってくるのだと思いますし、組織の価値観にフィットする人が集まるのだろうなと。

「功ある者には禄を、徳ある者には官職を」という基準
役職を持ってもらうべき方の基準について、個人的には納得感がありました。職務権限として影響を及ぼせる範囲が広がる上で、組織として一貫性のある or 価値観に沿った意思決定をして行く上で企業カルチャーにフィットする人材をそこに据えて行くというのは極めてリーズナブルだなと感じるためです。

今週はこの辺りで。お読みいただきありがとうございました。

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。

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