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#海外文学のススメ

書籍レビュー『さよなら、シリアルキラー』バリー・ライガ(2015)連続殺人鬼の息子に生まれて

書籍レビュー『さよなら、シリアルキラー』バリー・ライガ(2015)連続殺人鬼の息子に生まれて

シリアルキラーの息子子どもにとって
「親」という存在は
絶大なものです。

時には、
自分を支えてくれる
バックボーンの一つであり、

時には、
乗り越えなければならない
脅威としても存在します。

本作の主人公の父は、
圧倒的に後者の存在でした。

なぜならば、彼の父は、
21年間で3桁におよぶ
殺人を犯し、

「21世紀最悪の連続殺人鬼」
と呼ばれる男だったからです。

主人公の頭の中には、

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書籍レビュー『月と六ペンス』サマセット・モーム(1919)芸術家の苦悩と幸福

書籍レビュー『月と六ペンス』サマセット・モーム(1919)芸術家の苦悩と幸福

※3000字以上の記事です。
 お時間のある時に、
 お付き合いいただけると嬉しいです。

真面目な夫が急に消えた本作に登場する
チャールズ・ストリックランドは、
イギリスの証券会社に勤める
寡黙な男でした。

ストリックランドは40歳、
立派な家を構え、
長きにわたり、
連れ添った妻がいました。

ところが彼はある時、
1枚の置き手紙をして、
家を飛び出したのです。

彼の行き先は、
フランスの

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書籍レビュー『解錠師』スティーヴ・ハミルトン(2009)運命を狂わせる類まれなる才能

書籍レビュー『解錠師』スティーヴ・ハミルトン(2009)運命を狂わせる類まれなる才能

かわいらしい表紙に惹かれて本書の表紙を見た時に、
ビビッとくるものを感じました。

これまでに
表紙やタイトルに惹きつけられて
思わず手に取った本が

ものすごく自分に合う本だった
というのは、何度かありましたが、

これもまたそんな一冊でした。

『解錠師』とは、
なんとも渋いタイトルですが、
表紙のかわいらしさが
それを中和している印象ですね。

原題は『The Lock Artist』、

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