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オカルトノート

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記事一覧

幽霊マンションとインチキおっさん

幽霊マンションとインチキおっさん

この国に来て最もテンションが上がったのは祭壇に供えてあるにんにくを見た時だった。魔除けのアイテムだというのを聞いたことがあってずっと本当かなと思っていたのだが、本当だった。日本の一般的な神棚より大きくて豪華な祭壇に、こんもりと積まれたにんにく。

かつてにんにくが魔除けだと教えてくれた人は「幽霊がいる場所には必ず持って行く」みたいなことを言っていた。そういえば彼女が住んでいた日本のマンションも――

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廃村に消えた君へ

廃村に消えた君へ

今から書くのは変わり果てた親友との再会の思い出である。

20年以上前、小学生だった私には親友がいた。和泉という名前で、私はイズと呼んでいた。同じクラスで同じ習い事。学校にいる時はもちろん学校が終わってからも一緒に過ごした。習い事がない日はどちらかの家で遊んだ。私の家は学校から徒歩30分くらいかかる場所にあったので、大体は学校に近いイズの家で遊んでいた。

ところが、あと少しで学年が上がるという時

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オカルト残滓

古来より海には神様がいるとか、魔物が棲んでいるとか言われてきたわけだけど、最近になってきちんと科学的な説明がなされるようになった。

例えば日本各所に「赤い髪を持つ不思議な魚が現れたら漁をやめ、すぐに陸へ上がれ」という言い伝えがある。それが現れたら海が荒れるのだとか。その不思議な魚、リュウグウノツカイなんじゃないだろうか。長い背びれは赤い髪のようにも見えるし、深海魚である彼らが船から目視できるくら

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あんた地獄に落ちるわよ

あんた地獄に落ちるわよ

というわけで、地獄に落ちた坊主の話でもしようと思う。いや、彼自身はまだ落ちてはいない。それに坊主とはいえちゃんとした坊主ではなく、見てくれだけが坊主の似非坊主なのだが。

彼は遠い遠い遠い親戚だった。親戚の誰かの家に不幸があると必ず袈裟を持参してやって来て(もちろんその家は檀家になっているお寺のご住職を呼んでいる)、勝手に読経していた。なんとも迷惑な人だったのだ。幼い私は法要や葬儀というのはそうい

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とある少数民族についての報告

とある少数民族についての報告

 はじめに レポートを書き始めるにあたって、まずはチュン氏のことを記しておきたい。滞在中、通訳をしてくれたり生活のサポートをしてくれたりした。彼女がいなければこの物語を書くことができなかっただろう。
 本来ならば「この物語を○○に捧ぐ」などという文言がふさわしいのだろうが、残念ながら彼女には届かない。

 だからせめて、彼女とその家族が無事でいることを願うばかりである。

とある産院の記録 今から

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怪談の個人情報

怪談の個人情報

私の好きな怪談収集家の怪談で、とある霊媒師の話がある。その霊媒師をAとする。2000年代のある年の6月、Aは男性に刺殺された。Aはそれなりに力のある霊媒師だったようで、そこそこ大きな団体のトップだったそうだ。彼女が亡くなり、次のトップに就任したBもまた霊媒師。Bはなんと「”彼”のおかげでトップになることができたから」と、Aを刺殺した男性と養子縁組した。そのうち団体はもっと大きな宗教団体に吸収合併さ

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ローカル美容院で聞いた怖い話

ローカル美容院で聞いた怖い話

この時の話を忘れないうちに。

私が怪談を集めているのだと言うと、美容師のNさんは「これって怪談なのか分からないんだけど」と、幼い頃に近所にいたとあるおばあさんの話を聞かせてくれた。

おばあさんは夫に先立たれ、広い家に一人で住んでいたそうだ。当時は現代と違って近所付き合いというものが大切にされていた時代だ。地域の皆で一人暮らしのおばあさんを世話していた。Nさんもよく家族と一緒に訪ねていた。

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懐かしいにおい

懐かしいにおい

 その日、私はK県にある労働者の寮へと車を走らせていた。そこは同年代の男性(20代前半)七人が仲良く暮らしている寮だった。

 到着し、寮の前にある駐車場に車を停めドアを開ける。

 ……臭い。

 ドアを開けた瞬間に何とも言えない臭気が全身に纏わりついてきた。慌ててドアを閉め、寮に駆け込む。

「紫蘇さん、お久しぶりです」

 にこやかに迎えてくれたのは、彼らの中での最年長Cさんだった。
 Cさ

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事故物件の寮生

事故物件の寮生

「寝ている時に、首を絞められました」

 ある日そんな相談を受けた。
 寮に住んでいるのは彼一人だけ。

「最近仕事忙しいから疲れてるんじゃない?」と流した。
 彼の仕事はとび職である。朝五時に出発し、現場に向かう。帰宅の時間もまちまちで、その日の内に帰れない事もある。忙しい肉体労働者なのだ。精神に不具合が発生する事もあるだろう。
 彼の雇用主に健康診断やカウンセリングについて打診して、その話は終

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