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本と酒と旅とクロマニヨンズが好き。noteでは過去に訪れたイスラム世界(パキスタン、バ…

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本と酒と旅とクロマニヨンズが好き。noteでは過去に訪れたイスラム世界(パキスタン、バングラデシュ、ヨルダン、シリア、イラン)の旅や好きなBARの話を書きます。日頃の仕事は医療・医薬系ニュース専門紙の編集長。「で・くらす遠野」市民。神保町「PASSAGE」一棚主(book S)。

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  • 全国バー行脚

    あちらこちらのバーについて駄文を連ねます。

  • バングラデシュ紀行

    2007年に右往左往した、バングラデシュ一人旅の話をまとめています。

  • パキスタン紀行

    2005年に楽しんだ、パキスタン一人旅の話をまとめています。

最近の記事

神田・紺屋町で開業1年、私の“かかりつけバー”『ディンプル』(全国バー行脚⑯東京・神田)

 医療関係の報道を仕事にしているため、「かかりつけ医」や「かかりつけ薬剤師」という言葉を頻繁に見聞きし、記事にしています。とはいえ、私自身はかかりつけの医師も薬剤師も見つけられていません。それより先に“かかりつけバー”を持ちました。昨年1月に神田駅から徒歩数分の場所で開業した『Dimples(ディンプル)』です。 ■ディンプル=「えくぼ」  店内には、L字型のカウンターがゆったりで6席。そのほか、4人掛けのテーブルを2卓設置した空間があります。10人くらいの団体にも対応で

    • 23年、読んで良かった「この10冊」

       2023年は、あまり本を読めませんでした。もともと読む速度は遅く、それでも年間50冊は読みたいなと思っているのですが、23年は26冊。半分止まりです。本を読む気力がなくなるのは、自分にとって危機的状況のサインかもしれないなぁと。今年24年はもう少し読めるように、他の諸々を調整したいと思います。  そんな中、読んで良かった本ベスト10はこのようになりました。 ▪️1位は『ハイファに戻って/太陽の男たち』  第1位は、ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男

      • まるでラボ? 好奇心を刺激する『ナノグールド』(全国バー行脚⑮北海道・札幌)

         この全国バー行脚はなぜか初回を北海道の網走から始めているのですが、今回、北の国に回帰。北海道2回目は、ど真ん中の札幌です。 ■水割りは3種のウイスキーで  札幌・すすきのには「狸小路」という一画がありまして、その付近にはバーが点在しています。その中で、私にとって最も大切なバーが『nano. gould(ナノグールド)』です。  カラオケの派手な看板がかかったビルをエレベーターで4階へ。そのビルの風情には似つかわしくない、黒く重厚な扉があります。少し躊躇するかもしれませ

        • 『シェイク』『サンボア』『東京』『ロックフィッシュ』—銀座の華は「数寄屋通り」(全国バー行脚⑭東京・銀座)

            神保町に続く東京編第2弾は銀座です。銀座は有名店が山ほどあって、右を向いても左を向いてもバーテンダーコンテストのタイトルホルダーがいるエリア。この際、私がいつもうろちょろしている数寄屋通り付近のバーに限定します。 ■カンパリソーダの完成形『シェイク』  数寄屋通りは、銀座方面と新橋方面を繋ぐ200~300mほどの通りです。銀座側から歩くと、右手には数寄屋橋公園、左手には東急プラザ。左右どちらにも飲食店の入ったビルが並び、バーの名店も軒を連ねています。その新橋寄りの地

        神田・紺屋町で開業1年、私の“かかりつけバー”『ディンプル』(全国バー行脚⑯東京・神田)

        • 23年、読んで良かった「この10冊」

        • まるでラボ? 好奇心を刺激する『ナノグールド』(全国バー行脚⑮北海道・札幌)

        • 『シェイク』『サンボア』『東京』『ロックフィッシュ』—銀座の華は「数寄屋通り」(全国バー行脚⑭東京・銀座)

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        • 全国バー行脚
          16本
        • バングラデシュ紀行
          10本
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          11本

        記事

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇➉(最終回)

          「07年9月16日~17日] (ダッカ→香港→成田)  事実上の最終日となった16日は、前回の続きからです。 ■スラム=「ボスティ」  駅のホームで勉強している子どもたちを見てリキシャに戻った私は、行きたかった場所をリキシャワラーのモハメッドに告げた。入国翌日の10日にも遠目から見た、線路沿いに広がったスラムだ。モハメッドによると、そこで暮らしている人たちは政府から道を掃除するなどの仕事を与えられているという。清掃は朝4時ごろ行うそうだ。  当時のバングラデシュは、国

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇➉(最終回)

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑨

          「07年9月16日」(ダッカ)  旅の最終盤に来て、最も充実した日になった。目覚めても腹痛は残っていた上、免疫力が落ちていたのか、前年10月に患った右脇腹の帯状疱疹の痕がうっすら復活しているという、なかなか気が滅入る朝だったが、ここからリズムが乗っていく。 ■イスラム国の「ヒンドゥーストリート」   何といっても食欲が出てきたことが大きい。ホテルのレストランで、パン、目玉焼き、薄い珈琲という朝食を取る。運んできたスタッフが日本語を話したので驚いた。埼玉で3年間働いていた

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑨

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑧

          「07年9月15日」(ダッカ)  目が覚めても腹痛は残っていたし、下痢も続いていた。しかし軽くはなっている。これ以上、ホテルで屍になっていたくない。何しろ明日の夜には帰国の飛行機に乗るのだ。根性で外へ出て、待ち構えていたモハメッドのリキシャで観光を再開した。 ■南アジア最大のショッピングモールへ  まずは、海外で必ず行くことにしている国立博物館へ。さまざまなタッチで描かれたバングラデシュの絵も良かったが、最も惹かれたのは、手織りの綿織物「ダッカ・モスリン」だった。とうに

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑧

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑦

          「07年9月13日夜~14日」 (クアカタ→ダッカ行きバスの中→ダッカ)  この「⑦」は腹痛で苦しみ何度も野ぐそをしたことしか書いていません。 ■腹痛地獄  乗車した深夜バスは19時にクアカタ発、翌朝9時に首都ダッカ着の予定だった。昨日、街を歩いているときに服屋のオヤジに勧められた「SAKURA」という会社のバスだ。名前からもわかるように日本と関係のあるらしい会社のバスで、車体に両国の国旗が描かれていた。日本人の乗客は私だけで、欧米人の顔も見ず、バングラ人ばかりのようだ

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑦

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑥

          「07年9月13日」 (クアカタ→ダッカ行きのバスの中)   ブウウーーンンンーー、というまるで『ドグラ・マグラ』の冒頭のような音で目が覚めた。目を開けると、顔の真上で見たこともないほど大きな蜂が飛んでいる。ベッド脇の窓から明かりが差していて、羽音が耳を、光が目を刺激した。生きていた。 ■震源地はスマトラ  5㎝はありそうな蜂が顔の前で飛んでいれば、いつもなら慌てて追い払うところだが、しばらく呆けていた。「津波、来なかったんだな」と思い、安堵した。逃げなくて良かったじ

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑥

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑤

          「07年9月12日」 (ボリシャル→クアカタ)  この日、クアカタの夜。とんでもない緊張を強いられた。「津波が来るぞ。逃げろ!」という言葉を浴びせられたのは人生でこの夜だけだ。 ■ナビゲーター  予告通り、朝9時前にホテルにやって来たサジェーブに促されるように動き出した。なんか面倒くさいな、やっぱりダッカに戻ろうかなと今朝になって迷い始めていた私だが、「クアカタは良いところだよ」という彼の言葉に乗ることを決めた。バスでの移動になるが、それまでまた街を案内してくれるという

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇⑤

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇④

          「07年9月11日」 (ロケットスティーマー→ボリシャル)  何も期待していなかった「ボリシャル」だが、嬉しい出会いと、思いがけない観光に恵まれた。知らない国の知らない街で知らない人と巡った、夜の動物園と遊園地。旅の醍醐味を味わえた思い出深い土地である。 ■情報なし、夜の港町へ  ロケットスティーマーがボリシャルに到着したのは、予定通りの朝5時だった。もっとルーズなお国柄だと思っていたので驚きだ。  ボリシャルに降りたときのことを忘れない。日の出前の最も暗い時間帯、下

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇④

          北国で見つけた“エデン”『イーデンホール』(全国バー行脚⑬新潟)

           米どころの新潟。飲むなら日本酒。これは鉄板なのですが、バーにも行きたくなるのがサガ。今年になって発見したのが必行のバー『eden Hall(イーデンホール)』です。 ■迫力のバックバー  新潟は、駅と繁華街がそこそこ離れているのが観光客には難点。繁華街の「古町」は、新潟駅からタクシーで1300円くらいの距離があります。バーが多いのも古町周辺なのですが、イーデンホールは貴重な駅寄り。新潟駅の南口から徒歩5分ほどの場所に構えた店舗で「駅の近くもここ数年で店が増え、元気が出て

          北国で見つけた“エデン”『イーデンホール』(全国バー行脚⑬新潟)

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇③

          「07年9月10日」 (ダッカ→ロケットスティーマー)  朝からそわそわしていた。ロケットスティーマーの出港は18時。それまではダッカを観光するが、時間潰しのような気分である。昨日と同じ安食堂で朝食を取り、ホテルをチェックアウトした。 ■モハメッド登場  ホテルの周囲では、大勢のリキシャワラー(リキシャの運転手)が客待ちをしている。その中に英語ができる白髪のおっちゃんがいたので、乗ることにした。名前はモハメッド。ありがたそうな名前だ。特に観光したい目的地があるわけではな

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇③

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇②

          「07年9月9日」 (ダッカ)  海なし県の埼玉で育ったからというわけではないが、「港」に興奮する癖がある。福岡県宗像市の大島に泊まったときは、浮かんで並ぶ漁船の列と、宙を舞うウミネコを、ずいぶんと飽きずに見ていた。そんな自分にとって、無数の川が国土を走り、船が重要な交通手段になっているバングラデシュの河川港の景色は、それだけでもこの国に来て良かったと思えるものだった。 ■目的は「ロケットスティーマー」  昨日チェックインした「ホテルパシフィック」は、清潔で設備の整った

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇②

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇①

          「07年9月8日深夜~9日」 (成田→ジア国際空港と近くの宿→ダッカ)  イミグレーションで並んでいると、後ろから声を掛けられた。振り向いた先にいたのは、二十歳くらいの日本人女性だ。バングラデシュでは日本人にほとんど会わないと思っていたのに、いきなりの遭遇である。時間はAM1時。真夜中の空港で不安になり、前に並んでいた私が日本のパスポートを持っていることに気づいて声を掛けたそうだ。名前はチエコさん。2年ぶりの海外一人旅だったが、いきなり二人連れになってしまった。 ■持参金

          イスラム世界探訪記・バングラデシュ篇①

          大人が集う豪奢な『文』で「アール・デコ サーカス」に酔う(全国バー行脚⑫名古屋)

           京都にはよく行くし、大阪もそこそこ。意外と行かないのが名古屋。    そんな自分ですが、たまの名古屋行きでは必ず伺うバーがあります。それが名古屋市中区栄にある『BAR文(MON)』。「ブン」でも「アヤ」でもなく、「モン」と読みます。この度、およそ三年ぶりに訪問しました。 ■ドアは施錠、チャイムを鳴らして異空間へ    初見で店の場所を見極めるのは難しいかもしれません。最寄りの矢場町駅を降りて、松坂屋やパルコの合間を縫うような、そこそこ太い路地沿いを行くと、緑に囲まれた

          大人が集う豪奢な『文』で「アール・デコ サーカス」に酔う(全国バー行脚⑫名古屋)