マガジンのカバー画像

オリジナルのYA短編読み切り小説(フリー素材:発表済み)

72
愛知県教育雑誌「6年分」(紙媒体)の連載読み切り小説です。朗読、歌、動画の原作などの二次使用につきましては無料です。©️白川美古都の記載だけお願いします。また、使用にあたり必ずしも…
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

YA【サヨナラを祝おう!】(3月号)

 森沢ヒナは前をいく二人の背中をぼんやりと眺める。  脇本アカネと西村真帆が肩を並べて歩…

YA【ダイヤモンド・ケージ】(2月号)

 つけられている。  学校からの帰り道、西村真帆は立ち止まった。校門を出て角を二つ曲がっ…

YA【ナ・マ・イ・キ】(1月号)

 三学期の始業式が終わると、斎藤拓馬は鼻息荒く運動場へ向かった。上着は着ないで背中にひっ…

YA【二つのかけら】(12月号)

 月曜日の授業が終わると帰り支度をして、吉野美雪は手帳を開いた。  二学期も今週で終わる…

YA【笑ってよ、エンジェル】(11月号)

   三年C組の教室は緊張感に包まれている。教壇に立っているのは、英語の教師の今泉先生だ…

YA【フロンティア】(10月号)

 県営公園の手前に、クリーム色とレンガ色を基調とした個性のない分譲建て売り住宅が並んでい…

YA【ハッピー・バースデー】(9月号)

 朝のホームルームで使用するプリントを受け取って職員室を出る際に、上條百合子は軽く礼をした。  その瞬間、ちくっと、腹に痛みが走った。さっきから何度目だろう。間違いない、これは生理の痛みだ。どうしよう、予定より随分と早い。  ポーチの中には、予備のナプキンを持ち歩いている。  しかし、レギュラーサイズが三個しかない。まだ午前中。今、一個使って、昼にもう一個を使うとすると、午後にはラストの一個になってしまう。心もとない。  が、そんなことを考えている場合ではない。  職員室の壁

YA【ノスタルジア】(8月号)

 菊地家では毎年、八月のお盆には父の故郷の京都に里帰りする。  今年は十三日から十七日ま…

YA【一瞬の星】(7月号)

 誰もいない体育館のすみっこで、青い運動着に着替えた細野清輝はバスケットボールを磨いてい…

YA【砂糖菓子】(6月号)

 リビングに柔らかな光りが差し込んでいる。  岡田あかりは、ザルいっぱいの青梅を一個ずつ…

YA【彼女の生き方】(5月号)

 学習塾の最前列の席で、糸川誠一は冷や汗をぬぐっている。  連休の初日の今日、午前中に組…

YA【肩に降る雨】(4月号)

   三年生に進級して二週間が過ぎた。  まだ新学期のぴりっとした緊張感の残る放課後の教室…