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【一人旅】北に行け。島に行け。①

一人旅が僕の趣味の一つである。
いや、正確には旅が趣味なのであって、一人であるのはあくまで付随的なものだ。

それはともかく、一人で行く方がよい場所も世の中には存在する。
北の果てと離島である。

去年の夏にその両方を訪れた。
ちょうど青森県に用があったので、その足で北海道へと向かったのだ。

便宜上、弘前を旅の始点とする。
弘前駅からまずはJR奥羽本線で新幹線駅の新青森駅へ。
17時半の出発である。
新青森駅からは(泣く泣く)新幹線に乗り、最北の新幹線駅である新函館北斗駅に到着。

言い忘れていたが、僕の旅をする上でのモットーは、「快適かつ安く」である。
すなわち、必要最小限の快適さを確保しつつ、あとはできるだけ安く済ませるのである。
故に、本来新幹線を利用するというのはまったくの贅沢なのだ。
しかし、津軽海峡を公共交通機関で渡るためには新幹線かフェリーしかない。
フェリーは便も限られていることから、今回は新幹線を選択したということだ。

話を元に戻す。
極めて快適な新幹線の旅は、20時前には終わった。
新幹線の開業に伴ってできた新駅おなじみの何もない郊外に、20時前に放り出されてしまったのである。
いったいどこに泊まるのだろうか。
しかし、そんな心配は無用である。
僕には「快適かつ安く」の味方がいる。
そう、夜行バスである。
夜行バスは、少しの辛抱さえあれば交通費と宿泊費を同時に浮かすことのできる、極めて優れた乗り物である。
その夜行バスに乗り、翌朝目を覚ますとそこは札幌だった。

夜行バスの難しい点は、早朝の到着となるため、到着してもすることがないという点である。
札幌に着いたのが5時半。
当然カフェなども開いていない。
しかし、夜行バスに乗りなれている僕は、そんなこともあろうかと早朝札幌散策の計画を立てていた。
煉瓦造りで有名な旧北海道庁(工事中でまったく見られなかった)や北の旧帝国大学である北海道大学、テレビ塔、人生初のセイコーマート(北海道ローカルのコンビニエンスストア)を巡る2時間が過ぎ、7時半に次のバスに乗り込んだ。

乗り込んだのはもちろん路線バスではない。
長距離昼行バスである。
長距離昼行バスというのは、夜行バスの運行時間帯が昼間になっただけのもので、お財布に優しいことは言うまでもない。
太陽が昇っていく中、周囲の景色にはだんだんと緑が増えていき、やがて牛が闊歩する牧草地帯となった。
なんて遠いところに来てしまったのだろう、と僕は思った。

13時半にバスは終点に到着した。
稚内駅である。
ここが今回の旅の目的地である。
バスを乗り継いで、北海道を縦断してしまった。
なんて遠いところに来てしまったのだろう、と僕はまた思った。

稚内は言わずと知れた日本最北の地である(北方領土の話は置いておく)。
存在を知った時から、ずっと行きたくてたまらなかった場所。
そこに降り立ち、僕はひどく感激した。

感激したのも束の間、僕は格安レンタカーを借りて、日本最北の地・宗谷岬を目指した。

ここで弁解させてほしい。
「快適かつ安く」の観点からすれば、レンタカーはかなりの高級品である。
しかし、それ以外の公共交通手段は便が悪く、体力や免許の問題で徒歩や自転車、バイクでの移動は不可能だったのだ。
それに加えて、筆者はドライブが大好きなのである。

白岩(2023)『北方見聞録』宗谷書房.

【ギャラリー】  北の大地 Ⅰ

宗谷岬にて、日本最北端の地のモニュメント
モニュメントの裏側。ここが本当の最北端。
日本最北のセイコーマートにて、ソフトカツゲン(北海道ローカルの乳酸菌飲料)とともに

つづく


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