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『読みたいことを、書けばいい。』の真髄。

どうも、砂糖 塩です。

こちらのあえて太文字にした自己紹介については後に詳しく記述しているのでお楽しみに!

初めましての方、Wi-Fi環境の整った場所へ移動を。
再来の方、いつも懲りずにありがとうございます。

まずは勝手に自己紹介預からせて頂きます。
今回のイベントゲスト、田中泰延さんによりイベント前にパシャパシャ撮られた写真を自己紹介代わりに使わせて頂きますで候。

砂糖 塩(別名:アメコミ大臣)
アメコミから他映画、書籍など作品の中で、自分が心から感動したものをどこかしらの誰かに届けるべく、主にTwitterとperiscope(LIVE配信アプリ/現在世界中にギークで愉快なフォロワー2k突破あざす!!)から楽しく優しくアドレナリン全開で強めに世に輝きをもたらす活動をしています...宇宙規模クラスの任務です、ええ。稀に気分で『スナック砂糖 塩』として「お客様は神様、ではなく人間。」というフレーズを心得て好き勝手に営業しています。Netflix在住です。よろしくお願いします。

シンプルに、「伝えること」が大好きで編集・ライター(砂糖式ではライティンッグと呼ぶ)なるものとしてもそよ風のように活動しています。
書籍では『NASU本』、ブログでは本個人ブログ下記のような記事を書いていたりします(ちな、全部趣味!全無料公開!)。
『デザインが絶対うまくなる方法』
(1万PV超、600スキ達成!あざす!!)
『サイボウズ式、チームに息を吹き込む「方法のない方法」』
(社会人、組織やチームで働く人、全人類の必読記事!砂糖が長編記事を書く原点となった記事!!)
自分の道を切り開く「魔法のかけ算」
(SHOWROOM代表 前田裕二社長の大阪講演をリアル体験型記事でお届け!これまで話してこなかったストーリー、分析、戦略、マーケティング、思考の完全版!!noteイベントレポ、人気カテゴリーをすっ飛ばし定番カテゴリに殿堂入り...oh...メニメニ読者...あざす!!)
最高の女、「田中泰延」を口説いた男、今野良介。
(やっぱみんなラブストーリー好きやんけ...ふふふ...と再確認したものの、とてつもなく長い道のりのおっさん2人の恋愛長編記事!現在、砂糖noteでは総合1位、noteイベントレポの中でも最もスキされている記事1位へ度々現る!何故か1番読まれているラブストーリー!!why?

「1人でも多くの人の心のどこか(どこや)に刺さり、それが長くも短くもはたまた長い...人生のシーンにおいて一部分のヒント、面白さを感じるきっかけになればええな!」が本心です!
(間もなく開演、お楽しみください!!)

「はいはい、いつも思うけど自己紹介長いねんこのおしゃべりオタク野郎」と思ったそこのあなた、大丈夫。今回は、前回記事よりも気持ち短編モードでいきます。
では、今回のイベントのゲストをご紹介。

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田中泰延
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。学生時代に6000冊の本を乱読。1993年株式会社電通入社。24年間コピーライター・CMプランナーとして活動。2016年に退職、「青年失業家」と自称しフリーランスとしてインターネット上で執筆活動を開始。webサイト『街角のクリエイティブ』に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」「ひろのぶ雑記」が累計330万PVの人気コラムになる。その他、奈良県・滋賀県・福島県など地方自治体と提携したPRコラム、写真メディア『SEIN』連載記事を執筆。映画・文学・音楽・美術・写真・就職など硬軟幅広いテーマの文章で読者の熱狂的な支持を得る。「明日のライターゼミ」講師。本書が初の著書。
初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)発売中。

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今野良介 
1984年東京生まれ。早稲田大学第一文学部文藝専修卒業。2008年日本実業出版社入社。税金、法律、システム開発などの実務書を中心に、子育て、自己啓発書なども担当。2015年ダイヤモンド社入社。書籍編集局第一編集部所属。生涯担当書籍は全46冊。現在、担当書籍9作連続重版中。最新刊は『読みたいことを、書けばいい。』。モットーは「読みたい本を、つくればいい。」好きなスポーツは陸上競技。好きな酒はウィスキー。大好きな歌手はaiko

本公演は前回の記事、『最高の女、「田中泰延」を口説いた男、今野良介。』に引き続き、田中泰延著『読みたいことを、書けばいい。』の編集者である今野良介さんからTwitter界の皆さんまで、「著者に聞けなかったことを、聞く。」田中泰延氏以外、参加型公演です。

紀伊國屋梅田イベント.001

そして!今回のイベント主催は紀伊国屋書店梅田本店!!関西在住の砂糖は本を買うとなればここでしか買いたくないほど通い詰めている西日本最強の書店。POPも異常な程面白いので、是非関西へお越しの際は立寄って頂きたい。『読みたいことを、書けばいい。』も全国で一番売っているそう...(流石、西日本最強の書店である)。

その前にちょっと待て、イベントは10月14日

「あなたは今日まで何をしていましたか?」
「その時が来るのを待っていたんだ...」

と、映画の重要人物が言いそうなセリフを言いたいところ。

だがしかし、その時はやって来なかった。

イベント後は今野さんからこのようなツイートも来た。

「80000字」は『読みたいことを、書けばいい。』が書き上がるまでに田中さんと今野さんが交したメッセージ数である。これは、まずい。

ここで言い訳をしましょう!!砂糖 塩、言い訳します!大事なことなのでメモしてくださいね!!ガチ!鬼!MADMAX!!

「この2時間のお話も書く人によって僕はすごいふざけている人にも見えるし、ものすごい真面目に書くことについて真面目にボソっと述べているようにも編集できるはずです。それは編集次第なんですよ。
(※田中さんが公演の終盤に述べた言葉)

はいストップ!砂糖、どっちいく!?どっちの編集をする!?!!これを考えてたんですよね...(続きは『砂糖の憂鬱』にて)

そして今回は、「クソ真面目に書く」ことに決定致しました!!
何故ならば、前回記事をお読み頂いた方またはクリックした方はおわかりの通り、田中泰延×今野良介+砂糖塩=ボケにボケを重ねてツッコミを入れボケを繰り返す=異常に長い。そのため今回はクソ真面目にお届けします(※「クソ」と付いている時点で真面目ではないことにお気づきだろうか...)

さて、お待ちかね!?本公演、間もなく開演!!

田中泰延氏の公演では毎度のことながら、『いまから始める仮想通貨投資』『骨伝導』など何とも怪しい講義から始まりますが、そちらは会場で味わって頂くためにも省かせて頂きます。

このお方、2時間のイベントで自己紹介何度したと思います?通常であれば、1回。田中泰延氏の手にかかれば自己紹介は6回(what’s!?!!)「どうしたら6回も自分の名前を紹介できるの?」そう思ったあなたは是非、人生のライフイベントに「田中泰延、終わらない自己紹介を目の当たりにする」を追加してくださいね!!

では、今回の公演、質問形式ということで質問&回答形式でお送りします。あえて言うならば、PCで読むことをおすすめします。
そして目次から読みたいように読むのも大歓迎!(ま、結局全文読むことになるんですがね...)カムオン!愉快な読者達よ!!

〜第1部〜 ダイヤモンド社編集者兼田中泰延氏の恋人疑惑浮上中、今野良介による質問

#読みたいことを書けばいい 」このハッシュタグを、Twitterの住人である田中泰延さんと恋人疑惑が浮上している今野良介さんは、「すべて読んでいる」と言う。感想を寄せる方が多い中でも特に多い質問を、恋人疑惑浮上中の今野さんが代表して質問します!!

【質問1】「書きたいこと」と「読みたいこと」のいちばん大きな違いはなんですか?

紀伊國屋梅田イベント.128

これはNetflixの住人砂糖でもTwitter界隈に行くとよく見かける言葉。上記の質問と同時に、以下の感想もよく目にするという。

Twitterの民:「書きたいことを、書いていこう!」
田中氏:「書きたいことを、書いていこうって。あなたこれまで書きたいことを書いていなかったの!?コックリさん!?!!」

砂糖:(た、たしかに たしかに たしかに愛はある ラララララ〜(『たしかに』アンジェラ・アキ))

現在に至るまで電通のコピーライターを職業としていた田中さん、「職業がコピーライターやから、書きたいことを書いていた時代はなかった。」と言う。コピーライターとして、書きたいことを書くときはなく、書くべくして書くのだ。例えば、「水」を売るためのコピーを書くには(水について)自ら調べる=読みに行かなければならないと話す。
そこで、Twitterで気をつけていること、「読みたいこと」とは何か。

「ただ言いたいこと」ってみんなある。「読みたいこと」は、僕がおもしろいことですよ。わざわざアクセスして読みたいことを書けばいいの。Twitterは自分の言葉で自分の読みたいことを書いている。

はい、ここスクショポイント!「書きたいこと」と「読みたいこと」って似ているようでまったくちゃうんやって...何回言ったらわかるねん!?(ここまで言ってない)の真相についてシンプルな言葉で回答してくださいました。ところであなた、今日、自分がおもしろいことをツイートしましたか?わざわざアクセスしてでも読みたいことを、書きましたか??(砂糖はこれといって書いていない...震)

「ところで田中さん。」と冷静だがやや乙女らしさの拭えぬ何とも言えぬ顔つきで話を続ける今野さん。

【『読みたいことを、書けばいい。』に書かれている「随筆」の定義】
・「事象」と「心象」が交わるところに生まれる文章
・物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
・「筆者の考えなど全体の1%以下でいい
・「一次資料に当たる」

紀伊國屋梅田イベント.358


「一次資料に当たってきましたよ!!ウギャァ!!!」と幼き田中三成が誕生したかのような上記の記事。田中泰延ではなく、田中三成だったかしら!?と思わせるような随筆、『三成コラム(秒速で1億円稼ぐ武将 石田三成 ~すぐわかる石田三成の生涯~)』。これでもかというくらい一次資料に当たったことの自慢話が書かれています
ご本人も「たしかにこれ、半分くらい冗談みたいなの書いてありますけど(笑)」と...(笑)ではない。歴史嫌いな砂糖が最後まで読んでしまったほどにはこの記事、すべて冗談ではないかと思わせるような随筆なのだ。

著書にも記されているが、この記事を書くにあたって田中さんがどれほどの資料に当たったかを改めて今野さんより披露。(※『読みたいことを、書けばいい。』P.154~P.155にも記載有り)

紀伊國屋梅田イベント.359

今野さん「どれくらい資料にあたったのかというのはですね。これが参考文献の数、20冊くらい。すごい古い本からあらゆる文献に当たってるんですよね。その上でふざけた文章書いていらっしゃるってことなんですけれども。」続いて田中さん、「台無しでしょ!せっかく調べて行ってるのに!!」何を見せられていますか?今野さんはツンデレなの??

「これだけ調べなければいけない」という例を出すために今野さんは上記の参考文献を出したのだ。
田中さん自身、一次資料に当たるには図書館へ行き司書に聞くことをこれまで何度も述べているのだが、「実際に図書館で何をしていますか?」と今野さん。その回答はこれだ。
まあ、本を読むんですけどね?(会場:爆笑の嵐)」いつも思うのだけれども、田中三成。何が凄いかって、すっとぼけたような回答が理論上正しい以外の何ものでもないのだ。故に反論ができない...く、悔。

ここで今野さん、田中三成氏に切り込みを入れる!!「しかし、ですよ。」
(※ここからは重要なシーンのため2人の会話をお楽しみ下さい)

紀伊國屋梅田イベント.364

今野さん:逆から言えば、「心象」がちょっとでもなければ随筆ではないと言えますよね。

紀伊國屋梅田イベント.365

田中さん:そうです。
今野さん:で、「事象」が9割9分5厘6毛だとしても、これの1%以下は「心象」なんですよね。
田中さん:そうなんです。
今野さん:そこは忘れちゃいけないことかなと思っていて。「事象」だけだったら報道になってしまうし、「心象」だけだったら小説とか詩とかになってしまう。
田中さん:うん。

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今野さん:でも、みんな「心象」の方が書きたいんじゃないかなって、いろんな文章を見て思っていて。例えば、noteとかで恋愛エッセイを書いていらっしゃる方とか、「自分の心が動いたものをそのまま書きたい。」それをどう表現するか、という表現の仕方で悩んでいる方がすごい多いっていうのが、僕が文章関連の本を作っていて思うことなんです。では、ここから仮説ですが、「心象」にも一次資料はあるんじゃないか

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今野さんは続ける。「例えば、記憶。例えば、思い出。」「つまり、自分の中にしかないものですね。どこかに調べに行っても出てこないもの。自分の中だけにあって、誰も知らないこと。それは「心象」の一次資料とも言えるものなんじゃないかと。記憶を何の脈絡もなく書いてしまうと、"ポエム"だと言われやすいと思うんです。」
今野さんは次の田中さんのツイートに対してうるっときたのだと話す。

このツイートはたくさんの人に読まれていた。田中さんは自身のツイートを見るなり、「ポエミーですねえ...」とタナカ・ポエミー・ヒロノブを発動させる。このツイートの連続ツイートで自身で泣くタナカ・ポエミー・ヒロノブ...

そこで今野さんより2つめの質問。

【質問2】記憶を書くときに気をつけていることはなんですか?

紀伊國屋梅田イベント.158

今野さんは、「心象、つまり、誰も知らない自分の記憶を書く時に、気をつけていることがあれば教えてください。」とタナカ・ポエミー・ヒロノブに問うた。

タナカ・ポエミー・ヒロノブ「乾いて候」
(※「そうろう(☆濡)って違うんですよ!誰もそんなことは言っていない。」と、誰もそんなことは聞いていないのに自ら訂正。)

田中さん:できるだけ乾いた状態で書く。ツイートのも乾いてるんですよ。つまり、お父さんの言葉は思い出してるだけですからね。それに対して、「あかん泣いた」って足したのは別のツイートでしてるんですよ。この中に出してはダメなんですよ。乾いてないから、それは。

これね、田辺聖子先生の家に毎月2回ぐらい通ってる2年間というのがあって。別に何か習いに行ったわけではなく田辺聖子先生に、「お前なんか、毎月酒持ってこい」って言われたから伊丹の自宅に行ってね。先生が80歳の誕生日の時、僕、バラの花100本持って行ったら数えられて。「20本多いわボケェ!」って怒られて。いろんなことを雑談で教わったんですけど、いろいろ言っておられました。

彼女はその時小説家ですから、長い思い出を長編小説、短編小説ってされるわけです。その時に、「いろんな書き方のアプローチがある」と。「ウェットな書き方はいっぱいある。例えば、隣にいる人に「これどうや?」って読んだらすぐに「ううっ」て泣くような書き方はできる。でも、いくつか短編あったら10個くらいやり方を変えて書いてみて、「これどうや?」って。同じ事実を書いても一番人が泣かないやつを残す。」と言っていました。

ウェットって簡単なんですよ。人を笑わすのは難しいけど、泣かすのは簡単。
僕だってここ来て、今一生懸命笑わそうとしてますけど、「いやぁ、ちょっとねえ...うちの犬が病気で、ちょっと、今日、この話が終わるまで...ね。生きてるかどうか...(泣)」っていえばさ、簡単でしょ!?笑わすのは難しいんですよ!!でも、ウェットって簡単なんです。それを避けるってことは気をつけてます。

今野さん:それはじゃあ、ウェットな状態のままだとまだ書かない。例えば、まだその出来事から時間が経っていなかったりとか、自分の中で乾いた状態になっていない時は、書かない方がいということでしょうか?

田中さん:そうですね。それは歩道橋行き(シンガーソングライター等々)だと思います。だから、やっぱり「記憶」。図書館に行く、調べに行くのも一次資料だけど、自分が持っている貯蔵庫の中の一次資料っていうもある。それが、「記憶」と「思い出」だけれども、それが生乾きの状態で人に読まされると割とたまったもんじゃないかなと。ひょっとしたら、泣きやすい人は一緒に泣いてくれるかもしれない。だけど、それが同情泣きだとしますよね。それは面白くないんじゃないかなと思いますね。

燃え殻さんの小説、僕大好きなんですけど。『ボクたちはみんな大人になれなかった』。あれ、乾いてるんですよね。どこにも「自分がかわいそう」「一緒に泣いてください」ってところは見受けられない。だから、ちょっと離れた視点にカメラが置いてあるってことが大事かなと思います。

今野さん:なるほど。ここでウェットの次に、「愛そのものを書く」ときのお話を少し聞きたいんですが。例えば、僕が好きなaikoのこと書こうとすると、非常に何を書こうか悩むわけです。もう、全部が愛だから。それをどういう風に、「自分が読みたいように書く」って言っても難しいんですよね。

※上記ツイートは今野さんの固定ツイートです。

本イベント開催日、10月14日は今野さんが書くことを悩まされるほど愛して止まないaikoのライブツアーが大阪で開催されていた。故に、会場内で使われたスライドにはaikoのプロフィールから以下のようなものまで用意されていたのだ...(何のトークイベントに来たのかかわからなくなるスライド)

紀伊國屋梅田イベント.175

今野さん:愛を語るって、難しい。
でも、エッセイを書く人っていうのは、自分の愛を伝えたいんだなって思うんです。僕から見ていても、「自分の好きなものを、好きなように書く」っていうのは、書いてる側としては気持ちいいんだろうなって。
そこで、ちょっと1つ聞かせて頂きたいんですけど。

【質問!?!!】「わたしのこと、好きですか?」

紀伊國屋梅田イベント.178

えええええ!?何!急に!?言わんばかりの今野良介からの急すぎる超ドきゅんきゅんどストレートな質問...

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ちょっと待ってくれ。」田中さんは驚いた顔をしながら今野さんの超ドきゅんきゅんどストレートな質問に対して、「僕、好きですよ。」と答える。続いて今野さん、「ありがとうございます(照)」田中さんは驚いたまま、「こんなん!!こんなん言わすの!!」と恥じらい慌てふためく。会場は何を見せられているかわからないが爆笑の渦だ。

こんな混沌の中!?またもや今野さんから質問が...(もはや質問なのか愛についてなのか、何が来るかわからないといった様子の田中泰延氏)

【質問3】「今野良介のこと」を書くとしたら、田中さんは、まず何から始めますか?

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田中さん:僕が今野さんのことを書くとしたら、最初はなんという不気味な人間だったかっていうところから書きますね。今は好きなんだけれども、最初に接触してきた時にはなんかちょっと頭のおかしい人から長文のメールがきて、怖くって。その後、1ヶ月は布団かぶって寝てましたから。その話から書くと思います。

今野さん:何故、最初にそれを選ぶんですか?
いきなり「9冊連続重版」とかそういう話じゃないんですか?

田中さん:そんな自慢話。それ知ってもしょうがないでしょ、みんな。

今野さん:じゃあ、その次には何を書きますか?

田中さん:次は、2人で本を書け書けと言われたけれど断り続けて、不毛な「そろそろ書きましょうよ」「いやぁ〜まだ潮が満ちてないんじゃないですか」みたいな訳の分からないやり取りが何万字とお互いに送りあって、「書かなかったこと」を延々と書きます。

今野さん:僕が田中さんに催促しているメールの総文字数8万字超えてたんですけど。

田中さん:この本は?(どこか嬉しそうに尋ねる田中氏)

今野さん:この本は7万7千字。

田中さん:ハッハッハッハッハ!そっちのが多いからね!!前ね、ジュンク堂でやった時その2人の往復書簡だけで2時間しゃべりましたからね!またそれもやりましょうね!!

今野さん:ということは、「田中さんが僕と歩んできた過程」みたいなものを一から書くってことですか?

田中さん:そう!最初本当に怖かったんだから!それが他人から、「付き合ってるんですか?」って言われるまでを書きますね。どこが自分に変化を作ったのか。「おや?この人本気かもしれない。」とか、俺もじゃあそこまで言われたらやってみようかなとか。あと、「できたね」ってあるじゃないですか。そういうことを順を追って書きますね。

今野さん:何故、そうするんですか?

田中:「変化」そのものが、自分の読みたいことだから。僕、ベートーヴェンのことも大好きなんですけど、やっぱり最初聴いてわけわかんなかった。長い。「何なんだこれは」って。『第九』なんて74分もある曲ですから。最初聴いたときはもう、寝言みたいに感じましたよ。でも、今は大好きで20回以上僕も舞台上がって歌ってるし、CD200枚あるし、コンサート100回以上聴きに行ってるワケですよね。だからそれはその好きになっていく過程を、自分でも読みたい。僕の場合は。

今野さん:「何故、自分がこれを好きになっていったのか?」という過程を、自分が知りたいから、書いてる?

田中さん:そう。そこを読みたい。道のりを知りたい。そしたら同じように、「ベートーヴェンわけわかんねえな」って思ってる人も、この道のりを辿れば自分も好きになるかもしれないって思ってもらえる可能性があるけど。いきなり、「ベートーヴェン最高!」と言われても、それはベートーヴェンなんてどうでもいいって人にとっては効果がないと思うんですよ。「それはあなたが勝手に好きなんでしょう」って。

田中さんが当初、寝言だと思っていたベートヴェンについて書かれた記事はこちら。書くときのヒントになるお話を読みまくったところで、ここでちょっと読者の声を...

『読みたいことを、書けばいい。』

紀伊國屋梅田イベント.185

読者「この本、後半、ポエムじゃん。」

田中さん:よく言われるんですよ〜。この本は後半ポエムって。実用書だと思って買ったのに、後半ポエムになる残念な本だったと言われるんですよね。

今野さん:で、その後半を中心に何が書かれているかというと、「他人の人生を生きてはいけない。」とか「評価の奴隷になってはいけない。」とか「書くことは、たった一人のベンチャー企業。」とか。

田中さん:これ五七五ですね。伊藤園俳句大賞。(会場:笑)

今野さん:そして最後、「書くことは、生き方の問題である。」なんですね。改めて見てみると、この本に通底しているメッセージは、"自分自身であろう"ってことなのかな、と。

田中さん:うん。「自分自身で、アレ?」

紀伊國屋梅田イベント.191

今野さん:その本が、仮に売れているってことは、自分自身であろうとすること、自分自身であることが難しいから響いてるのではないかという仮説も成り立つんじゃないかなと思って。

おうおう...ためになるお話がガンガン流出してる...ちょっと待て。
「次はハリーポッターを超えてく長編にする気か砂糖!!」と野次が飛んできそうなところでちょっとお待ちなさい。このタイミングで今野さんから最後の質問!(ドヤァ)

【質問4】田中さんが、自分自身であるために心がけていることはなんですか?

紀伊國屋梅田イベント.194

今野さん:「こういうこと心がけてる」でもいいし、「こういうことはする」という”to do”でもいいし、「こういうことはしない」という”not to do”でもいいです。

田中さん:これはツイッターに在住しているとか、息をするようにツイッターをしていると言われる僕が、絶えず24時間やってること。
つまり、自分の顔と本名で発信すること。これは自分以外あり得ないから。自分で発信すること。もしまずいことなったら責任も負う。「何かいいこと言ってるからあなたに100円あげましょう」って言われたらそれも俺。ちなみに、本1冊売ると税金引かれて100円ちょっとしか入らないです、僕に入る印税。だから、本買うよりも僕に150円ください。それなら僕も感謝するんで、本読まなくていいです。

今野さん:それは置いといて。それで言うと、僕もツイートがたまたまバズったりすることがあるんですね。僕の周りには実名で顔出しでツイートしている人が多いんですけど、バズっていいねしてくれている人を見ると、9割以上は匿名なんですよ。

田中さん:そう。日本のツイッターの使用状況、9割以上が訳のわからないアイコンに訳のわからないハンドルネームじゃない?「ケミカルりんぽっぽ3号」とか。

今野さん:僕、改めてそれで驚いて。自分自身であろうとするために、実名ではなく顔も出さないっていうのは、できるもんなのかなと。

田中さん:うん。責任がないでしょう。もしそれで、悪い言葉を人にかける時も、自分が絶対バレないところで「こいつクソだ」って言えるわけでしょ。それは物陰から石投げて絶対に見つからないっていう100%の安心の下、石投げるわけでしょう?
それと同じことで、人のことを褒めても一緒ですよね。なんか見えないところで、「スバラシイ!!(声量は小さくも声のトーンを高くする田中さん)」って。いやいや、素晴らしいって思うんだったら挨拶しましょうよって俺は思うんですけど。

今野さん:そうですね。感想でも素晴らしいツイートをして下さっていると、「この人はどんな人なんだろう」って知りたくなります。

田中さん:そう。最近ね、僕の周りのおっさん17人で飲んだんだけど、顔と名前出してなんか集まるようになって、すごい面白かった。友達できたわみたいな。
でも、ツイッターとかよく言われるの。「顔だして名前出した方が楽しいっすよ」って書いたら、ボロクソに非難されるわけ。ケミカルりんぽっぽ達から。もうすっごい。「そういうことしてたら大変な目に遭いますよ!」とか。なんも遭ってないよ、大変な目には。

本名と顔、強制もしないし非難もしない。自由だけど、ただ俺が言ってるのは、そうすると広がる楽しいことが結構あるし、特に何のリスクもないよっていうことを言ってるんですよね。
ケミカルりんぽっぽさん達は、「顔と名前を隠しているから、本音が言えるんじゃないか」ってみんな言うわけ。でも、顔と名前を隠して言ってる本音は矛盾してない?って俺は思う。「(ケミカルりんぽっぽ達)本当の気持ち言ってますから」って、「お前、誰やねん」って。オナラじゃないんだから。ね、臭いだけしてもどうするっていうだから、まず心がけてるのは、顔と名前でやる。

誰かと会ったら、「田中泰延です。どうも、こんにちはって。」絶対言うから。これがね、「サインしてください。」「じゃあ、お名前入れましょうか?」って言ったら、「あ、ケミカルりんぽっぽでお願いします」。なんかね、本買ってもらって有り難いし名前も入れさせてもらうけど、「本当にこれで良いのか?」って思うの。

今野さん:なるほど。ツイッターを匿名でやっていらっしゃる方がいても全然よいと思いますし、匿名アカウントのおもしろいコンテンツもたくさんあります。
ただ、「自分自身である」ということを踏まえると、少しずれてしまっている面もあるんじゃないかと。

田中さん:そう。「本音が言える」って言うけど、顔と名前出したら選んだ本音しか言わなくなるから。これは建前ばっかになるっていうのではなくて、ちゃんとしたこと言おうって思うようになる。

「なるほど...顔と名前を出すことで選んだ本音しか言わなくなる...」少数ながらもケミカルりんぽっぽさん達から最後の部分について納得の声が聞こえてきました。
「決して非難も強制もしないけれど、こうした方が楽しいよ」という世界を真っ直ぐに話す田中泰延氏、「ひじょーに、素敵です。」(by『同期のサクラ』
後日、砂糖も思い切って顔と名前を公開しました!結果、何も大変な目には遭っていない。

砂糖「実感としては以前よりもリプが増えましたね、ケミカルりんぽっぽさん達から。」

では、第2部へ移ります!!
「ちょ、ちょっと疲れてきた...目が、目が!!!」という人は再度アクセスして目次から飛んでくださいね!アクセス数が伸びるんで!!(※一切記事からの収入は得ていません、ご安心ください)

〜第2部〜 参加者、Twitterの民より質問

さて、ここからはTwitterの「#読みたいことを書けばいい」に寄せられた質問から紹介致します!第2部、開演!!

【事件】質問者、質問のハードルが上がる質問をする

紀伊國屋梅田イベント.200

田中さん:「田中さんにとって『質問』ってなんですか?」何言ってんだ!!(会場:爆笑)
これね、俺、会社で働いてた時に、新入社員が俺のところに付いたの。で、3ヶ月、僕の下に付いていろいろ広告の仕事一通り教えました。で、最後に、「最後に何か俺に質問ある?」って聞いたら「田中さんにとって広告ってなんですか?」って。お前しばくぞって。

今野さん:いや、でも田中さん、「言葉の定義が大事だ」って本にも書かれてますよね。

田中さん:あ、そういうことか!しばくのはやめ!これは真面目にお答えすると、質問って公開の場でするときっていうのは、自分の聞きたいことじゃないんですよ。みんなが、これを聞きたいであろうということをかなり高度に演算してるんです。だから、「これを私が代表して質問することによってみんなの利益になる」ということを聞くのが質問だと思います。
個人的な質問って最後の時にされますよね。「お子さん何歳ですか?」とか。公開の場で聞いても意味がないよね。本イベントでもどなたが質問を下さっても、この場やツイッター上とかこの本に関する公益みたいなものを考えて、その代表として立派に振舞ってること。これが質問だと思います。

今野さん:ありがとうございます。質問のハードルが上がったところで、次の質問。(会場:汗)

【事件】田中泰延氏、イベント中に衝撃の「心象」

紀伊國屋梅田イベント.204

田中さん:はい、これは明快です。皆さん、面白さが自分の中にあると思ったら大間違い。これ本当に言いたい。だって、面白いことなんて自分の中にないんですよ。そもそも自分の中に面白さがあったら、自分で四畳半の部屋で正座して、笑ってるはずでしょう。ならないから。

人間誰しも自分の中に面白いことなんてない。調べに行く。見る、知る、聞く。この中に面白いことを見つけて行くだけなんで、自分の中にはないです。だから、映画観に行く、本読む、人の話聞く、なんか食べてみる、酒飲んでみる。やってみたら良いじゃないですか。じっとしている分には絶対面白くないですよ。電車で 1 人で笑ってる人いるけど、それは最高に面白くない人ですよ。逃げますよね、僕達ね。そういうことです。

どのようにして面白みを見つけるのか。この人もね、自分の中で気づいてるじゃないですか。「見つけることができるでしょうか」。見つけに行くんですよ。答えわかってんねん。でも、4畳半で正座してるんです。そせじ番長さんは。そせじ番長さん、是非ね、調べに行って頂きたい。で、「そもそも面白さとはなんだと思われますでしょうか?」っていうのは、最初に言った通り、自分の外にある。中にはないです。必ず外にある。探しに行ってください。

今野さん:それは、さっきの「事象」と「心象」でいう「事象」だと考えて良いですか?

田中さん:「心象」はつまんないですよ。暑いとか腹減ったとかカレー食いたいとかしかないもん。今、俺の心象の中には。

今野さん:「もっと外に出て行こうよ」っていう。

田中さん:はい。カレー食いたいっていう自分の心象はつまんないけど、外にあるカレーのこと考えてみて。インディアンカレー、スパイス21のカレー、チョウクのカレー、並べるだけでちょっと面白くなってくるでしょ?カレーも色々あるんだって、そういうことです。

ちょっと待て!カレーの話に誘惑されそうだが、大切な部分なのでまとめておこう!!はいここ、スクショ!!

●面白いことは自分の中にない、必ず外にある
●面白いことは外に探しに行く、見つけに行く
(見る、知る、聞く)
●「心象」はつまらない、外の「事象」を見つけに行く
(映画観に行く、本読む、人の話聞く、なんか食べてみる、酒飲んでみる)
●田中さんは公演中、カレーが食べたかった

スクショを撮ったところで、次は会場の皆様からの質問に移ります!!

〜第3部〜 参加者から田中泰延氏へ、『知りたいことを、聞く。』

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田中さん:大阪以外からお越しの方いらっしゃいますか?
質問者A:尼崎です。
田中さん:え、それはもうダメだ。

田中泰延氏にとって「尼崎」とは
市外局番06から始まる尼崎は「大阪以外からの来場者」に該当しない。「大阪以外」と言って「尼崎」の場合は怒られる。尼崎は大阪の一部である。

はい、ここ!スクショ!!
(尼崎の皆さんは落ち着いて参加者からの質問へ参りましょう。)

A.「最後は死ぬしかない。」

質問者A:独立されるにあたって準備されたことは?

田中さん:ないです。みんな言うのよ、「電通をやめるんだ」って言ったら、「どういう計画で?」って。そんなの計画突き詰めて行ったら最後死ぬしかないでしょう。みんな100%最後死ぬんですよ。気づいてないと思うけど。計画とかないっすよ。なんで辞めたかって言ったら、「辞めたいから」ですよね。で、「何かしたいことがある?」って言ったらないよね。したいことがあるんやったら次の日からやってるけど、俺がしたことと言えばお正月番組観たことやからね。

だから、よく「何か目標を持ちましょう」とかって言うけど、それってそんなに意味があるだろうかって俺は思う。目標持ちましょうって言うんだったら、なんかどっか中央アジアに建国するとかさ。5兆円企業を作るとかそれぐらいの目標ならそれは壮大だなって思うけど、アフィリエイトで月80万儲けたいから頑張りますって。それ、そんな人と友達になりたい?だからないです。
だから、「本書きませんか?」って言われた時に、「嫌だ」って言ったし、11ヶ月の内10ヶ月放置してたし、嫌々書いてなんとか出たらたまたまお金入ってきた。死なずに済んでいる。そもそも計画あったら俺もっと痩せてるもん。ない。食べたいものを食べている。よろしいでしょうか。

今野さん:ちょっと待ってください。辞める計画はしてなかったとしても、辞める決断をするって実際、相当なパワーがいると思うんですけど。

田中さん:会社で、「早期退職募集」っていうのが張り紙してあったのが11月30日で、「おっ」と思って辞めたのが12月26日です。26日間、なんか辞めようかなって。

今野さん:どこかで辞めても良いかなって思ってた?

田中さん:いやいやいやいや!辞めてからめっちゃ給料入ってないことに気がつきましたよ!「死んだー!!」思ったよね。まあ、でも、成り行きでしょう。成り行きですよ。成り行きじゃないんだったら建国しようよ。夢があるっていうんなら、明治維新の活躍した人とかぐらいね、徳川幕府を打ち破って、イギリスやフランスを大砲で打ち負かせて、「新しい国を作るんだー!!」ってぐらいの勢いがあったら良いけれども。
「月16万とかさ。ええやん、そんなん」って思ってただ辞めました。すみません。申し訳ございません。若い人はもっと夢と希望を持って建国してください。その国、行きます。

A.「作品なら歩道橋で売れ。」

質問者B(1):(コピーライターの質問者さん)
「何を書いたかよりも、誰が書いたかの方が重要だ」っていうお話を本で読んだ時に、自分のポートフォリオを見返して「これ、俺らしさってあるのかな?」ってすごく悩んだんです。もし、自分らしさの出し方みたいなのがあれば教えて頂きたいです。

田中さん:「ポッキー」って商品、僕やってたんですけど。
グリコの赤い箱のポッキーっていう商品の広告に、「田中泰延らしさ」があったらあなたは買いますか?ガッキーらしさがあったら買うよ。ガッキーじゃないよね。だから、広告に自分らしさを入れようと絶対にしないでください。

広告は、誰かがこの商品を水なら水ってものを売るために僕に、「知恵を貸してくれ」って言って、その時こそ黒子で良いんですよ。誰にも見えない。だって、広告にエンドロールないでしょう?スタッフロールもないでしょう?でも、この水をうまく売る方法を知恵者として考えれば良いんですよ。その時、自分は関係ないですよ。それで、上手くいったら黒子としての自分を誇れば良いんですよ。草葉の影で。いや、死んでない。
その草葉の影の広告の職人、忍者としてのプロを30年40年とヒット出し続けると他の人が、「おや?あの広告でヒットを出し続けてる人、あれは糸井重里という人じゃないか?」「谷山雅計って人じゃないか?」とか、「仲畑貴志っていうすごい人じゃないか?」って周りの人があの広告の作者だって言って本1冊作ってくれるんですよ。

だから、広告に自分らしさは消してください。広告ですごい仕事を10年20年続けていれば、他の人が自分の「あ、あれは◯◯さんが作った広告だ」と言って褒めてくれます。
僕がよく聞かれるのは、「電通で田中さんはどんな広告作ってたんですか?」って。「俺は俺のものを作ってたんじゃないから。各クライアントのものに納品しただけだからそんなこと知らん。」って言ってます。関係ない。この本にも自分が関わった広告のことは一切書いてない。

よく広告やってきた人で、「僕が作った作品は〜」って。作品なら歩道橋で売れと。広告は違いますよという考え方です。でも、あなたが広告のヒット作を黒子として100作くらい作ったら絶対特集されます。情熱大陸出て、窪田さんのナレーションがつきます。そういうことだと思います。いかがでしょうか。

A.「いいコピーっていうのは、発見。」

質問者B(2):この話の流れで聞きたいんですけど、いいコピーって何ですか?

田中さん:この本の中にも書いてあるんですけど、いいコピーっていうのは「発見」。その商品の特性みたいなものを読み手として一から勉強するでしょ、水なら水。
この本の中で書いたのは、糸井さんの『想像力と数百円』これ発見じゃないですか?文庫本っていうのは、数百円で買えるもの。でも、人間の無限の想像力で数百円どころではない価値を売るもの。『想像力と数百円』、短いでしょ。でも、そこには発見があるんですよ。糸井さんが文庫本を手に取って、「文庫本から生まれる無限のエネルギー!!」とか言ってるんではなくて、端的な事実を2つ並べている。想像力と数百円。で、それを糸井さんに聞いたら、「ああ、『月と6ペンス』って小説あるでしょう。あれですよ。」って。発見なんですよ。それがいいコピーじゃないかなと思います。

今野さん:誰にでもわかるけど、ちょっとした発見、なんですね。「世紀の大発見」っていうわけではない。

田中さん:うん、ちょっとした発見ですよ。世紀の大発見は、これまた広告になりにくいです。もし、りんごっていうものに、「ヒポポタマス酸っていうのが、りんごの健康成分だ〜!!」っていうのが見つかったとして、りんごの広告に、「衝撃のヒポポタマス成分!!」って書いてたら恐ろしい。「甘い」って書いてた方がだいぶマシでしょう?広告ってそういうことです。

A.「カレーにタピオカっている!?」

質問者C:(シンガーソングライタの質問者さん)
「面白さは自分の中にない、事象を探しに行く」という話で、それを頑張って探しに行ってしまって、何気ないこと、楽しいとか自分のワクワクってものを逆に見落としてしまうところがありまして...そういう事に対して、こうしてるよとかこうすればいいんじゃない?っていうことがあったら教えて頂きたいです。

田中さん:わかる〜。良い質問やわ、それ。
例えば、映画観に行って割と素直に面白いって伝えたかったのに、それについて調べているうちに、「これはヒッチコックのサイコっていう映画にそっくりだ!」って見つけてしまった時に、「面白かった」って書かずに「みんな気づいてないかもしれないけど、この映画はサイコにそっくりなんだ!この何カット目を観てみよう!」ってなっちゃうんですよね。それはまずいよね。質問というか、俺、今気をつけようと思った。

素朴になった方がいいですねそういう時は。さっきのりんごは赤いっていうのと一緒だよね。りんごの魔法の成分はヒポポタマス酸を発見した喜びよりも、かじって旨かったことを伝えたいもんね。で、調べたことは補助に使いたいですよね。補助が9割くらいあるんだけれども、何故かというとりんごはかじって美味しかったっていうのは何回書かれてもしゃあないから一回でいいじゃない。ただ、かじって美味しかったってことを全部削らないようにしようかなと。で、削りそうになったら、「あ、忘れてたけどかじって美味しかったんでした」って書こうかなと、今、思いました。ありがとうございます。勉強になる。

今野さん:この本の感想で、「読みたいことを、書けばいい。」を転用して、「食べたいものを、作ればいい。」とか、「聴きたい曲を、奏でればいい。」みたいなことを仰ってくれる方がいるのはすごく嬉しいんですけれど、そういう方って、いわゆるクリエイターの方なんですよね。

田中さん:クリエイターの人も色々考えて作っている中で、「こういう曲がウケるんじゃないか」とか、「自分は食いたくないけど今はタピオカ入れればいいんじゃないか」って、カレーにタピオカ入れちゃったりとか。でも、「カレーにタピオカっている!?」っていうことに気がついてくれるとこの本を売っていて嬉しいですね。

A.「大阪のソウルフード、インディアンカレー。」

質問者D:家に帰る前にこの辺でカレーを食べて帰ろうと思うんですけど、オススメのカレー屋さん教えてください。

田中さん:これはね、通なカレーは色々あるんだけどそうじゃなくて。僕がさっきから何回も言ってる、3番街の地下にあるインディアンカレー。川が流れる街にあります。で、川には5円玉投げてください。インディアンカレーはね、大阪人の心なんです。ちょっと辛いんで、卵は入れた方がいい。はい、美味しいです。インディアンカレー食べたことある人?(会場の半数以上が挙手)ほら!心でしょ?ありがとうございます。心ですよ。大阪のソウルフード。良い質問でした。俺も食べたくなってきた。

今野さん:でもたまに、本当に美味しくないカレー屋さんってあるじゃないですか。
あれは何なんですかね?店主の方は美味しいと思って作っているのか、それともそうじゃないのかっていうのは。

田中さん:美味しくないラーメン屋、美味しくないカレー屋ってあるじゃないですか。無数にありますよね。これはどういうことか、そこの店主なり調理人が美味しいものを食べたことがないんですよ。感動した美味しいカレーを食べたことがあったら、ちょっとでもあれに近づこうとするでしょ。人間。「こんなもの出していいのか」って思うでしょ、ってことは食べたことないんですよ。
これ、僕がいつも物書く時に、「感動が中心にないと意味がない」っていうのと一緒で。自分が感動してないのに書いてもしょうがない。「ただ書く」っていう、それはまずいカレーを出すのと一緒だっていうことですよね。

今野さん:それを文章で言うと、やっぱ「自分が良いと思う文章に触れる」っていうのが大事なことなんでしょうか。

田中さん:そう。本だけが偉いってわけではないんだけど、やっぱり自分が読んですごく感動した本っていうのがあったら、1000分の1でもそれに近づきたいなとか思う。あれに比べて酷くない?とか、自分で思うことってすごい大事じゃないですか。まずいカレーを出さないようにしましょうよ、本当に。

A.「読みたかった本が、最後まで読めた。」

質問者E(1):書いた感想は?

田中さん:書いた感想。それはね、今野さんと2人で書きあがった時に2人でやり取りしたメッセンジャーがあるんですよ。「できましたね、今野さん」って言ったら、僕たち編集者と著者ですよ?今野さんが、「ああ、おもしろい本だ」って言ったんですよ。で、僕が返したのは、「おもしろい本ですね」って。それが感想。
だから、2人読みたかったんですよ、最後まで。それに尽きますね。その時は疲れたとかもう嫌だじゃなくて、「おもしろい本」って思いました。あれは嬉しかったですね。

今野さん:そうですね(穏やかに微笑む今野さん)

田中さん:そして最近、「十何万部突破しました!」って今野さんからメッセンジャーが来たらその後に、「なんでこんなに売れてるんでしょうね?」って言う。頭おかしい。

今野さん:本当にそうだと思いますよ(笑)

質問者E(2):私はただのサラリーマンなんですけど、凄い感動しまして。僕も本大好きなんですけど、小説とか。こういった本を書かれた感想はどういうもんなんだろうなって。

田中さん:読みたかった本が、最後まで読めた。特に最後の親指立てて溶鉱炉に沈むシーンとか、あのシーングッと来ました。
今野さん:その画像もやり取りしてたんですよ。
(※こちらのシーンについては前記事(目次「〜episode Ⅵ〜 最愛の人へ、最高のラブレター」)に写真掲載有り)

うう...ここで砂糖、泣。実は、イベントの後にお2人がサインへ向かった後、会場の参加者の方から書店の方へ質問がありました。「田中泰延さんは、どうして1人ではなく、2人という対談形式なのですか?」といったもの。
たしかにこの2人、一昔前のギャルが言っていた「ニコイチ」である。

Q.どうしてニコイチなのか?

(※今ここで砂糖が勝手に回答しましょう。)

「2人の読みたかった本が、最後まで読めた。」

A.2人で作った本だからです。(※砂糖調べ)

今野さんがいなければ、田中さんは本を書いていなかった(いいえ、今野さんであってもしばらく書いていなかった)。
田中さんでなければ、今野さんは読みたい本を作ることはできなかった。

うう...リアル過ぎるおっさんずラブ〜LOVE&WRITE〜お2人の愛から生まれた心踊らされる本、心の底から感謝申し上げます!!

A.「お好み焼きをおかずにご飯を食べる。

質問者F:(福井県在住の質問者さん)
田中泰延さんのツイッターとか拝見していて、非常に面白いと真面目の間を上手に泳ぐ方だなと思ったんですが、どういったコツがあるんですか?ジョークで人に怒られないというか...

田中さん:よく怒られるんですよ〜!!会社に居た時、停職なったことありますからね!どちらのご出身ですか!?

質問者F:福井県です。

田中さん:大阪とか尼崎とかその辺の人って、子どもの頃からすごい英才教育受けてきてるんですよね。学校から土曜日帰ってきて羽織脱ぐでしょ、家帰ってきてピッと付けたら吉本新喜劇やってるんですよね。ほんで家にはおかんが焼いたほったらかしてる冷えたお好み焼きが置いてあって。それにジャーのご飯をよそって、マヨネーズと七味をかけてお好み焼きをおかずにご飯を食べるんですよ。これを繰り返さないと、なかなか面白さっていうのが身につかないとこちょっとあって。

これは「いちびり」ね!ふざけているっていうことをモットーにしているやつをいちびりって言うんです。だから、小学校行ってもクラスの中でいちびってない人はなんかこう好かれないんですよ、大阪では。で、真面目な人は「真面目かっ!」て言われるんですよ。大阪人は真面目な人に厳しいんですよ、みんな。すぐ「真面目かっ!」って言う。

唐揚げにレモン絞ってキュって絞った時に、すかさず目を押さえて「イタっ!」って言わないやつほぼ真面目なんですよ。「真面目かお前!今唐揚げにレモン絞ったやろ!!」って。しかもメガネかけてる人が「イタっ!!」って言うんですよ。こんな厳しい社会の中をね、生き抜かないとなかなか。

いつも思うんですけど、こういう講演みたいなことでも文字に起こして真面目なとこだけ抜き出したら、僕も意外と真面目なことしか言ってないんですよ。ところが、余計なところを全部文字にしたら、ふざけている成分の方が多いってことがわかる。ということは、ツイッターとか垂れ流しだから、その両方が見えてるってことなんですよね。

(冒頭に砂糖が述べた言葉がここで現る...)
だから、この2時間のお話も書く人によってぼくはすごいふざけている人にも見えるし、ものすごい真面目になんか書くことについて真面目にボソっと述べているようにも編集できるはずです。それは編集次第なんですよ。

ツイッターは自分で運営しているものだから、そのままが見えてるってことでいいでしょうか。唐揚げのことだけ覚えておいてください。ありがとうございました。

〜第4部〜「電通式 最強の文章術」

今野さん:最後に私から1個だけ。電通に代々伝わる、あらゆる人の心に一瞬で届き、つかんで離さない、「電通式 最強の文章術」を、端的に教えてください。

紀伊國屋梅田イベント.210

田中さん:これはもうね、せっかく皆さんも1,000円払って来たんで教えるしかないですね。あらゆる人の心に一瞬で届き、つかんで離さない。これメモしてください、本当に。電通のぼくが20年間学んだ最強の文章術。

おおお!最後の最後に、田中泰延氏が著書でも語らず他の出版社からも出さなかったあの伝説の術をここで披露とは!!
砂糖、コピーライターでも何者でもないが、コピーライターとして24年間、電通という広告界の最大手で培った術、是非とも聞きたい!!(お客さんも「来たか...」と言わんばかりの空気)

紀伊國屋梅田イベント.211

田中さん:ありがとうございました!!

はい、ありがとうございました!!あなたはここまでで軽く2万字程を読んでしまいました!!真面目かっ!(※ここは真面目でむしろ正解です。)
可能な限りクソ真面目を貫いたつもりですが、如何だったでしょうか??
人生の最終計画が死であること、大阪のソウルフードはインディアンカレー、大阪人の英才教育...とたくさんのことを学びましたね!!

最後に本イベント、今回も来場者の皆様のツイートを公開!そのままブックマークに保存するも良し、(食べログを開いて保存するも良し)...

見てくださいよ、この凄まじいインディアンカレー効果。ちなみに、イベントツイートで見かける「#ハンバーグ」というハッシュタグは田中泰延さんがイベント中に仰っていたもの。理由?一応、お教えしますね。

「#ハンバーグ」
田中さん:(イベントハッシュタグについて)ハッシュタグ「#ハンバーグ」って付けると凄い多くの人が見ておられるんじゃないかな。「カレーライス」とか。トークイベント撮影OKです〜。

はい。これが参加者のハッシュタグを「#ハンバーグ」に変えた大阪の英才教育を受けて育った田中泰延氏です。

<おまけトーク>

田中さん:福島県の人はね、「僕たち大阪人は、唐揚げ絞ると目を押さえて『イタっ』って 言うんですよ」って言ったらみんなが黙って、「唐揚げ、目を押さえる」って一斉にメモ取 るんやから!すごいんやから福島県!本当に参ったわ。
今度、来週佐賀県に行くんやけど、それ心配してると思うんですよ!唐揚げのことはどうするかって!!大阪の皆さん、生あたたかいご声援と半笑いの応援をありがとうございます!ありがとう ございました!!

(佐賀県の方、唐揚げのことはどうしたのだろうか...)

そんなことより本記事、終わる様子がまったくない。

安心してください。

<特別付録>、有ります。

その前に、今回は真面目の代表とも言える記事、真面目なツイートも載せようではありませんか。カレーやハンバーグ以外の感想。登壇者・参加者共に異常に素敵なことを書いています。ぜひ、ご覧あれ。

<特別付録>

その前に、ここまで読んでしまってる人いるの!?頭おかしいですよ!!
だがしかし、砂糖ブログの醍醐味は「特別付録」と言っても過言ではない程の豪華特別付録が用意されている。

今回のイベント登壇者である著者田中泰延氏、編集者今野良介氏の湧き上がっている記事や最新イベント。以下の記事については、著書でも読めなかったことが無料で読めてしまう。ここまで読んだあなたには申し訳ないが、更に読んでみて欲しい(まだ読ませるんかい)。

【エントリーNo.1】田中泰延氏、最新記事を砂糖が付けた裏タイトルと共にご紹介

本当に、読みたいことを書けばいい? - ほぼ日刊イトイ新聞
『読みたいことを、書けばいい。』をもっと深掘りしたにも関わらず、至ってシンプルな言葉で説明されている。『ほぼ日刊イトイ新聞』から7回に分けて連載。安心してください、こちらのブログとは違って1回がスラスラと読めてしまうのであっという間に読み切ってしまう必読記事です。

フォロワー6万人の「青年失業家」が明かすツイッターの幸せな使い方
田中泰延氏が在住するTwitterで上の記事同様にバズっていたのがこちらの記事。裏タイトル『クソリプラーとウザガラマーの違いについて徹底解剖』

「合理的な人」が不機嫌になる理由」
続いて、Twitterで爆笑の嵐が起こった『田中泰延氏、サラリーマン時代のメール文書 怒りの「大分、血の池地獄」』(※あくまでも砂糖が付けた裏タイトルです)。本記事でも記述した「ケミカルりんぽっぽさん」、匿名、顔無しの部分にも触れています。思わず噴き出してしまうクリティカルヒットワード満載の記事。

ここからは、あなたの目に止まったものをそのままクリック!そこには望んでもいなかったような素敵随筆が並んでいます!!最新記事!

【エントリーNo.2】ダイヤモンド社編集者今野良介氏が厳選する推しの3冊(イベントトーク収録付き)

やっとこのスライドを載せることができました。砂糖が本イベントで一番グッときた!?!!スライド。

紀伊國屋梅田イベント.068

出版不況と言われる時代に、「いま最も打率のいい編集者」今野良介さんの『9作連続重版』。9人の今野さんが並んでいますね!恐らくあの書くことが大嫌いな著者(通称:バンビ)がこのスライドを作ったのではないかと予測。

こちらの9作の中でもご本人推しの3冊を厳選!今野さんが「何故、このような本を作ったか?」のイベントトークコメント付き(バンビも登場)でお送りします!!

今野:これ僕が虚弱体質で、年に5回くらい風邪をひいてしまうんですよ。仕事にならなくて、すがるようにしてお医者さんに風邪をひかない方法はないのかということで自分のために作った本ですね。結果的に、これ作ってから僕2年間くらい風邪ひかなかったんで、本当に自分のために作って自分のためになった本でした。

バンビ:ふーん。今野さんの話を伺っていると、編集者としてヒットをずっと何年も連続して作られている中で思ったのは、こういうマーケティングして風邪ひく人が多いからこういう本を市場にぶつけようじゃなくて、自分が必要だったから作る。自分が風邪ひきだから、ひかない方法ってないのって言ってじゃあこういう先生の話を聞きに行こうということで作るという。自分が読みたい本を作るってポリシーは一貫して持っていらっしゃるんですね。それがまあ、僕と2人の本を作るのに繋がっていったんじゃないかなと思います。そして3冊ある次のもう1つ、じゃん。

今野:小論文を課してる試験ってすごくいっぱいあって、教員試験から大学の入試まで。そういう小論文の棚って全部分かれてるんですけど。文章の本をずっと作っていて、小論文に必要な要素って別にそんなに細分化されていないんじゃないかって仮説があって。だから、全試験対応の合格最低ラインギリギリ超えるような文章の技術というか考え方に答えはないのかっていうことで作った本でした。

バンビ:これね、僕、娘に買いましたから。今年受験生なんで。すごい役に立ったって言ってました。それから、じゃん。

今野:僕がこれ作った時、子どもが2歳だったんです。これは紀伊国屋さん新宿本店さんの1月の棚なんですけど。

紀伊國屋梅田イベント.086

「最上の」とか「世界最高」とか「世界標準」とか、そういうビジネス書みたいな子育て本が多くて。

バンビ:『頭のいい子にする最高の育て方』『世界最高の子育て』『「非認知能力」の育て方』...これ何ですか?どっかに子どもができても認めないという「認知しない!」言うてね!?でもこれ見ると、結構親が子どもを価値のある人間にしようとものすごくなんか詰め込み教育的な、このメソッドでやったら優秀な子どもに育つに違いないっていう結構怖い本がいっぱいあるね。

今野:すごくいい本もたくさんあるんですけど、それをやって親って疲れちゃうんじゃないかなとか。何よりも子どもが息苦しくなっちゃうんじゃないかなっていう感じがあって、もっとこう絵本を読むように子育てを楽しみたいなって思って、そういう本が少なかったから、自分で作ったんです。

バンビ:今野さん自身、お子さんが小さいドンピシャの時に自分が欲しい本を作ったのが、『子どもが幸せになることば』。これ僕も読みました。大人が読んでもいい本ですよ。大人が大人に声かける時も、子どもに声かける時と一緒ですからね。人が落ち込んでる時とか悩んでいる時とか。別にね、大人用の言葉ってないですから。すごく参考になった本でした。おすすめです。

【特典エンドクレジット】「本が売れない」と、編集者はどうなるのか

ここで本当に最後になります、お付き合いくださりありがとうございました!では、最後ということで、光輝くダイヤモンド社の編集者である今野良介氏が語った編集の森(『どうぶつの森』編集業界ver.)での機密エピソードを特別に記載させて頂きたく。自分でも笑ってしまうほどには長編記事になってしまったのですが...これだけは譲れない。読みたいことを、書きます!!

「本が売れない」と、編集者は何を考えるか?

今野:今、1年に7万冊とか8万冊とか、日本全国の編集者が作って書店に並べてるんですね。そんなに書店に出てる本の中で、重版する本って、2割以下って言われてたりするんです。

田中:大変やね。8割の本は最初に刷った数を売り切らないんだ。

今野:そうなんです。でも、編集者ももちろん商売なんで、売れないと食べていけないんですよね。でも売れない本がたくさんあると何を考えるかというとですね、売れる本を作らなきゃって思うんですよ。売るための本をどう作るかってことを考えるんですよ。僕もそうして作ってきたんですけど、売れる本を作ろうとした結果どうなったかというと、僕、転職してから7冊連続重版かからなかったんですよ。

田中:別の会社からダイヤモンド社さんに移籍して来たが、7冊連続重版なかったと。

今野:はい。そうです。今、ダイヤモンド社って転職組がすごい増えていて、8割ぐらい転職組なんです。他の会社で結果出した人がうちに来る、って状態になっていて。言ってしまえば全盛期のレアル・マドリードみたいな。

田中:ドリームチーム。

今野:でも、本当のレアル・マドリードなら結果出さなかったら即クビじゃないですか。

田中:はい。

今野:でも、そんな契約ではないんで。7冊連続重版しなくてもクビにはならないんです。それは、逆に辛いことなわけです。で、そういう状況だとどうなるかっていうとですね。

紀伊國屋梅田イベント.107

今野:社内で息ができないんです。

紀伊國屋梅田イベント.108

バンビ僕は同じ状況で24年間シュノーケルで泳ぎ切りました。

今野:僕はそこまで心の強い方ではないので、窒息して本当に息ができない。しかも周りがどんどんヒット作出してくるって状態なので。

田中:ダイヤモンド社。もうね、ウルトラメガヒットの本がいっぱいあるわけ。『嫌われる勇気』とか『もしドラ』とか、『伝え方が9割』とかね。100万部とか200万部がゴロゴロしてますからね。

今野:そこで自分の精神衛生を保つためにどう考えたかっていうと、「もう、僕が読みたい本を作るしかない」という結論に至って。自分が本当に面白いと思って作った本が売れなかったら、もうしょうがないって。
で、その過程でたまたま重版が続くことになって、この本を作ったということです。

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『読みたいことを、書けばいい。』

読みたいことを、書きましょう。

「こんな長編、私ならクリックしてページ開いてスクロールの小粒を見たら閉じてまうわ!」と思いつつも書いてしまいました。
「書きすぎるとそうではない、書かなさすぎるとそうでもない」いつもこの絶妙なラインの繰り返しで騒がしいのです。しかし、この差をシンプルに埋めてくれるのが、私にとって「読みたいことを、書けばいい。」です。

最後まで読んでくださった方、何て御礼を申し上げればいいか...(早く御礼を言え)

特別にバンビこと田中泰延氏の性格が心底伝わる動画を貼っておきます。

ありがとうございました!!

また、ここで、お会いしましょう!?!!ゅ

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