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商品コンセプト②/形状・なぜ皿なのか

形状としては必然だと思います。


まだまだ毎日暑いですね~。
工場でせっせと試作をしているわけですが、毎日汗だくです。
試作品に汗が垂れそうで嫌なんですよねぇ。
接触冷感のコンプレッションインナーを着て、その上から空調服を着ています。
合間合間で水を頭からかぶって熱中症を予防しています。
この間うっかりジーンズのまま仕事してたら死ぬかと思いました。やばい。

なんとかなんないかな、と色々思案中です。
アイデアはあるんですけど、どうすっかな。
いずれ書きます。いい環境でやりたいんですよねー。

前回のおさらい

今回は商品コンセプトの続きです。
前提はサステナブルという話をしてます。


皆さんもうさん臭くない方法で世界を良くしましょう!

・前提 = サステナブル 
・形状
・塗り
・素材
・それ以外のコンセプト

商品コンセプトの2回目です。
今回は形状について書いていこうと思います。
皿だろ?知ってるよ!って?
まあお付き合いくださいよ、なんで皿なのかって話なんで。

塗り物といえば


どんなものが塗りのものとしてあるでしょうか?

・お箸
・お椀
・お盆
・重箱

それ以外にも
・塗りのバッグ
・アクセサリー
・小物入れ

なんかもあります。

うちの実家でも創業当初から例にもれずそういった商品を作っていました。ですが、徐々に景気が悪化していきます。
そして創業後から時代は流れ生活の様式が変化していきました。
あなたも毎日の生活を思い出してください。

最後に塗りのお盆を使ったのはいつですか?
塗りの重箱は?

うちにはあるよ!と言われる方もいらっしゃるとは思いますが
あなたの周りではどうですか?皆さん使ってらっしゃいますか?

塗りを取り巻く市場環境と変化の必要性


以前グラフを出しましたが恐らく漆器全体のの市場規模は最盛期の1/5〜1/10程度と思われます
これから恐らくもっと市場規模は縮み、サステナブルどころの騒ぎではありません

そう、持続可能性とはここでも出てくるのです。
産業としての持続可能性。文化としての持続可能性です。

それらを持続させるためには何かを変える必要があります
今回は形状の話なので形状を変えるというアプローチです。

その形状は「日常で割と高頻度で使うもの」で、「塗り物であってもいいもの」という条件を満たすものである必要があります。


何かを変える必要がある、ということで「皆さんの認識を変える」「もっと知ってもらう」という相手に変わってもらうアプローチも手段として当然アリだと思います。
リバイバルが常に起こりうるのは間違いないですからね。
ですが、私はその手段は採らないというだけです。
「啓蒙」「周知」を採られる方にはそれなりの理由があるはずで、私はそれを云々言うつもりはありません。というか物凄いリスペクトしてんですよ。
技術の保守と革新は文化の両輪で、互いにリスペクトが必要だと私は考えています。



アイデアが生まれた瞬間

皿というアイデアが生まれたのは、忘れもしません。中学2年の夏休みのことです。
お盆も過ぎ、私は父に連れられ実家の工場にいました。
私が通っている中学は山のような宿題が出る学校でした。
お盆も過ぎあと10日ほどで夏休みが終わるころでしたが、私は宿題にほとんど手を着けていませんでした。やっぱそうなりがちですよねー。
それを見かねた父が監視下で宿題をやるよう言ってのことでした。
私は事務所の隅っこで英語のスペリングや漢字の書き取りといった一番時間のかかるものを済ませながら(それぞれノート3冊ぐらいだった!)、工場での作業風景を眺めていました。

当時は大口の取引先との取引が景気悪化を理由に縮小しつつあったころでした。
なんとなくですが当時子供だった私にも大変さが伝わる中、何をしたら漆器が売れるのかを私はぼんやりと考えていました。
苦痛でしょうがない宿題をやるより楽しかったのを覚えています。(あるあるですね)

塗り物ということから発想を広げ、多くの人が使いそうな塗り物をいくつかチョイスしました。

・お箸
・お椀
・お膳
・お盆
共通点は「食卓」です。

そこで思いついたのは(料理を除いた)食卓の主役、お皿です。

お箸はナイフやフォーク、スプーンに、お椀はスープ椀に置き換えられます。
お膳やお盆に至っては当時から既に使われもしないです。
しかしお皿ならば、置き換えられることはないでしょう。

そのことを思いついた私は父にアイデアについて話すのですが、私がnoteに一番最初に投稿した内容にある通り、芳しい返事は無く、没となってしまいます

ですが、「塗りのお皿を作る」その使命感にも似た欲求を忘れることはありませんでした。


およそ20年後


そして時は流れ、コロナ禍を迎えます。
覚えている方も多いのではないでしょうか、2020年4月上旬、大都市圏を中心に最初の緊急事態宣言が出たころです。

需要のある観光関連にシフトしていた私たちは、売り上げが完全に消え、観光の再開見込みもなく、途方にくれます
おまけに4月半ばには全国に緊急事態宣言が拡大されるました。
それと同時に当時1歳半の娘が肺炎で入院
しました。(幸いコロナではありませんでしたが。)

最初肺炎ということが分かった時もしこれがコロナだったら、それも観光地によく出入りしていた私がうつしたものだったら・・・と怖くなったことを覚えています。

コロナ禍というものが他人事でなく脅威になっていました。

しかしそれでもなんとか売り上げを作らなければなりません。
そこで何とかしようと、ECでの売り上げを強化するためインスタグラムを始めます。
まずは人に知ってもらわなければなりません

幾つか頑張って写真を撮るのですが、すぐに壁にぶつかってしまいます
それは当時の主力商品に原因があったのです。

どういうことかを説明します。

主力商品はお箸だったんです。
しかし箸は写真映え、インスタ映えしないんですもうちっとも

箸は形状が細長いため、写真に全体を収めるとよく見えません
かと言って寄ると全体がわかりません
あちこちネットの海を彷徨って参考になるような写真を探すのですが、これがかなり厳しい
おそらく同業のみなさんも苦労してるんだなと感じさせる画像だらけでした。
私が作るお箸は使い心地がもう抜群なんですが、それは写真じゃ伝わりません
使用感のわかる画像も考えましたが、ただでさえ写しづらい箸どうすれば使用感も伝わる形で写せばいいかまでわからず。。。
なんとか挑むものの素人の私にはそりゃ酷というものでした。

(とはいえ、今考えればもう少しやりようはあったかなと思いますが)

当時の苦労の作。このへんが限界でした。

そこから得られた結論はネットを活用して販売するには「写真映えする商品が必要」ということです。
それも使用イメージがわかりやすいものです。

そこで私はピンと来ます。
そう、皿です。

皿は箸と比べても面積が大きいため写真映えしやすいのです。
料理を乗せるなどの使用感のイメージもしやすく、またインテリアとの並べてテーブルコーディネートとしても使えます。

これは作る必要がある、私はそう確信しました。

状況の変化

それにみんな木の皿好きだしもういい加減作ってもいいのでは?と考えました。

20年前とは大きく状況は変わっています。
どこででも木の皿は手に入るほどです。
つまり、木の皿には需要が見込める、市場があるといえるのです。


作りたい欲求があって、作る必要があって、市場もある。

だから私は塗りの皿をつくるのです。


以上でーす!

こうして書くと必然と私が感じるのも無理はないと理解していただけるのではないでしょうか。

もちろんただお皿を作りました、で売れるほど甘くないので、それ以外が重要なのはわかってます。

その辺は次回以降をお楽しみに!



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